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第四章 外食産業における食中毒リスクと食品ロス

2. 法整備の進展と政策課題

第一章で述べたとおり、わが国では食品リサイクル法という世界でも稀な制度が整ってい るが、現在、さらなる制度改革として、

2014

年度に向けた項目の見直しが図られている。

2013

5

月に「循環型社会形成推進基本法に基づく第

3

次計画」が閣議決定され、それを受け同 年

7

月に食料・農業・農村政策審議会食料産業部会食品リサイクル小委員会及び中央環境審 議会循環型社会部会食品リサイクル専門委員会が召集された。そこでは「今後の食品リサイ クル制度のあり方に関する論点整理」という文脈で、図

5-1

のとおり「食品ロス削減を通じ た経済成長への貢献(リデュース)」と「食品循環資源の最大限の活用による地域の循環産業 の創出と活性化(リサイクル)」という

2

つの大きな方向性が明示されている。

pg. 75

5-1

今後の食品リサイクル制度のあり方に関する論点整理(案)(概要)

資料:環境省

現時点では不確定要素が多いものの、ようやく食品ロスの削減(以下:リデュース)を本 格的に推進する政策へ大きな一歩を踏み出されたこととなり、

1

つの例に過ぎないが、すで に

2014

年度に

5

年ぶりの「食品ロス統計調査」の再開が決定している。さらに、業態別(コ ンビニエンスストア、パン製造業など)に売上高や製造数量などに応じたリデュース目標値1 の設定をすすめ、

2012

年度より

16

業種(コンビニエンスストア、ファーストフードなど)、

2014

年度からは

26

業種に拡大して本格実施されている。

但し、

FSC

や消費者を含めたリスクコミュニケーションやリスクシェアリングの問題を解 決しないまま、このように一律な規制を進めてしまうと、本論でみたとおり、優越的地位を 持つ主体が食品ロスを「削減」というより「回避」しながら、そのリスクだけを他の主体に 押し付けてしまうことになりかねない。今後、

FSC

内のパワーバランスに配慮したリスクコ ミュニケーションや規制のあり方を模索する必要があるだろう。

1 農林水産省・環境省(2012)参照。

pg. 76

5-1

リデュース(発生抑制)の目標値一覧(平成

26

4

月~平成

31

3

月)

業種 業種区分 発生原単

位(分母) 目標値

食品製造業

肉加工品製造業 売上高 113 kg/百万円

牛乳・乳製品製造業 売上高 108 kg/百万円

水産缶詰・瓶詰製造業 売上高 480 kg/百万円

野菜漬物製造業 売上高 668 kg/百万円

味噌製造業 売上高 191 kg/百万円

しょうゆ製造業 売上高 895 kg/百万円

ソース製造業 製造数量 59.8 kg/t

パン製造業 売上高 194 kg/百万円

麺類製造業 売上高 270 kg/百万円

豆腐・油揚製造業 売上高 2,560 kg/百万円

冷凍調理食品製造業 売上高 363 kg/百万円

そう菜製造業 売上高 403 kg/百万円

すし・弁当・調理パン製造業 売上高 224 kg/百万円 食品卸売業 食料・飲料卸売業(飲料を中心とするものに限る。) 売上高 14.8 kg/百万円

食品小売業

各種食料品小売業 売上高 65.6 kg/百万円

菓子・パン小売業 売上高 106 kg/百万円

コンビニエンスストア 売上高 44.1 kg/百万円

外食産業

食堂・レストラン(麺類を中心とするものを除く。)、居酒屋等 売上高 152 kg/百万円 食堂・レストラン(麺類を中心とするものに限る。) 売上高 175 kg/百万円 喫茶店、ファーストフード店、その他の飲食店 売上高 108 kg/百万円 持ち帰り・配達飲食サービス業(給食事業を除く。) 売上高 184 kg/百万円

結婚式場業 客数 0.826 kg/人

旅館業 客数 0.777 kg/人

1: 発生抑制の目標値については、有効数字の3桁で表示。

2: 目標値の「kg/百万円」とは、売上高(百万円)当たりの食品廃棄物等の発生量(kg)

3: 目標値の「kg/t」とは、製造数量(t)当たりの食品廃棄物等の発生量(kg)

4: 目標値の「kg/人」とは、利用者一人当たりの食品廃棄物等の発生量(kg)

資料:農林水産省(http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syokuhin/hassei_yokusei.html)

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