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拡大する米国シェールガス・オイルの生産

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4 米国シェール革命と原油価格下落の影響

4.1 拡大する米国シェールガス・オイルの生産

(1) 米国のシェールガス、シェールオイル産出量

米国政府機関のEnergy Information Administration(EIA)は2013年12月に、米国は シェールガス(非在来天然ガス)とシェールオイル(非在来石油)の増産により、2013 年にロシアを追い抜き世界第一の天然ガス産出国に、サウジアラビアとロシアを追い抜 き世界第一の石油産出国になったと発表した(図14)。地政学的見地を含め、その影響は 多方面にわたるであろう。

図14 米国、ロシア、サウジアラビアの石油と天然ガスの産出量

注:石油には、原油、NGL、コンデンセート、バイオ燃料などを含む。

出典:EIA資料(2013)7 )

2014年年央より原油価格が下落したが、2015年5月に発表されたAnnual Energy Outlook 2015によれば、「シェールガスは米国・天然ガス生産量増加の原動力である。」と謳って おり、これまでの生産量予測をほとんど変更していない(図15)。

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図15 米国天然ガスの生産量推移と予測

注:シェールガス、タイトガス、コールベッドメタン(炭層メタン)が非在来天然ガス。

Other lower 48 onshore:アラスカ州を除く48州の在来型陸上天然ガス。

Lower 48 offshore: アラスカ州を除く48州の在来型海上天然ガス。

EIAの図のコメント:シェールガスは米国・天然ガス生産量増加の原動力である。

出典:EIA,Annual Energy Outlook 2015 with projections to 2040 (April 2015)7 )

図16に、EIAのAnnual Energy Outlook 20157)記載の米国天然ガスの輸出入の推移と 予測を示す。標準ケース(reference case)、オイルとガスの大きな資源量があるケース、

低オイル価格のケースの3ケースについて予測している。

標準ケースでは、米国は2017年までには天然ガスの輸入国から純輸出国に転換する。

2016年ごろより輸出が増大し、一方カナダからの輸入が漸減するため2017年までにはネ ット(輸出―輸入の正味の輸出量)で輸出国となる。輸出の内訳を見ると、48州のLNG 輸出が急増し、またメキシコへのパイプライン輸出が増加する。カナダへのパイプライ ンによる輸出量はほぼ従来通りである。なお、これまでカナダからのパイプライン輸入 がかなりあるが、これは縮小して継続し、その後一定量になると予測している。これは、

パイプラインの立地上からカナダから輸入する方が有利なところが残るためであろう。

2021年には産出量の約7%、シェ-ルガスの13-17%がLNG輸出される見込みである(2021 年の全産出量は約28兆ft3、シェールガス産出量は約15兆ft3、LNG輸出は2.0~2.5兆ft3 の予想)。

従来、米国は天然ガスや石油の輸出を特定国(カナダ、メキシコ)以外は法的に禁止 してきたことからすると、産出量の約10%を世界にLNG輸出するという見通しを発表し たことは注目に値する。EIAは国内の天然ガス価格が世界のガス価格よりも高いため、

天然ガスの輸出が増加するといっている。

図16 米国天然ガスの輸出入推移と予測

(標準ケース、オイルとガスの大きな資源量があるケース、低オイル価格のケース)

EIAの図コメント、国内のガス価格と世界のガス価格の差があるため米国の天然ガス輸出が予想される。

出典:EIA,Annual Energy Outlook 2015 with projections to 2040 (April 2015)7 )

一方、非在来型のタイトオイル(シェールオイルとタイトサンドオイル)の増産も驚 異的であり、2010年60万バレル/日、11年90万バレル/日、12年140万バレル/日、13年230万 バレル/日と急増しており、15年には約500万バレル/日と米国原油生産量の50%に達する見 込みである。

