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敗戦時に,公式には廃棄されたことになってい る.

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したがって,外邦図についての研究課題も,この 特徴に応じて,たとえば次のように設定されよう.

1.1. 各地域,各時代の地表景観を読み取る.

1.2. 地形図作成技法の変遷をたどる.

2.1. 大日本帝国(陸軍)の軍事的意図およびその

変遷と外邦図作成範囲・作製手法等との関連 を考察する.

(付) 兵要地誌等との関係を考察する.

2.2. 外国製地図の入手法を調べ,複製法を復元す

る.

2.3. 係争地等での秘密測量の実態を探る.

2.4. 作戦・軍事行動等への活用の実態を解明する.

2.5. 諸外国の軍用地図類と比較する.

3.1. 敗戦時の外邦図保有状況を復元する.

3.2. 敗戦直後およびその後の外邦図移動状況(経

路,移動先,部数,移動計画・実施者等)を たどる.

3.3. 現在の外邦図保有状況を明らかにし,基礎情

報の共有を図る.

3.4. 外邦図の今後の望ましい保存・活用の方策を

立てる.

その作製の経緯からして,外邦図に関しては公的 な記録がきわめて乏しく,また戦後ある時期まで は それに触れるのをはばかる雰囲気があったよ うである.その後も,東北大学自然史標本館(1995 年 10 月開館)への外邦図の整理収蔵・一部公開展 示に際して田村(1996,1998,2000)が取り上げた 頃までに公刊されていた記録は,測量・地図百年 史(1970),長岡(1993)など,きわめて限られて いた.一方で,外邦図を基本的地図情報として地 形・土地利用研究に活用することは,静かに進行 していた(たとえば,西村 1964,Yonechi and Win Maung 1986,白尾 1995,氷見山・牧田ほか 1998など).

2002 年に開始された科学研究費補助金による共同 研究(研究代表者:小林 茂)では,上記の外邦 図の基礎的研究課題のほぼすべてに着手したが,

成果として報告できる内容には自ずから精粗があ る.今回のシンポジウムでは,現段階での成果の 一端を披露し,広く討論を巻き起こすことを意図 した.秘密のうちに作られ,厳重に管理されてい た地図を自由に用い,それについて公開の場で広 く検討できるようになったことの意義を再確認し つつ,議論を深めていただきたい.

東北大学・京都大学・お茶の水女子大学における外邦図所蔵状況およびその目録について

The GAIHOUZU, is possessed by Tohoku University, Kyoto University and Ochanomizu University, and it’s catalogs

渡辺信孝(株式会社タムラプランニングアンドオペレーティング)、山村亜希(愛知県立大学)、 大浦瑞代(お茶の水女子大学・院)、髙槻幸枝(お茶の水女子大学・院)

Nobutaka WATANABE (TAMURA P&O Co., Ltd.), Aki YAMAMURA (Aichi prefectural Univ.), Mizuyo OOURA (Graduate student, Ochanomizu Univ.), Yukie TAKATSUKI (Graduate student, Ochanomizu Univ.)

キーワード:東北大学 京都大学 お茶の水女子大学 外邦図 目録

Keywords: Tohoku University, Kyoto University, Ochanomizu University, GAIHOUZU, catalogs

 旧日本陸軍は、軍事上の必要性から日本国外の地域につ いても地図を作製しており、それらは「外邦図」と呼ばれ ている。外邦図の作製範囲は非常に広範囲であり、アジ ア・太平洋地域の大部分に及んでいる。しかし、軍事機密 であったため一般に頒布されることは無く、また、その大 部分は終戦の際に処分・散逸したため、現在にいたるまで その存在はあまり知られていない。

