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数値実験と考察 .1 数値実験条件と結果

ドキュメント内 論文要旨 (ページ 41-46)

提案した移動戦略の有用性を検証するため,ベンチマーク問題を用いて数値実験を行 う。ベンチマーク問題としては,4.4で用いた問題と同様のものを使用し,n=mn= 1, n=nkのそれぞれについて,TSに基づく多点探索型多目的最適化手法(Proposed Method:

PM)を用いて探索を行う。探索点数m= 20とし,タブーリストに追加する情報は4.4と 同様のものとする。ここで,提案手法のnkについては,簡単のため,

nk =

1 k ≤kmax/2

km−1max/2k+ 2−m otherwise

の式を用いてスケジューリングした。これは,nkでは反復回数がkmax/2に達するまでは n = 1であり,それ以降はn1からmまで線形に変化させることを意味する。ただし,

nは整数しかとれないため,nkは小数第一位で四捨五入した値を用いることとする。

表5.1に,実験条件および50回試行したときのHypervolume Ratioの平均値(Mean), 最良値(Best),最悪値(Worst),標準偏差(S. D.)と,評価回数の平均値(Function Call) の結果を示す。Hypervolumeの基準点Rは,全ての試行における初期解の評価値のうち,

各目的関数について最悪値fi,worstを用いて,R= (f1, f2) = (f1,worst, f2,worst)とする。ま た,表5.2に,0-1KPに対して50回試行したときのγ評価指標の平均値(Mean),最良値

(Best),最悪値(Worst),標準偏差(S. D.)の結果を示す。図6.2から図6.5に,0-1KP, TSP,FSP,QAPのそれぞれについて得られた解の例を示す。

第5章 多様化と集中化を考慮した新たな移動戦略の提案 35

5.1: 実験条件と結果(Hypervolume Ratio)

Problem Size n LT kmax Mean Best Worst S. D. Function Call

m 0.886 0.901 0.869 0.00787 9025520

0-1KP 500 Items 1 50 1000 0.854 0.864 0.843 0.00419 9025520 nk 0.878 0.888 0.868 0.00528 9025520

m 0.915 0.919 0.912 0.00146 6404853

TSP 48 Cities 1 10 300 0.912 0.915 0.909 0.00132 6397930 nk 0.914 0.918 0.911 0.00165 6401660

20 jobs m 0.925 0.939 0.912 0.00573 1778932

FSP 10 machines 1 8 500 0.920 0.931 0.908 0.00514 1779945 nk 0.925 0.937 0.912 0.00604 1779543

m 0.545 0.557 0.532 0.00744 4198185

QAP 30 1 10 500 0.529 0.542 0.519 0.00539 4198709

nk 0.544 0.557 0.528 0.00568 4198482

5.2: 実験条件と結果(γ評価指標)

n kmax Mean Best Worst S. D. Function Call m 722.53 617.40 814.56 54.0 9025520

1 1000 936.01 884.81 986.96 31.1 9025520 nk 1008.84 931.88 1098.54 53.6 9025520

第5章 多様化と集中化を考慮した新たな移動戦略の提案 36

(a) n=m

(b) n= 1

(c) n=nk

5.1: 得られた解の例(0-1KP)

(a)n =m

(b) n= 1

(c) n =nk

5.2: 得られた解の例(TSP)

第5章 多様化と集中化を考慮した新たな移動戦略の提案 37

(a) n=m

(b) n= 1

(c) n=nk

5.3: 得られた解の例(FSP)

(a)n =m

(b) n= 1

(c) n =nk

5.4: 得られた解の例(QAP

第5章 多様化と集中化を考慮した新たな移動戦略の提案 38

5.3.2 数値実験に対する考察

表5.1より,全ての問題について,n = 1のときと比較して,n = nk のときの方が Hypervolume Ratioが良い。また,図からも,TSP,FSP,QAPにおいて,n= 1のとき に幅広い解が得られるという特徴を活かしながら,より正確な解を得られていることが分 かる。以上より,提案した戦略は一定の有用性があると言える。

一方で,0-1KPにおいては,表5.1より,n = 1のときと比較してHypervolume Ratio は改善しているものの,表5.2から解の正確性はn=mのときおよびn= 1のときの両方 と比較して悪化していることが分かる。また,図からは,評価値空間で両端付近に存在す る解はn = 1のときよりも改善しているものの,それ以外の解の改善が見られていない。

このような原因として,

0-1KPの場合,近傍N(x)内の解は,xと比較して全ての目的関数において改良す るか改悪するかの二通りに分別されるため,幅広い近傍生成を行うことができない こと

制約条件を満たさない解の扱いが不適切であること

などが考えられる。

また,本章では多様化・集中化を制御するパラメータとしてnを扱った。しかし,これ は整数値しかとれないパラメータであり,また今回は単純なスケジューリングを用いてい るため特に探索中盤において多様化・集中化のバランスが適切にとれているかどうかに関 しては検討の余地がある。適切なnkの決定方法など,より適切に多様化・集中化を評価す る指標・パラメータや,多様化・集中化を実現する移動戦略の開発に関しては,今後の課 題であると言える。

6 近接最適性原理に基づく 多点探索型多目的最適化 手法の提案

4章および5章では,Tabu Searchに基づく多点探索型多目的最適化手法につい て扱った。一方で,最適化問題の解構造に広く見られる良構造の偏りとして,近 接最適性原理が知られており,多くのメタヒューリスティクスは,POPを根幹に 探索を行っていると考えられる。本章では,多目的最適化問題に対する近接最適 性原理について検討を行う。そして,その検討を基にした近傍生成および探索点 の選択・移動を行う,新たな多点探索型多目的組合せ最適化手法を提案する。

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