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社会科学分野の研究動向

7. 教育学

分科!教育学"は,!教育学",!教育社会 学",!教科教育学",!特別支援教育"の4つ の細目からなる.分科とし て の!教 育 学"

は,社会の中で営まれる広範な教育活動全般 を対象にしており,教育活動の対象である乳 幼児から子ども・青年・成人の学習・発達に 関わる研究,保育・学校教育(高等教育を含 む)・社会教育・生涯教育の制度・行財政及 び経営・教育内容・教育方法・教育実践等に 関する研究,それらの教育において実現され るべき価値や実践を支える思想・理論に関す る研究,様々な教育活動・教育制度と社会諸 制度との関連及びその社会的機能に関する研 究,ならびに,それらの歴史的展開に関する 研究と国際比較研究などを中心に構成されて いる.研究方法面は,哲学・思想・心理学・

社会学・政治学・経済学・歴史学・人類学・

工学などの方法が多様にとりいれられてお 社会科学分野の研究動向 43

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り,研究領域・方法において,それら諸科学 と隣接している.教育活動そのものが広範に わたることに加え,学校教育・社会教育等の 分野ではそれぞれの専門職養成ならびに教育 現場での実践活動に深く関与し,その改善・

充実に寄与することが求められているという ことにより,実践的性格が強いことも特徴と なっている.さらに,47都道府県すべてに 国立大学の教育系学部・大学院が配置されて おり,また大半の国公私立大学・短期大学が 教職課程を設置していることもあって,教育 学研究者の所属に地域的偏りがあまりないこ とも特徴の一つと言える.

2 過去10年間の研究動向と 現在の研究状況

1. 法学

法学における過去10年の研究動向につい て,各細目ごとにその特徴をまとめてみる.

!基礎法学"細目の分野においては,外国

法,!比較法"の研究として,アジア,東ア

ジア,中国,韓国に関する課題が多くなって おり,科研費採択課題の基礎法学細目379課 題にあって中国は32件,韓国は5件に上る.

また歴史を含むイスラーム法に関係する業績 がみられるようになっており(4件),多様 化しつつある.!法社会学"(51件)に関し ては,昨今の立法の潮流の影響か,法制度に 関わる法文化の研究に関する業績が増加しつ つある.また,司法制度改革に焦点を当てた 研究が目に付く.とりわけ,これらの課題に 関して,実験心理学や綿密なフィールドワー クを基調とした調査を包蔵した多面的な一連 の研究が法社会学を専門とする研究者の側か ら発信されているのは興味を引くところであ

る.!法哲学"の分野では,現代社会におけ

る価値の多様化における法のあり方や役割を

問う研究成果が(10件)みられる.!法制史"

では,現行の主要法典の骨格をなす19世紀 的法理念・法原理と現代社会の諸事象との関 係を問い直す作業が,!近代法の再定位"と いうキーワードを軸に進められている.

!公法学"細目では,基本法である!憲法"

について,昨今俎上にのぼっている憲法改正 さらには教育基本法の改正に関する論議に関 連し,近代立憲主義からの批判的研究あるい は近代立憲主義を超えたところの新たな憲法 論といったように,多面的な研究の方向性が 近時の特徴といえる(科研費採択課題の公法 細目417件のうち!憲法"に関するものは 141件(33%)を占める).!行政法"につい

ては,!公法"細目の417の科研費採択課題

のうち,行政訴訟,地方自治などを含む行政 法関連のテーマが166件(39%)を占める.

その中でも,法科大学院の開設を契機として 行政法(公法教育を含む)の教育方法論をは じめとする!教科"としての行政法論が研究 の対象とされるところまで進んできている.

また,!情報法"は!新領域法学"に分類さ

れているが,個人情報保護法(平成15年法 律第57号)の施行に伴う個人情報保護に関 する研究が!公法"分野における課題とし て,比較法研究を含めて旺盛である.!租税 法"の分野にあっては,法人税,所得税など に関しては産業政策,経済政策,金融政策,

社会政策にも密接に関連する面で,多面的な 要素を本来的に含んでいるが,企業課税を含 めて租税法理論に関す る 科 研 費 採 択 課 題 は,1996年度〜2006年度で細目!公法"417 件の中で37件(9%)に上っている.

