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臨床有効性及び安全性データに加え、非臨床薬理、薬物動態、TK、ADME 及び毒性試験は、

MS患者に240 mgの本剤を安全に1日2回経口投与するための妥当性を示す。

非臨床試験ではDMFの以下が示された。

1. 細胞保護作用及び抗炎症作用の詳細な検討から、これらの作用は部分的にNrf2経路の活性化 によって媒介されるが、Nrf2経路以外の作用機序も関与する可能性がある。

2. 薬物動態及び代謝の検討から、経口投与後速やかに MMFに代謝され、さらにフマル酸に代 謝された後、処理能力の高いTCA回路を介して排泄される。

3. 包括的な一連の前臨床安全性試験から、安全性プロファイルが詳細に評価された。

非臨床試験全体から、MS 患者における本剤使用の安全性及び薬理学的根拠の両面を裏付ける 十分なエビデンスが得られた。

MS の発症機序は多面的であり、複数の経路を経て進行する。免疫細胞が活性化され、中枢神 経系に浸潤すると、細胞障害が広がり、最終的に細胞死を起こし、脱髄、神経変性を起こして発 症、身体機能障害が進行する。薬理試験結果から、MSの治療に本剤を使用する科学的根拠となる DMF の薬力学的作用が示された。DMF の正確な作用機序は十分に明らかにされていないが、こ れらの試験は、多面的にMSの発症機序を検討し、DMFが末梢及び中枢神経系細胞・組織で抗炎 症作用及び神経保護作用の両者を直接的に促進することを示した。MSの疾患を進行させることが 知られている経路に対するこれらの作用は、MS患者に対する治療ベネフィットを高め、既承認薬 とは異なる新たな治療法となることが期待される。

前胃及び精巣の変化は、ヒトでのリスクにおける懸念が低いと判断された。

前胃の炎症及び腫瘍は、げっ歯類に特異的であると考えられた。げっ歯類の前胃に類似する組 織が非げっ歯類(イヌ及びサル)及びヒトの咽頭及び食道の上皮細胞にみられるが、11~12ヵ月 までの試験でイヌ又はサルのこれらの組織に、DMFに関連した変化は認められなかった。げっ歯 類の前胃に相当する器官はヒトの胃にはなく(Proctor et. al., 2007)、臨床製剤は酸性環境(すな わち胃)で放出されないよう特別にデザインされているため、げっ歯類の前胃の変化は、ヒトで の安全性に関する懸念が限られている。

精巣の変化は、以下の点でヒトでのリスクにおける懸念が限定されていると判断された。(1) 組 織パターンが異なっているラット及びイヌでの影響は、作用機序が関連しない可能性が高いこと、

(2) イヌで観察された精細管変性は、重度の体重減少によるものであり、直接的な薬理又は毒性作 用ではなく栄養不良による影響であったと示唆されること(Russell et al., 1990)、及び (3) CD-1 マウス及びサルでは精巣への影響が認められなかったこと。ラットでは、精巣間細胞過形成及び 精巣の腺腫が認められた。精巣腫瘍がヒトに関連しない可能性を示唆する複数の根拠として以下 が挙げられる。(1) 本剤の経口投与で予測される精巣の曝露量は低いこと、(2) アンドロゲン経路

を阻害する生体異物に一致する様々な変化が認められたこと、(3) アンドロゲン経路を阻害する生 体異物の生涯曝露により精巣間細胞腺腫を発現するラットの感受性はヒトに関連しない機序を介 していること、(4) イヌ及びサルの1年間慢性毒性試験で間細胞増殖が認められなかったこと、並

びに (5) マウスの2年間がん原性試験で類似変化が認められなかったこと。したがって、本剤投与

がヒトの精巣への影響に関するリスクを有する可能性は低い。

腎臓の変化は複数の動物種で観察され、ヒトの臨床用量における曝露量と比較して安全域が狭 かった。ラットを用いたDMFの探索試験では、尿中アルブミンが腎障害の非侵襲性バイオマーカ ーとして確認され、第III相臨床試験にバイオマーカーとして尿中ミクロアルブミン及びβ2-ミク ログロブリンが組み込まれた。本剤投与被験者で腎臓又は泌尿器有害事象発現リスクの増加はな かった。本剤群で、蛋白尿の発現率にわずかな増加が認められたが、この増加は臨床的意義はな いと考えられた([M2.7.4.2.3.6.7])。腎腫瘍は、2年間がん原性試験でマウス及びラットに低発生 率で認められた。DMF及びMMFに遺伝毒性は認められず、尿細管における直接的な細胞毒性は 認められず、マウス及びラットで腎症の発現率及び重症度スコアの用量比例性の増加が認められ たため、加齢性腎症の悪化が DMF 投与による腎障害を進行させた要因であった可能性が高い。

Hard et al., 2009によってレビューされているように、げっ歯類で加齢性腎症の悪化によって腎腫

瘍を促進する化合物は、ヒトでのリスク評価から除外されるべきである。腎腫瘍の独立した再評 価では、国際PWGは、DMFがげっ歯類特異的な腎症を悪化させる作用を有し、この作用により げっ歯類の腎腫瘍が発生したと判断した。本剤投与を受けたMS患者にはDMFに直接関連した腎 臓への影響が認められなかったため、ヒトでのリスク評価に対するげっ歯類腫瘍の関連性は低い と考えられる。

全体として、臨床開発プログラム及び市販後の現在のデータでは、本剤が腎尿細管に直接的な 毒性と関連するエビデンスは示されていない。それでもなお、腎障害は可能性のある重要なリス クのままであり、綿密な市販後調査は継続して行う。悪性腫瘍は中核医薬品リスク管理計画(RMP) に重要な潜在的リスクとして含まれており、通常の医薬品安全性監視手順に従って綿密なモニタ リングを継続する予定である。

DMFは受胎能への影響が認められず、ラット及びウサギでは発生毒性を示さないと考えられた。

DMF 投与は、母動物の体重減少とそれに起因する流産頻度の増加(ウサギ)、胎児体重の減少、

胎児奇形は起こさないが胎児四肢の骨化数の減少(胎児変異)(ラット)、及び包皮分離の遅延

(雄ラット)と関連した。

幼若動物試験では、胃の刺激性と関連した体重減少による二次的影響の可能性がある包皮分離 の遅延が認められた。雄幼若動物試験では、雄生殖器への影響は認められなかった。2 番目の幼 若動物試験では、主に前胃及び腎臓に成熟動物と同様の毒性変化が認められた。最高用量で、幼 若動物に生殖、性成熟及び神経行動毒性は認められなかった。

DMFの薬物乱用試験(in vitro神経学的受容体結合、自己投与及び薬物弁別)では、本剤の薬物 乱用リスクが低いことが示された。

以上、DMFは半減期が短く、主として TCA回路を介した細胞呼吸によって代謝され、その大 部分は呼気中に排泄される。DMFは、非臨床試験では神経保護作用及び抗炎症作用の両方を有す ることが示された。非臨床安全性試験では、腎臓が標的器官として最も多くの試験で確認された。

腎毒性の正確な機序は十分に明らかにされていないが、リスク因子及び機序は、本剤長期投与後 のヒトの場合と動物で大きく異なっている。さらに、腎尿細管障害はモニタリング可能であり、

臨床及び市販後状況で腎臓の重篤な毒性はみられていない。非臨床試験結果及びヒトにおける効 果と安全性の評価より、MS患者に1日2回240 mg の本剤経口投与の妥当性が裏付けられた。

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