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抑制原理

ドキュメント内 修 士 学 位 論 文 (ページ 49-53)

アクティブノイズキャンセラ(ANC)の回路図を図 4.7に示し,それを降圧チョッパ 回路に接続したときの回路図を図 4.8に示す。本論文で提案するANCは直列形アクテ ィブフィルタに分類され,電圧検出電圧印加形の方式かつ,フィードフォワード制御を 用いることで,ほかの方法と比べて有利である。まず図 4.6[30]に示すような方式のう ち,電圧検出形を用いることで大容量の検出トランスが必要なくなり,電圧印加形を用 いることで電流容量を小さく抑えることができるためである。また,電流印加型では高 耐圧のコンデンサを使用する必要がある為,その点でも電圧印加型が有利である。一方 で,電圧印加形では電圧印加用のトランスが大型化する問題が指摘されている。これは 商用周波数を含む低周波成分によるトランスの磁気飽和の為であるが,本論で提案する ANCでは,ハイパスフィルタを用いて低周波成分を除去することでトランス1次側(入 力側)を見かけ上短絡し,低周波での偏磁を防止しているため,大型化を回避できると 考えられる。

さらに,コモンモードノイズを対象としたアクティブノイズキャンセラに関する研究 [30]のなかで,フィードフォワード制御の有意性について述べられている。この報告で はコモンモードを対象に検討が行われているが,ディファレンシャルモードでも同様の 利点があると考え,この方式を採用した。

図 4.6 アクティブノイズキャンセラの接続方式

ANC 回路は低周波成分除去用のハイパスフィルタ,差動増幅回路,電圧注入用トラ ンスから成り,抑制の手順は以下のようになる。

① 入力配線の電圧を検出

② ハイパスフィルタでノイズ成分のみを分離

③ 差動増幅回路により任意の倍率でノイズ成分を増幅し出力

④ 上下配線の差をとることでディファレンシャルモードノイズを足し合わせ,同 時にコモンモードノイズ成分を除去

⑤ 変圧器を介してノイズを打ち消す方向にオペアンプの出力電圧を印加

まず,入力上下配線の電圧を検出し,ハイパスフィルタにより高周波のノイズ成分の みを取り出す。その後差動増幅回路で上下配線の電圧の差をとることで,ディファレン シャルモード電圧のみを取り出すことができる。上下配線には異なる方向に流れるディ ファレンシャルモード電流と,同方向に流れるコモンモード電流の両方が流れている。

そこで,差動増幅回路で差をとることでディファレンシャルモード成分は足しあわされ,

一方でコモンモード成分は除去される。ディファレンシャルモード成分のみとなった電 圧を任意の倍率で増幅したものを主回路に逆向きに印加し,ディファレンシャルモード 電圧をキャンセルする。ここで注意すべきは,ノイズキャンセラの電圧を上下配線の両 方に1/2ずつ印加する点である。図 4.5に示すように上下配線に1/2ずつ電圧を印加す れば,それに起因する電流は回路の上下配線で逆方向に流れる。したがってコモンモー ド的に見ればこの電流は打ち消し合い,コモンモードノイズには影響を与えない。一方 で片側の配線のみに電圧を印加すると,コモンモード的にみれば電圧を印加した側の配 線だけ電流が大きくなってしまい,コモンモードノイズが増加してしまう。それと同時 にコモンモード電流が不均一になれば,ANC の差動機能でコモンモードが除去されな くなり,ディファレンシャルモードにコモンモードがあらわれてしまう。

次にANCによるノイズ抑制理論について説明する。図 4.8に示す線間電圧Vxに対す るオペアンプの出力電圧Vtr1は式(13)で表され,

𝑉tr1

𝑉x = 𝑅2 𝑅1+ 1

𝑠𝐶ANC

= 𝐺ANC (13)

これをGANCとおけば,入力配線端子間の電圧(LISN入力端子間の電圧)VncVx

GANCを用いて式(14)のように表される。

𝑉nc= (1 − 𝐺ANC)𝑉x (14)

式(14)を見ると GANCの値が 1 となるときに抑制量が最大となることが分かる。した がって,差動増幅回路のゲイン GANCを大きくすることなく十分な抑制が可能であり,

ゲインを大きくすることによる不安定動作を回避できると考えられる。

ANC の各パラメータはハイパスフィルタのカットオフ周波数の制約を受ける。商用

周波数50 Hz/60 Hzの周波数成分を除去するために,カットオフ周波数を600 Hz以上と

する必要がある。カットオフ周波数は式(15)で表され,R1CANCはカットオフ周波数の 条件を満たすように設計する必要がある。

𝑓c= 1

2𝜋𝑅1𝐶ANC≥ 600 Hz (15)

式(15)の条件を満たし,9 kHz 以上の周波数で-20dB 以上の減衰を目標にした時の各素 子の値は表 4.4のようになる。この時のGANCのボード線図は図 4.9のようになり,カ ットオフ周波数が 600 Hz 以上になっていることが確認できた。また,図 4.10 に示す

Vnc/Vxのボード線図を見ると,9 kHz以上の周波数帯で-26 dB以上の抑制が可能と考え

られる。

表 4.4 素子値 CANC1, CANC2 26 nF

R1, R3 10 kΩ

R2, R4 9.5 kΩ

図 4.7 アクティブノイズキャンセラ回路図 CANC2

+

-R3

R1

R4

R2

vtr1

CANC1

vx

図 4.8 アクティブノイズキャンセラを接続した降圧チョッパ回路

図 4.9 GANCのボード線図

図 4.10 Vnc/Vx(1-GANC)のボード線図 Lw2

Lw1

Cs2 Cs1

CANC2

CANC1

-

+

2.16 µFCdc

R3

R1

R4

R2

Cl1

Cl2

Ll2

Ll1

Sym vnc

INOISE

vsen

vt1

vt3 vt2 ICdc 1

2 b

a

Asym

p

v12 n

vx

Vin

C2

C1

508.9 µHLo

Ro 46 Ω

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