第 3 章 瞬間はんだ接合部の熱抵抗に及ぼす接合圧力の影響
3.2 実験方法
3.2.1 接合サンプル作製
厚さ 300μm,抵抗率0.01Ωcmの単結晶シリコンウエハ Si(001)を用意し,ダイサーを
用いて 10×10mm(Top-side chip)および10×12mm(Bottom-side chip)の2種類の形状 に切り出した後,以下の手順ではんだ膜と Al/Ni ナノ多層膜を積層した接合用試料を 作製した.まず切り出した全てのチップ状試験片を脱脂・純水洗浄した.次に Top-side
と Bottom-side の両方の Si 上に,DC マグネトロンスパッタリング法を用いて 50nmCr
層と 500nmNi層を成膜した.その後,Ni層表面上に厚さ2, 4, 6, 8, 12 μm の Sn-3.5Ag 層を成膜した.ここでCr/Ni層はSn-3.5Ag層の密着性を確保するための下地層である.
最後に Bottom-side chip の Sn-3.5Ag 表面側に二元 DC マグネトロンスパッタリング法
を用いて Al/Niナノ多層膜を成膜した.表 3-1
Sputtering condition for Al/Ni reactive multilayer film
Al/Ni多層膜の成膜条件を示す.前章で述べた通り,Al/Ni多層膜は原子比が Al:Ni=1:1の状態で均一に反応した場合,AlNi合金が生成される.このAlNiは
Al-Ni 系金属間化合物の中では最も生成エンタルピーが高く,発熱量は Al-Ni 系金属間化 合物では最大値を示すことから,本実験では前章と同様,Al:Ni 原子比が1:1になるよ
うに 60nmAl/40nmNi をバイレイヤーとして,総厚 30μmまで成膜した.
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表 3-1
Sputtering condition for Al/Ni reactive multilayer film
次に,作製した Top-side chipと Bottom-side chipを一対として, 自己伝播発熱反 応による瞬間はんだ接合体を作製した.図 3-1 (a)および(b)に示す様に Top-side chip
の Sn-3.5Ag 表面と Bottom-side chipの Al/Ni 表面を対向させた状態で,真空チャン
バー付き縦型プレス式加圧装置内に水平に静置する.4×10-4Pa まで減圧後,3MPa も
しくは 20MPaの圧力で試料を加圧した状態で,直流安定化電源で 10V-0.1Aを印加し
た電極を Al/Ni 層に接触させて自己伝播発熱反応を誘起させた.反応後の接合試料は
図 1(c),(d)に示す様に Al-Ni 化合物を挟む形で一体化している.このように作製した
Sn-3.5Ag層厚さと加圧条件の異なる接合試料を以降の測定に供した.
なお,前章では瞬間接合試料に接合不良が認められ,これが著しい熱抵抗の増加を 招いていた.接合前の加圧の際,加圧治具は試料上面を偏りなく,均一に加圧しなけれ ばならないが,本実験では均一な加圧ができているかを事前に確認した.具体的には,
プレスケール(富士フィルム(株) PSC-LLW)を用いて加圧冶具と接合試料の当たりを確 認した.図 3-2にプレスケールの模式図と加圧後のプレスケールを示す.図 3-2 (a)の ようにプレスケールは Aフィルムと Cフィルムの 2つから構成されており,薬品が塗
(a) Al/Ni multilayer film
Target Al Ni
Applied power [W] 100 80
Ar pressure [Pa]
Time [sec] 236 167
0.2
(b) The outermost layer
Target Al Ni
Applied power [W] 100 80
Ar pressure [Pa]
Time [sec]
236 167
0.2
3933 4175
1967 2088
0.5μm
1.0μm
60nm/40nm
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布されている面同士を重ね合わせて使用する.A フィルムには発色剤,C フィルムに は顕色剤が塗布されており,加圧の際に顕色剤に発色剤が付着し,反応することで赤 く発色する.加圧治具が均一に加圧できていない場合,図 3-2 (b)のように赤い部分が 偏っていることがわかる.一方,均一に加圧できている場合,図 3-2 (c)のように加圧 箇所全体が赤く均一に染まっていることがわかる.以上のように,加圧が適切に行わ れていることを都度確認しながら,接合実験を進めた.
図 3-1
Schematic process flow of Al/Ni reactive soldering for Si chips.
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図 3-2 The schematic process for pre-scale.
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