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第4章 復興まちづくりの基本施策

4 教育環境の整備

今回の震災では、津波により教育施設に甚大な被害を受けたものの、教職員による的確な避難誘導 の結果、幼稚園、小中学校など多くの子どもたちを救うことができました。これは日頃の津波避難訓 練の成果であり、今後も継続して防災教育を行うことが重要であることを示唆しています。

しかしながら、未来ある子どもたちの犠牲があったことも事実です。未来を担う子どもたちを今回 のような災害でもう二度と失いたくはありません。そして、一人でも多くの子どもたちが将来に大きな 夢や希望を抱きながら、自らの生き方を主体的に切り拓く「生きる力」を身に付け、自分の目標を実現 し、ふるさと大槌を創生する担い手となることを望みます。

そのため、これまでの防災教育を継承しながらも今回の記録や教訓を活かした復興・防災教育を実 践し、ふるさと大槌を創り、ふるさと大槌に生きる人材を育成する教育の充実を図ります。さらに、

被災した子どもたちに対する教育支援を行うことで、すべての子どもたちの内在的可能性を引き出し、

自己実現することができるよう取組を実施します。

小中一貫教育校の建設など機能的な学校教育環境の整備の充実、復興・防災教育の徹底、食育の 奨励による健康の増進、地域と学校の教育力を高める各々の特性の発揮と連携による教育振興の推 進を図ります。また、今回の震災で親等を亡くし、経済的に大きな影響を受けた児童生徒に対し、就 学援助や奨学金の貸付け等の支援を行います。

今回の東日本大震災津波の映像等の記録、町民の記憶や教訓の伝授、その他様々な記録を収集、保 存、保全、公開し、今後の防災教育の礎とします。

災害対策機能を有した学校施設、社会教育施設(公民館や図書館等)の復旧整備を図り、児童生 徒が充実した教育を受け、すべての町民が幅広い生涯学習活動を行うことができる教育施策を推進 し、町民相互の交流拡大や地域の連帯感の向上、高度情報化が進む現代社会・国際社会を生き抜く 知恵や技能の習得による創造性にあふれた心豊かな人材育成に取り組みます。

また、地域のスポーツをさらに振興させる体制の確立、町民を主体とする行政・民間・学校の連 携による貴重な地域の伝統文化の保存・継承、個性に誇りを持った特色ある地域活動の進展に努め るとともに、先人たちが残した文化財や芸術を後世に伝える文化施策を推進します。

【取組の方向性】

4-1 地域を担う子供たちの教育環境の向上

4-2 町民の主体的な文化スポーツ活動の促進

4-1 地域を担う子供たちの教育環境の向上

(1)目的

今回の震災津波を乗り越えた多くの子どもたちが、郷土に誇りをもち、社会の変化に柔軟に対応 できる社会人として、主体的かつ創造的に自己実現を図る「生きる力」を身に付けることが、当町 の震災復興における教育目標であり、教育課題となっています。

よって、すべての児童生徒の教育を保障するため、教育環境の向上、就学の援助、施設環境の整 備といった三つの環境支援を柱とした学校づくりを推進し、地域活動や防災の拠点となる教育施設 の役割の検討や、児童生徒にとってよりよい教育内容の充実を図る必要があります。

(2)現状と課題

現在、町内4つの小学校と1つの中学校が被災したことから、合同の応急仮設校舎を利用して、

授業を再開しています。この応急仮設校舎への通学方法は、小学生が徒歩又はバス通学、中学生 が徒歩又は自転車或いはバス通学となっており、自宅や仮設住宅等から通学しています。

吉里吉里小学校及び吉里吉里中学校においては、施設そのものの被害はありませんでしたが、

多くの児童生徒が自宅を失い、仮設住宅等からの通学を余儀なくされている状況です。

また、町内私立幼稚園においては、2施設とも被災し、おさなご幼稚園は修復した園舎での教 育を再開していますが、みどり幼稚園については自園での再開を見送っている状況です。

