10. 推定結果のプレゼンテーション
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この節では、売上反応モデルの推定結果をわかりやすく表現する方法について、次の2つの 観点から議論する。
1. パラメータ推定値の表現 2. シミュレーションによる表現
10-1. パラメータ推定値の表現
次の2点に留意する:
• わかりやすく表現する
関数形 表現の例
𝑌𝑖 = 𝛽1 + 𝛽2𝑋2 + ⋯ 他の変数が変わらないとして、広告支出が百万円増 えると、売上数量は1000 𝛽2個 増える
log(𝑌𝑖) = 𝛽1 + 𝛽2𝑋2 + ⋯ 他の変数が変わらないとして、広告支出が百万円増 えると、売上数量はexp( 𝛽2)倍に増える (注1)
𝑌𝑖 = 𝛽1 + 𝛽2log(𝑋2) + ⋯ 他の変数が変わらないとして、広告支出が1パーセン トポイント増えると、売上数量は9.95 𝛽2個増える (注 2)
log(𝑌𝑖) = 𝛽1 + 𝛽2log(𝑋2) + ⋯ 他の変数が変わらないとして、広告支出が1パーセン トポイント増えると、売上数量は𝛽2パーセントポイ ント増える
例: 𝑌1は売上数量(1000個), 𝑋2は広告支出(百万円)
注1) log 𝑌2 = log 𝑌1 + 𝛽であるときexp 𝛽 = 𝑌2Τ𝑌1 注2) log 1.01𝑋 − log 𝑋 = log 1.01 = 0.00995
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• 推定の不確実性を伝える
例) 3節モデル2によって推定した販売補助支出額の効果
99%
100%
101%
102%
101.1%
販売補助支出額が
1パーセントポイント増えると...
売上数量
図中の点線は推定値の95%信頼区間
宣材送付個数が変わらないとして、
販売補助支出額が1パーセントポイント増えると、
売上数量は1.1パーセントポイント増える
Code 20
10-2. シミュレーションによる表現
◼ シミュレーションによる表現の意義
• 目的変数の分布の任意の統計量に対して、説明変数の効果を示すことができる
• 例) 「すべての店舗の販売補助支出金額を10000円増やしたら、売上数量
10000個以上の店舗数はどうなる?」
• パラメータ推定の不確実性だけでなく、次の3つのばらつきを表現できる
• パラメータ推定の不確実性
• 説明変数の分散によって生じるばらつき
• 撹乱項によって生じるばらつき
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◼ 方法 (King, Tomz, Wittenberg, 2000) 例) 3節モデル2による
• モデルは
log 𝑌𝑖 = 𝛽1 + 𝛽2 log 𝑋2𝑖 + 𝛽3𝑋3𝑖 + 𝑈𝑖 𝑈𝑖 ∼ 𝑁(0, 𝜎2)
• すべての店舗において𝑋2𝑖 (販売補助支出金額)が𝑐増大したときの売上数量につ いてシミュレーションしたい
<記号>
• 𝑦𝑖, 𝑥1𝑖, 𝑥2𝑖 : データ
• 𝜷 = ( መ 𝛽1 𝛽መ2 𝛽መ3)′
• 𝚺 =
𝑉𝑎𝑟( መ 𝛽1) 𝐶𝑜𝑣( መ 𝛽1, መ𝛽2) 𝐶𝑜𝑣( መ 𝛽1, መ𝛽3) 𝐶𝑜𝑣( መ 𝛽2, መ𝛽1) 𝑉𝑎𝑟( መ 𝛽2) 𝐶𝑜𝑣( መ 𝛽2, መ𝛽3) 𝐶𝑜𝑣( መ 𝛽3, መ𝛽1) 𝐶𝑜𝑣( መ 𝛽3, መ𝛽2) 𝑉𝑎𝑟( መ 𝛽3)
• 予測値のシミュレーション
• 架空のシナリオについての予測に適する