!国際法学"細目のうち,!国際公法"の分

野では,近時の国際紛争を反映して,国連平 和維持活動,海洋法などに関する研究が旺盛 である.また,国際紛争に関連する国際人権 法の領域にも顕著な業績がみられる.このこ とは,国際法学の分野においては,1996年

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度〜2006年度の科研費採択課題207件中,

国際公法の課題が144件(70%)を占めてお

り,!国際公法"の分野での活発な研究動向

を窺い知ることができる.なお,!国際経済 法"の領域に関する研究も増加しており,21 件を占めている.!国際法学"に属する環境 法の採択課題も10件あり,ここ数年増加し つつある.!国際私法",!国際経済法",!国 際取引法"の領域では,科研費の採択課題は 58件を占めており,また,いわゆる民事紛 争の国際化に伴って!国際民事訴訟法"の領 域では,従来の外国判決の承認・執行に関わ る課題から国際仲裁の諸問題,国際倒産,国 際裁判管轄など課題の広がりがみられる.

!社会法学"においては,労働審判法(平 成16年法律第45号)が施行され,また労働 契約法の立法化が提唱され,これまでの雇用 制度が多様化し見直されている状況の中で,

!労働法"(!社会法学"細目217課題のうち,

!労働法"に関する課題は110件(50%)を 占める)の学術の動向も新たな段階に入って いるといえる.!社会保障法"の分野では,

高齢化社会下における社会保険制度の変容は 研究の 動 向 に 密 接 に 関 わ っ て お り,21件

(9%)となっている.

!刑事法学"の分野では,とりわけ刑事手 続法における裁判員制度の導入や刑事実体法 における法人犯罪を含む重大犯罪の法定刑に 関する立法の動向が注目される.また刑事手 続法分野にあっては裁判員制度及び公判前整 理手続を対象としたものが多い.また近時の 社会的関心の高まりを受けて犯罪被害者の刑 事手続へのかかわり方,犯罪年齢の低年齢化 に対応して少年司法を扱ったテーマが多いの も特徴といえよう.ちなみに!少年法"に関 す る 課 題 は,1996年 度〜2006年 度 の 細 目

!刑事法"208件の中で18件を占めている.

刑事実体法の分野では,新しい会社法の立法 に伴ってか,法人犯罪(法人処罰)に関する

研究課題は,5件ある.企業のガバナンスや 社会的責任(CSR)が確立された今日にあって 法人の刑事責任のあり方は,個人責任との交 錯の中で新たな局面を迎えているといえる.

!民事法学"(509件)の中でも!民法"の

分野では,民法典の現代語化(平成16年法 律第147号)と相まって財産法の規定の見直 しにかかる議論がここ数年急であり,我が国 の民法が影響を受けてきたドイツ民法の改 正,フランス民法に見直しの機運があること に影響を受けて,これら両国の動向との比較 法研究が多く行われている.ドイツ法に関し ては31件,フランス法に関しては24件を数 える.他方,他領域におけるアメリカ法の継 受を一方で鳥瞰しながら,民法にあっては強 固なパンデクテン体系の中にアメリカ法をど こまでとり込めるかの検証も行われている.

また,このような動向に繋がるものとして,

日本における契約観にみる法意識の研究,契 約法の法制度史考察が科研費採択課題中29 件に上る.財産法における担保法の領域にも 進展がみられ,とりわけ担保取引にかなりの 影響を及ぼした倒産法分野における担保権消 滅請求制度の登場は,既存の担保法理に一定 の変革を迫ったものだけに,かつての制度基 盤の検討からかかる制度の機能,経済分析に まで研究は移行している.!商法"の分野で は,新たな会社法の制定(平成17年法律第 86号)に伴って,この新会社法制に関する 研究が端緒に付いたばかりであり,会社法に 関する科研費採択課題43件のうち現在のと ころ3件に止まっている.!医事法"の分野 では,ここ10年ほどの間に大きな進展をみ せている.医療過誤,インフォームド・コン セント,生殖補助医療,臓器移植,遺伝子医 療など,社会的に耳目を集めた課題が研究の 最前線に登場してきている.特に,臓器移植 については臓器移植法(平成9年法律第104 号)の制定を契機として,生命倫理を基調と 社会科学分野の研究動向 45

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した研究が進展している.かつてはもっぱら 家族法の領域の研究対象とされる傾向があっ

たが,!医事法"分野の確立はこの臓器移植

の問題を主に介して図られたものといえる.