このような状況の中、地域のコミュニティが震災津波によって崩壊し、新たに作り上げなけれ ばならない地域と、これまでのコミュニティのよさを維持することができる地域があります。ま た、震災津波による心のケア、学力向上、不登校対策等も含め、現在抱えている教育課題の解決 のために、すべての教職員、家庭及び地域が関わり合いながら、自己の生き方や地域での自分の 役割を見つめる「生き方」を基盤とした教育のための具体的かつ継続的な支援が必要です。児童 生徒の命を守るため、危機管理マニュアルを見直し、復興・防災教育を実践する必要があります。

震災津波によって経済的基盤を失った児童生徒に対しては、継続的に就学を援助する必要があ ります。また、児童生徒の通学手段を確保する必要があります。

被災した学校施設においては、応急仮設校舎の環境が十分でないため、一日でも早い本校舎の 移転建設が必要です。地域活動の場や防災拠点としての学校や給食センターの役割を検討し、防 災設備やエネルギー対策に考慮した設備を整備する必要があります。

未利用となっている教育財産については、使用目的の変更や解体なども含めた整理が必要です。

なお、被災下においても、学校保健事業や学校給食センター運営事業、国際交流事業、ことば の幼児教室などこれまで実施してきた事業を継続する必要があります。また、私立幼稚園に対す る補助又は就園に係る支援が必要とされています。

(3)取組項目

① 教育環境の向上

地域で子どもが育つ教育機能の維持と、教育的な活動を通した地域の活性化のための開かれ た学校づくりの見直しを進めます。また、地域と学校の教育力を高める「いわて型コミュニティ・

スクール」を推進します。

町内すべての小中学校を「いわて型コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育校」

として位置付け、教育内容の連続性や適時性を一層重視した特色ある教育課程を編成し、児童生 徒の豊かな人間性や社会性を育みながら、ふるさと創生に向けた「生き方」教育を推進します。

このため、9年間を見通した教科等カリキュラム「おおつちプラン」を作成し、基礎的・基本的

主体的に自己実現を図ることができるよう「生き方」を基盤とした「ふるさと科」を創設します。

「おおつちプラン」や「ふるさと科」において、情報教育、国際理解教育、ボランティア教育、

キャリア教育等、現在求められている教育内容を盛り込んだカリキュラム作成をします。さらに、

時と場に応じたきめ細やかな支援にあたることができるよう、関係機関との連携を図りながら一 人一人が抱える心の問題や児童生徒の心のケアにあたり、すべての児童生徒が明るく生き生きと した学校生活を送ることができるように努めます。これまでの防災教育を継承しながら、今回の 記録や教訓を活かした復興・防災教育を実践します。

就学指導委員会やことばの幼児教室を活用し、関係機関との連携を図りながら、特別支援教 育の充実を図ります。

② 就学の援助

経済的基盤を失った児童生徒や幼稚園への就園を希望する保護者に対して、継続的に国や県 の就学援助が受けられるように要望します。

震災遺児や経済的な理由により就学が困難な生徒に対して、奨学金事業等を活用して支援し ます。

③ 施設環境の整備

応急仮設校舎での教育環境の充実を図り、地域活動の場や防災拠点としての役割を構築する ため、「開かれた学校」、「エコスクール(みんなにやさしい学校)」、「災害に対応できる学 校」を基本コンセプトとして、すべての教育施設において施設整備を進めます。「いわて型コミ ュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育校」を新設する際は、安全な津波浸水区域外への 高台移転建設を基本とします。すべての教育施設において、災害時における避難施設としての機 能を強化するため、非常時の情報通信手段の確保、防災やエネルギー対策に考慮した設備等の導 入を推進します。

児童生徒の命を守るため、学校ごとの危機管理マニュアルを見直し、児童生徒の安全確保に 努めます。登下校時の災害発生にも対応するため、交通安全保安員の配置や安全な通学路の確保、

遠距離通学児童生徒を対象としてスクールバスを運行します。また、児童・生徒の健康状態の管 理を行い、安全で安心な学校給食を提供します。

未利用となっている教育財産の整理を進め、土地や建物の有効活用を図ります。

表4-12 取組の工程表

取組項目 復旧期(H23-25) 再生期(H26-28) 発展期(H29-30)

①教育環境の向上

②就学の援助

学校再編

小中一貫教育推進 計画の検討・策定

小中一 貫教育 課程

の作成・試行・導入 小中一貫教育の充実

準要保護児童生徒就学援助 被災児童生徒就学援助

被災幼児就園支援事業

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