全体の原油生産量は2007年の約550万バレル/日がボトムであったが、2015年に933万バ レル/日(実績)まで急回復した。天然ガスと同様に3ケースの生産予測をしているが、いず れの場合にも過去最高の原油生産量を記録した1970年の960万バレル/日を超えるとして いる(図17)。

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図17 米国・原油の生産量推移と予測

注 タイトオイルにシェールオイルが含まれている。

出典:EIA,Annual Energy Outlook 2015 with projections to 2040 (April 2015)7 )

米国の全エネルギーの自給率は2012年の84%と13年の86%の実績から、20年に97%、

30年に100%に上昇するとみている。原油と天然ガスの生産量増加があり、しかも米国国 内の消費量増加が小さいことから正味のエネルギー輸入量は短期間に減少するという。

(2) 世界のシェールガス・オイルの埋蔵量と生産状況

EIAは2013年12月に、シェールオイルとシェールガスに関する世界の埋蔵量(改訂版)

を発表した。シェールガスの埋蔵量は中国がトップで次いで、アルゼンチン、アルジェ リア、米国、カナダ、メキシコの順である。中国は米国の2倍の埋蔵量である。一方、シ ェールオイルの埋蔵量は、ロシア、米国、中国、アルゼンチン、リビア、オーストラリ アの順となっている。

シェールガス・オイルの場合は埋蔵量だけでなく、地質的に採掘しやすいかどうか、

採掘に必要な水が確保できるか、環境問題が起きないか、周辺住民の同意が得られるか が重要である。シェール層の深さが深い場合や、地層が複雑で米国で開発された水平掘 り(水平坑井を使った採掘法)がしにくい場合は採掘が難しくなる。中国のシェール地層

は深く複雑でこれに当るといわれ、開発に時間がかかるというのがもっぱらの予想であ ったが、実際には開発が進んでいる。

2105年9月30日のEIAのToday in Energy7 )によれば、中国は国の強力な支援もとに、

Sinopec、PetroChinaなど企業4社がシェールガスの開発を進めている。開発中の場所は Sichuan Basin(四川盆地、重慶近郊)に集中している。政府の支援があり、シェールガ ス採掘の井戸のコストが2013年頃より23%削減され、2015年には1,130-1,290万ドル(11

-13億円)になった。井戸は深さ11,500フィート(約3,500メートル)、横方向4,000フィ ート(約1,200メートル)である。現在の生産レベルは0.38Bcf/d(3.8億ft3/日)であ る。中国の天然ガスの生産量の3.5%に当たり、米国の約百分の1である。シェールオイル は同じ井戸からは産出しないようである。

中国は、炭層メタン(Coalbed methane)の開発をずっと進めていたが、思うような成 果が上げられずシェールガスの開発にシフトした経緯がある。中国は米国のシェールガ ス・オイル鉱区に出資し、採掘の経験を積んでノウハウを取得している。

2015年2月13日のEIAのToday in Energy7 )によればシェールガス・オイルの世界の生 産国は、米国、カナダ、中国、アルゼンチンの4ヵ国である。

米国は、2014年の天然ガス生産が約75Bcf/日で、そのうちシェールガスが約半分の 37Bcf/日である。また、原油生産が約870万バレル/日で、そのうちシェールオイルが半分 弱の約390万バレル/日である。

カ ナ ダ は シ ェ ー ル ガ ス と シ ェ ー ル オ イ ル を 生 産 し て い る 。 シ ェ ー ル ガ ス は 2011年 1.9Bcf/日から2014年に3.9Bcf/日に増加している。シェールオイルは2011年に20万バレル /日であったものが、2014年には40万バレル/日になった。カナダは米国に次ぐシェールの 生産国で、生産量は米国の約10分の1である。

アルゼンチンでは2万バレル/日のシェールオイルを産出している。

なお、欧州ではポーランドが有望視されてきたが、予想より埋蔵量が少ない。ドイツ とフランスは住民の反対で採掘は難しいが、イギリスは前向きで開発を進めている。

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