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2022 年度

政策の方向性 3 教育環境の充実

施策1 共生社会に向けた教育基盤の確立

①未来をつくる子ども育成事業/②インクルーシブ教育システム推進事業/③フレンド シップ(不登校対策・適応指導教室運営)事業/④幼児ことばの教室/⑤特別支援教育 支援員配置事業/⑥障がい児幼児教育補助事業/⑦ひろさき子どもの発達支援事業/⑧

ICT

活用教育推進事業

全国的に少子化の影響により学校数及び在籍児童生徒数が減少している中、2008 年度比 で

2018

年度の小・中学校の特別支援学級在籍児童生徒は

2.1

倍、通級による指導の対象児 童生徒が

1.3

倍に増加しており、特別な支援を必要とする児童生徒が増加し続けている(文 部科学省, 2019)。その多くを占めているのは知的障害のない発達障害等の児童生徒であり、

特別支援学級に在籍する児童生徒の半数以上、通級による指導を受けている児童生徒につ いては増加分の約

74%が該当する。さらに通常の学級には、発達障害の可能性のある児童

生徒が

6.5%在籍している(文部科学省, 2012)ことが指摘されてきており、各自治体にお

いて小・中学校に在籍する特別な教育的ニーズのある児童生徒への対応が喫緊の課題とな っている。

施策1「共生社会に向けた教育基盤の充実」の主な対象である、発達障害等の特別な教育 的ニーズのある児童生徒や不登校の状態にある児童生徒への対応については、周囲の正し い理解が不可欠であり、早期からの実態把握を踏まえた適切な指導及び必要な支援に努め ていくことが必要である。本市においても5歳児発達健診を踏まえた教育相談や巡回訪問、

「子どもの声・意識調査」における未然防止・初期対応のための実態把握等を踏まえた「イ ンクルーシブ教育システム推進事業」「フレンドシップ事業」等、継続した取組によって成 果が挙げられ、現状に至っていると捉えられる。今後は各事業の内容面での一層の工夫・充 実を図るとともに、関係部局を越えた取組や事業間の連携の工夫により、効果的な事業展開 を期待したい。

また、上述した背景を受けて、本市では「連続した多様な学びの場」*1の中で、既に特別 支援学級の拡充が図られてきているが、今後は通級による指導の場の拡充と通常の学級に おける特別支援教育の一層の取組の充実が求められる。通級による指導については、近年で は東京都教育委員会が進める担当教員が各校を巡回して指導を行う「巡回型の通級指導」

(東京都では「特別支援教室」という名称ですべての小・中学校に対応)への注目が高まっ ており、本市においても導入が期待される取組である。巡回型の通級指導は、地理的・交通 的側面による児童生徒本人及び保護者の負担の軽減や、通級指導を受ける児童生徒の心理 的側面に配慮した対応として有効であり、児童生徒の在籍学校及び学級との連携を図って いくことで、より実際的な状況下での対応が可能となるため、一定の指導効果が得られると 考える。また、市全体の体制整備を整えていく上でも状況に応じて順次進めていける、現実 的な対応方策の

1

つであると考える。

さらには、発達障害等による二次的な問題として不登校の状態にある児童生徒が一定数 推察されることや、生徒指導面での課題についても同様の二次的な問題が指摘されている

(文部科学省, 2010)。児童生徒が有する学習上又は生活上の困難への適切な対応による二 次的な問題の未然防止の視点からも、通級による指導や通常の学級における教育的支援の 一層の充実、その土台となる学校経営及び学級経営における基礎的な環境整備の充実が求 められる。そのためには小・中学校の通常の学級を担当する教員を支える仕組みが必要であ り、各校の特別支援教育の中核を担う特別支援教育コーディネーターをつなぎ、支援してい く体制づくり等、学校を越えた仕組みづくりが必要である。

なお、相談支援については、本市の事業だけでなく、県教育委員会の事業や既存の特別支 援学校のセンター的機能の活用及び連携等を図り、効果的に展開していくことで特定の学 校・機関や教員の負担軽減を図っていくことも求められる。