!新領域法学"2003年〜2006年度における科

研費採択課題85件では,!医事法"に関する 研究テーマは,若手研究(特別研究員奨励費 を含む)が3件,基盤研究は8件と11件を 占める.医事法学の発展は,医療過誤の問題 を国民の問題関心を広げたという点で,極め て重要な意味をもとう.証拠の偏在に起因す る民事訴訟上の限局的な問題に収まることな く,医師の専門家としての責任(専門家責 任),医療事故における責任概念にまで議論 が止揚されているところに,この分野の果た した役割の大きさを窺い知ることができる.

!情報法"(!新領域法学"細目としては5件

で あ る が,全 細 目2116課 題 中93件),メ ディア法(!新領域法学"細目としては1件 であるが,全細目2116課題では13件)の領 域においては,インターネット法制に関する 研究が,ここ10年では大きな進展をみた分 野といえる.これに関連して,サイバー法に 関する採択課題が,全細目では10件と近年 増加している.

2. 政治学

細目!政治学"及び細目!国際関係論"で 科研費が支給された実績を過去10年にさか の ぼ っ て 集 計 す る と,細 目!政 治 学"で は,1996年から2006年の間にあわせて629 件の研究に科研費が支給されている.この細 目の中では,!比較政治"の採択件数がもっ とも多く(187件),そのなかでは特定の国 や地域に焦点をあわせた地域研究が多数にの ぼる.ごく最近の事例では,韓国や中国,さ らにはアジア諸国やイスラーム圏との関係を 検討する研究が増える傾向にある.このほ か,この3年間では,政治経済を対象にした

研究が20件,グローバル化をとり上げた研 究が8件,それにソーシャル・キャピタル論 が3件である.!比較政治"につづくのが,

!行政学"である.採択数は100件に上るが,

この分野では地方自治の研究を中心に,政策 分析や政策評価など公共政策に関わる件数が 増加する傾向を示している.過去3年間を キーワードで見ると,多いのはガバナンス研 究が9件,市民社会論が8件,NPMとNPO がそれぞれ5件と4件になった.!政治史"

や!政治過程論"も採択される件数が多い.

!政治史"の研究では,ソ連の崩 壊 や ヨ ー ロッパ政治の再編成などを対象にした研究が 目を引く.アジアではインドネシアやタイな どの近代政治史研究が従来と同様,関心を呼 んでいる.!政治過程論"の分野においては,

ジェンダーや男女共同参画政策など従来には なかった課題に関心が集まっている.また,

政策決定を題材にした研究はこの3年間では 6件ある.!政治思想史"では,これまでと 同様イギリスを中心にした民主主義理論の考 察を試みる事例が多い.

!国際関係論"で科研費が支給された件数 は,1996年からの10年間で合計422件であ る.なかでも,!外交史"の研究で採択され る例が極めて多い.その数は,全体の37.2%

にあたる157件になる.その他の分野での採 択 数 に は 大 き な 差 異 は な く,平 均 す る と 26.5件になる.そのなかでは,!安 全 保 障 論"の研究で採択される割合が47件と多く,

内容は日中を対象にした研究が多数を占め る.なお,!国際関係論"では学際的な色彩 のつよい研究が多いという特色が見られる.

EUの環境政策や平和構築,それに移民政策 などが,その代表的な事例になる.

3. 経済学

経済学の過去10年間の研究動向にはいく つかの特徴が見られる.その特徴を明らかに

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ドキュメント内 本文(14Q2段組)/YA8183B (ページ 40-62)

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