• 個々の𝑖について、𝑌෨𝑖𝑗 = exp ෨𝑏1𝑗 + ෨𝑏2𝑗 log 𝑥2𝑖 + 𝑐 + ෨𝑏3𝑗𝑥3𝑖 + 𝑢𝑗 を多数 生成する
• ただし、 ෨𝑏1𝑗 ෨𝑏2𝑗 ෨𝑏3𝑗 ′ ∼ 𝑀𝑉𝑁 𝜷, 𝚺 , 𝑢𝑗 ∼ 𝑁(0, ො𝜎2)
• 𝑌෨𝑖𝑗に来店客数を掛けた値の分布を示す
観察対象1
𝑥2,1 𝑥3,1 𝑀𝑉𝑁 𝜷, 𝚺 𝑁(0, ො𝜎2)
𝑌෨1,1 𝑌෨1,2 𝑌෨1,3 … 𝑌෨1,10000 𝑐
観察対象200
𝑥2,200 𝑥3,200 𝑀𝑉𝑁 𝜷, 𝚺 𝑁(0, ො𝜎2)
𝑌෨200,1 𝑌෨200,2 𝑌෨200,3 … 𝑌෨200,10000 𝑐
…
…
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各店舗の販売補助支出額を一律に X 円増減させたときの、売上数量の予測値の分布
予測値の分布の形状 予測値の平均
各店舗の実際の売上数量(平均3,377個)
Code 21
• 期待値のシミュレーション
• 説明変数の効果の表現に適する
• 個々の𝑖について、𝑔𝑖𝑗 = ෨𝑏1𝑗 + ෨𝑏2𝑗 log 𝑥2𝑖 + 𝑐 + ෨𝑏3𝑗𝑥3𝑖を多数生成する
• 個々の𝑔𝑖𝑗について、𝑌෨𝑖𝑗𝑘 = exp 𝑔𝑖𝑗 + 𝑢𝑘 を多数生成し、その平均 𝐸෨𝑖𝑗[ ෨𝑌𝑖𝑗𝑘]を求める
• 𝐸෨𝑖𝑗[ ෨𝑌𝑖𝑗𝑘]に来店客数を掛けた値の分布を示す
観察対象1
𝑥2,1 𝑥3,1 𝑀𝑉𝑁 𝜷, 𝚺
𝑁(0, ො𝜎2)
𝑔1,1 𝑔1,2 𝑔1,3 … 𝑔1,10000 𝑐
𝑌෨1,1,1 𝑌෨1,1,2 … 𝑌෨1,1,10000 𝐸෨ [ ෨𝑌 ]
𝑌෨1,10000,1 𝑌෨1,10000,2 … 𝑌෨1,10000,10000
𝐸෨ [ ෨𝑌 ]
… …
…
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各店舗の販売補助支出額を一律に X 円増減させたときの、売上数量の期待値の分布
期待値の分布の形状 期待値の平均
各店舗の実際の売上数量(平均3,377個)
Code 21
この章の引用文献
片平秀貴(1987) 「マーケティング・サイエンス」, 東京大学出版会.
里村卓也(2010)「マーケティング・モデル」, 共立出版.
金明哲(2017)「Rによるデータサイエンス 第2版」, 森北出版. 浅野皙・中村二朗(2009) 「計量経済学 第2版」, 有斐閣.
Hestie, T., Tibshirani, R., Friedman, J. (2014) 「統計的学習の基礎」, 杉山将ほか(監訳・訳), 共立出版. (原著 2011)
Christen, M., Gupta, S., Porter, J.C., Staelin, R., Wittink, D.R. (1997) Using Market-Level Data to Understand Promotion Effects in a Nonlinear Model. Journal of Marketing Research, 34(3), 322-334.
King, G., Tomz, M., Wittenberg, J. (2000) Making the most of statistical analysis: Improving interpretation and presentation. American Journal of Political Science, 44(2), 341-355.