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第 6 章 地震発生後の即時被害推定

6.1 推定手法

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ここで,(1) で述べた,加速度時刻歴データから計測震度に変換する方法を以下に述べる.

① 加速度記録3成分(水平動2成分,上下動1成分)のそれぞれのフーリエ変換を求める.

② 表 6.1 を参考に,地震波の周期による影響を補正する 3 種類のフィルターを掛ける.ただ し,fは地震動の周波数(Hz),yはfに1/10を乗した値とする.

表 6.1 フィルターの種類及び算式

フィルターの種類 算式

周期の効果を表すフィルター (1 / f) 0.5

ハイカットフィルター (1 + 0.694y2 + 0.241y4 + 0.0557y6 + 0.009664y8 + 0.00134y10 + 0.000155y12) -0.5

ローカットフィルター (1 – exp (– (f / 0.5)3 ) )0.5

③ 逆フーリエ変換を行い,時刻歴の波形に戻す.

④ 得られたフィルター処理済みの3成分波形をベクトル的に合成する.

⑤ ベクトル波形の絶対値がある値 a 以上となる時間の合計を計算したとき,これがちょうど 0.3秒となるようなaを求める.

⑥ ⑤で求めたaを,I = 2 log a + 0.94 により計測震度Iを算出する.ただし,計算されたIの 小数第3位を四捨五入し,小数第2位を切り捨てたものを計測震度とする.

上記のようなデジタル処理によって計測震度を計算する.従来から用いられてきた,最大加速 度を震度に換算する河角(1943)37) の式との違いは,加速度記録に低周波数側を強調する②のよ うなフィルターを施した上で,最大値そのものではなく 0.3 秒以上継続する値を使用する点であ る.

ここで,(4) で述べた,非木造建物の全壊棟数の評価手法について述べる.

まずPGV(地表最大速度)の算出について,5.3.2では神奈川県と同様の手法で計算するために,

翠川ほか(1999)33) の関係式 (5.7) を用いて計測震度からPGVを算出したが,この関係式は高震 度域への適用性が十分に検証されていないことが指摘されている(藤本・翠川,2005)38) .また,

兵庫県南部地震以降,強震観測網の整備・拡充により高震度の強震記録が得られてきており,藤 本・翠川38) は,これらの強震記録を加えて計測震度と地震動強さ指標との関係について再評価を 行い,それにより下記の式を得ている.

I = 2.165 + 2.262∙log(PGV) (I < 4) (6.1)

I = 2.002 + 2.603∙log(PGV)- 0.213∙log(PGV)2 (I ≥ 4) (6.2)

ここでI,PGVはそれぞれ,地表面の計測震度,最大速度である.本研究では,近年発生した地震 による多数の強震記録データで回帰された上記の式を採用し,PGVを算出することとした.ただ し, (3) により評価した50 mメッシュの地表計測震度の最小値が 4未満の場合は式 (6.1) を,

最小値が4以上の場合は式 (6.2) を採用した.

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次に非木造建物の被害率について,5.3.2で述べた愛知県(2003)32) による被害率の式 (5.6) に 着目すると,PGV が 10 以下であった場合は真数が正の数をとらないため,全壊率を求めること ができない.そのため,式 (6.1),式 (6.2) によって推定した 50 mメッシュのPGVの最小値が 10以下であった場合は,全てのメッシュにおいて林・宮腰(1998)34) による手法(式 (5.8) )を 適用した.各区分の分布関数のパラメータ(λ,ζ)を表 6.2に,得られる被害率曲線を図 6.2に示 す.ただし,PGVの最小値が10より大きい場合は,階層別の違いを考慮している愛知県(2003)

32) による手法(式 (5.6) )を採用した.

以上のように,木造建物における被害推定は想定地震と同様の手法をとり,非木造建物につい ては地表面の計測震度と最大速度の最小値によって評価手法を変えることとし,地震発生時にこ のような評価手法の場合分けを自動で処理できるよう,システム内に組み込んだ.

以上の (1)~(5) のデータ処理の流れをシステム化することで,K1 観測点に加速度時刻歴デー タが記録された後,逗子市全域の被害推定を実施し,推定結果をWeb上に公開するまでの一連の 過程を自動化した.また,推定結果については,第5 章で述べた被害想定と同様に地盤特性の評 価法を変化させ,それぞれの推定結果を一度に表示,閲覧できるシステムを組み込むことで,閲 覧者が容易に推定結果の比較をできるよう配慮した.

表 6.2 非木造建物における分布関数のパラメータ

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0 50 100 150

全壊率(%)

地表最大速度(cm/s) -1971

1972-81

1982-0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0 50 100 150

全壊率(%)

地表最大速度(cm/s) -1981

1982-RC造 S造

図 6.2 非木造の被害率曲線

構 造 年 代 λ ζ

-1971 5.16 0.849 1972-81 5.40 0.710 1982- 5.58 0.551 -1981 4.80 0.644 1982- 5.44 0.576 RC造

S造

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