これらの場や人、支援等の効果的な活用につなげる役割の一つが「学びの協力員」であり、

学校の中で、教員と共に児童生徒を支える役割が「支援員」であると捉えられる。これまで 支援員の拡充によって一定の成果が上げられてきたが、いまや支援員の配置はすべての小・

中学校に配備すべき基礎的環境整備の1つとなってきている。今後も引き続きこれらの人 材の活用により一層の充実を図るとともに、児童生徒一人一人に応じた適切な指導及び必 要な支援の充実を図っていくために、学校としての組織的な、さらには市としての広域的に 連携・協働した取組が求められる。

以上のことから、近年の学校現場のニーズの高まり、児童生徒の実態の多様化への対応を 図るうえで、これらの事業の拡充を図るとともに予算の増額が求められる。特別なニーズの ある児童生徒への対応や予算措置は、すべての児童生徒にとっての学びやすさや安心して 学べる状況づくりにつながるものであり、ひいてはこのことが政策課題指標として掲げる

「弘前市の子どもにとって学習しやすい環境」のそのものにつながると考える。

*1 通常の学級における特別支援教育、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校など。

文部科学省(2010)生徒指導提要.

71/83

する児童生徒に関する調査.

文部科学省(2019)行政説明資料「特別支援教育に関する最新動向」.

(施策

1

執筆:菊地一文)

施策 2 教育課題の解決を目指す環境の向上

①小学校少人数学級拡充事業/②小・中学校図書館整備事業/③私立幼稚園教材費補助 事業

施策2)「教育課題の解決を目指す環境の向上」では、子ども一人ひとりの充実した学び やそのためのきめ細やかな指導環境を確保するため、少人数学級の拡充、学校図書館の整備、

私立幼稚園における教材・教具への支援と、幅広い観点から事業が実施されている。

小学校少人数学級拡充事業については、2020年度からは、33人学級から

35

人学級編制 に事業縮小されているが、最近では、自民党の教育再生実行本部が

9

24

日に1クラス

30

人以下の少人数学級の実現に向けて法改正を求める決議を採択したり、政府の教育再生実 行会議初等中等教育ワーキング・グループは

9

8

日に少人数学級を「令和時代のスタン ダード」として推進するよう要請する中間答申をまとめたり、中央教育審議会の新しい時代 の初等中等教育の在り方特別部会では、8月

20

日に公表した「誰一人取り残すことのない

「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(中間まとめ骨子案)」の中で、「『1人1台端 末』による効果的な

ICT

の活用や「新しい生活様式」を踏まえた身体的距離の確保に向け て、教室等の実態に応じて少人数編成を可能とするなど、新時代の教室環境に応じた指導体 制や必要な施設・設備の整備を図る」ことを謳っている。そうした大きな流れの中にあって、

それでも常にゼロベースで検討すべきは、限りある財源の中で、果たして少人数学級という 政策の選択が効果的なのか、ということ、そして、もしその政策を推進するならば、いかに すれば効果をより高めることができるのか、ということである。

中室牧子は著書『「学力」の経済学』の中で、「少人数学級は学力を上昇させる因果効果は あるものの、他の政策と比較すると費用対効果は低い政策である」(105頁)と述べている。

つまり、確かに、これまでの様々な実証研究を通して、少人数学級政策の効果は確認される ところではあるが、その効果の大きさは、費用の大きさに対して、一般的には比較的小さい ということである。またジョン・ハッティは著書『教育の効果』の中で、「エビデンス全体 を通して学級規模が学力に与える効果は一貫して小さい」(117‐118 頁)とした上で、「学 級規模の縮小に『効果は見られない』のも、学級規模の大小ごとに見合うと考えられる授業 形態を論じた上で、学級規模の大小にかかわらず教師が指導方法を変化させないことが効 果の低さにつながっている」(19頁)と述べている。つまり、学級規模を小さくすることが 効果の程度を決める決定的要因なのではなく、その後、学級規模が小さいことを利用して、

それまでできなかった新たな指導方法を開発し、普及、実践する努力がそこには求められる

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