次に、外邦図の目録作製に関してであるが、作業は東北 大学所蔵分より始められた。これは、1995年の理学部附属 自然史標本館の整備に伴い、同館に外邦図が収納されるこ とになり実施されたものである。その後、2002年に「『外 邦図』の基礎的研究:その集成および地域環境資料として の評価をめざして」が、科学研究費補助金に採択されたこ とにより、京都大学及びお茶の水女子大学においても目録 の整備がおこなわれることとなった。この時点で既に東北 大学では目録作製作業を完了しており、両大学はこの目録 を基に作業を進めている。

外邦図は現在、国会図書館をはじめ幾つかの機関に所蔵 されており、その一部は様々なルートを経て、東北大学・

京都大学・お茶の水女子大学で保有されるに至っている。

各大学は、それぞれ1万枚強の外邦図を所蔵しているが、

近年までそれらは未整理、もしくはごく簡便な目録が存在 するのみで、充分に利用可能な状況とは言い難かった。

現在の目録整備状況は、東北大学分は印刷物として発行 済み(A3 244pp)、京都大学分は印刷準備中である(6 月現在)。また、お茶の水女子大学分は、作製作業中であ り、今年度中の印刷を予定している。

筆者らは、これら三大学における外邦図の目録作製作業 に関与し、その一部については製本・発行の段階にまでこ ぎつけている。本発表では、各大学における外邦図の所蔵 状況と、目録の作製経緯およびその作業を通じて明らかに なった点について報告する。

目録の掲載項目は、図幅名、縮尺、経緯度の他、大きさ、

使用色数、測量・製版・印刷機関である。さらに、判明し ているものについては、製版時期・測量時期を記載した。

図幅の中には、中国、イギリス、フランスなど他国製の 地図をそのまま利用している場合も多く、経緯度の基準が 大きく異なるものも存在する。また、図版の大きさや使用 色数も統一されていない。このため、掲載項目の決定及び 記述には大変な労力を要した。

まず所蔵状況であるが、東北大学においては理学部附属 自然史標本館に所蔵されている。所蔵枚数は約72,309 だが同じ図幅が平均約6枚ずつあるため、図幅数としては

12,282種類となる。京都大学においては主に京都大学総合

博物館に所蔵されており、所蔵枚数は13,495 枚(図幅数

11,712種類)である。お茶の水女子大学においては文教育

学部人文科学科地理学コースに所蔵され、所蔵枚数は約 16,000枚である。

目録の整備は、外邦図へのアクセスを容易にするもので ある。今後、これらの目録が広く活用され、外邦図の利用・

研究が活発に行われることを期待している。

日本および海外諸機関における外邦図の系譜関係

          Genealogy of Japanese military maps possessed by public institutions in Japan  and overseas countries

           

久武 哲也(甲南大学     今里 悟之(大阪教育大学)

       Tetsuya HISATAKE (Konan Univ.) Satoshi IMAZATO (Osaka Kyoiku Univ.)

キーワード:外邦図、アメリカ地理学協会地図コレクション、アメリカ議会図書館、大英図書館、陸地測量部、資源科学 研究所

Key words: Japanese military maps, American Geographical Society Map Collection, Library of Congress, British Library, Surveying Section of Japanese Army, Institute for Science of Natural Resources

1 はじめに   

第 2 次世界大戦前に、日本の陸地測量部を中心に作成さ れた「外邦図」は、日本の敗戦と同時に焼却され、また接 収されたりして、散逸したものが多い。しかし、こうした 戦後の混乱にもかかわらず、多くの外邦図が日本の大学や 研 究 機 関 だ け で な く 、 海 外 に お け る 大 学 お よ び 公 的    機関にも数多く所蔵されている状況が、次第に明らかにな ってきた。本発表は、こうした内外の諸機関に所蔵されて いる外邦図の所蔵にいたるまでの過程を検討するとともに、

その系譜関係を明らかにすることを目的としている。 

 

