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4.5 数値実験による安定性解析の有用性の検討
前節までに調べたように,最良解固定モデルによる解析によってCSPSOのパラメータの 安定領域が数式(4.23)によって記述されることと,この解析結果が最良解を固定せず,実用 的な条件を与えた場合の安定条件とよく一致していることを示した。本節では,この結果の 有用性を,簡単な数値実験によって検証することとする。mC = 10, nC = 3, Tmax= 1000 として,n = 100のRastrigin functionに対してCSPSOを適用する。全てのクラスタ で各パラメータの値を等しく設定する(つまり,w1 = w2 = w3などと設定する)こと とし,それぞれのクラスタでwk = 0.5, c1k = c2k = 1.5とする。また,c3kについては,
c3k= 0.1,0.3,0.6,0.9,1.2,1.4,1.5,1.6,1.8の9通り設定し,それぞれに対してCSPSOを適 用する。ここで,式(4.27)から,w= 0.5, c= 1.5に対するc3の安定限界climit3 はclimit3 = 1.5 である。以上の条件でそれぞれのパラメータに対して100試行のCSPSOを実行したとき の結果を表4.3に示す。
表4.3から,安定領域のうち,安定限界に近い値であるc3 = 1.2,1.4とした場合の結果が 良いことが読み取れる。また,c3 = 1.5を超過すると,急激に探索性能が低下することも
第4章 クラスタ構造型PSOおよびその安定性解析 53
表4.3: 各c3に対する数値実験結果
安定領域 安定限界 不安定領域
c3 0.1 0.3 0.6 0.9 1.2 1.4 1.5 1.6 1.8 2
式(4.25)の左辺 -6.72 -6.48 -5.67 -4.32 -2.43 -0.87 0 0.93 2.97 5.25 mean 749 458 523 511 451 459 511 980 1247 1212
std 70 55 60 69 68 64 138 246 88 87
min 536 332 382 322 259 344 306 514 1062 984
Q1 700 422 477 465 408 415 418 797 1200 1154
median 749 451 520 507 445 449 472 937 1246 1210 Q3 799 496 559 554 485 496 571 1214 1305 1277 max 917 636 686 729 635 636 1050 1470 1436 1465
同時に読み取れる。なお,c3 = 0.3において高い探索性能が示されているが,原因は不明 である。以上のことから,CSPSOにおいて,パラメータを安定限界に近い安定領域にお いて設定することが高性能化を実現すると考えられる。ここで,c3 = 0.6,1.2,1.4,1.5とし た場合のある一回の試行の活性度の推移を図4.20,4.21,4.22,4.23に示す。図に示したよう に,安定領域においては,c3が大きくなるほど活性度の推移が緩やかになる。これによっ て適切な多様化から集中化への移行が実現され,探索性能が改善されるものと考えられる。
c3 = 1.5(安定限界)においては,活性度は0に漸近することなく振動する。そのため,安 定限界においては多様化から集中化への移行は適切に行われないと考えられる。また,パ ラメータを安定限界に近づけすぎると,多様化から集中化への移行がt=Tmaxに達するま でに実現されないため,安定限界から少し余裕をもたせることが望ましいと考えられる。
第4章 クラスタ構造型PSOおよびその安定性解析 54
0 100 t 200 300
0 2 4 6
Activity
cluster1 cluster2 cluster3
図4.20:c3 = 0.6のときの活性度推移
0 200 t 400 600
0 5 10
Activity
cluster1 cluster2 cluster3
図4.21:c3 = 1.2のときの活性度推移
第4章 クラスタ構造型PSOおよびその安定性解析 55
0 200 400 t 600 800 1000
0 5 10 15 20
Activity
cluster1 cluster2 cluster3
図4.22:c3 = 1.4のときの活性度推移
0 200 400 t 600 800 1000
0 10 20 30 40
Activity
cluster1 cluster2 cluster3
図4.23:c3 = 1.5のときの活性度推移
5 パラメータ調整機能を 有するクラスタ構造型 PSO
本章では,前章で述べたクラスタ構造型PSOおよびその安定性解析をもとに,
安定条件を考慮しつつ多様化から集中化への適切な移行を実現するパラメータ調 整機能を取り入れた二つの改良型アルゴリズムを提案する。これらの改良は,パ ラメータの調整方法としてそれぞれスケジュール機構またはフィードバック機構 を用いたものである。また,その性能を数値実験により検証する。