日本の公的機関においては、その所蔵がほとんど確認さ れていない、戦前に撮影された中国大陸の空中写真、ある いは戦後、占領期に原版から再度印刷に付されてアメリカ に送られた外邦図、さらにまた、こうした外邦図が、米軍 によって、朝鮮戦争における重要な戦略地図として使用さ れた状況、なども明らかになった。こうした外邦図の接収 の過程、所蔵の状況、さらに戦後の利用過程などについて は、まだ不明の点も多いが、現段階において明らかになっ た事実を報告したい。 

 

2日本における外邦図の系譜関係 

 現在の段階で、国内における大学や公的機関の外邦図の 所蔵状況を調査した結果、東北大学、東京大学、京都大学、

広島大学、立教大学、大阪大学、筑波大学、熊本大学など の諸大学のみならず、国会図書館や岐阜県立図書館世界分 布図センターなどの公的機関も、数多くの外邦図を所蔵し ていることが明らかになった。また、敗戦の直後に参謀本 部から持ち出された外邦図のいくつかの流出経路も、関係 者の証言や史料から明らかになった。本発表では、旧資源 科学研究所所蔵の外邦図が、日本や海外の各大学あるいは 公的機関に分配された状況を、浅井文書(元・お茶の水女 子大教授浅井辰郎氏の所蔵文書)を基礎に分析した結果を 紹介したい。そしてさらに、こうして分配された後、日本 の国内の諸機関で、相互に外邦図の 2 次的分配や交換が行 われ、現在の所蔵に至った過程もあわせて検討したい。 

 

3海外における公的機関の外邦図 

  戦後における日本の敗戦処理過程あるいは占領体制の もとで接収され、海外に流出していった外邦図の数は膨大 な規模に達すると思われるが、その所蔵機関をすべてに亘 って特定していくことは不可能に近い。しかし、1 万数千 枚以上に達する外邦図をセットとして所蔵する機関は、海 外においても、そう多くはない。大英博物館やオランダの 機関、さらにアメリカのクラーク大学などの大学や公的機 関での所蔵が確認されているし、現地で確認されたもの以 外に、その所蔵が情報として得られたものも含めて考える と、まだ多くの機関が所蔵しているようである。本報告で は、アメリカ議会図書館およびアメリ地理学協会地図コレ クション(ウイスコンシン大学ミルウォーキー校、ゴル

ダ・メアー図書館)において実施した外邦図調査の結果を 紹介する。 

 

4 外邦図の所在確認と目録作成の必要性 

 外邦図の持つ意義に関してみると、明治期以降における 日本の植民地形成、あるいは戦争や占領統治の状況などを 具体的に知るための重要な資料であると同時に、情報とし ても日本で大きく欠落している近代地図史と軍事との関 わりを、測量から地図作成に至る技術的側面だけでなく、

地理的情報の収集と組織化あるいは軍事的利用の過程、さ らにそうした地理的情報の公開と利用の制限など、地図の もつ社会的、政治的、軍事的要素とのさまざまな結びつき 方を知り得る貴重な史料でもある。戦後も外邦図は、海外 調査や環境変化をめぐる比較資料としてさまざまな形で 利用されてきた。しかしながら、現在、日本だけでなく海 外の多くの所蔵機関においても、外邦図の多くは紙面の劣 化が急速に進み、その対策を考えなければならない状況に ある。こうした状況の中で、外邦図の所蔵機関の確認とそ の目録の整備に関しては、日本だけでなく海外の諸機関に ついても、原図の調査が可能なうちに、早急に、しかも組 織的に推し進めていく必要があろうと思われる。 

 

  参考文献 

久武哲也 2003 旧資源科学研究所所蔵の外邦図と日本 の大学・研究機関所蔵の外邦図の系譜関係.外邦図研 究ニューズレター,No.1, 15‑20. 

今里悟之・久武哲也 2003 在アメリカ外邦図の所蔵状況

―議会図書館・AGS Golda Meir 図書館・ハワイ大学ハミ ルトン図書館の調査から.外邦図研究ニューズレター,  No.1, 33‑36. 

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