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手術の定義をする。

ドキュメント内 II (ページ 164-171)

3 The writhe for cycles

まず最初に 0- 手術の定義をする。

定義

(S

3

L

に沿った

0-手術)

L = K

1

K

2

∪ · · · ∪ K

n

3

次元球面

S

3上の

n

成分絡み目とする。

N (L)

L

の管状近傍とする。E

( L )

L

の外部をする。χ

( L, 0)

E ( L )

の境界と

n

個 のソリッドトーラスを貼り合わせることで得られた

3

次元多様体をする。但 し、貼り合わせ方は各ソリッドトーラスのメリディアンを

K

iのロンジチュー ドへうつすものとする。このようにして得られた

3

次元多様体

χ ( L, 0)

S

3

L

に沿った

0-手術により得られた多様体と呼ぶ。

次のような事実が知られている。

事実

任意の向き付け可能な連結

3

次元閉多様体は

3

次元球面からある絡み目に沿っ

0-手術により得られる。

1

以降

3

次元多様体と書けば向き付け可能な連結

3

次元閉多様体を指すこ ととする。bridge(

L )

と書けば絡み目

L

の橋指数を

braid( L )

と書けば

L

の組 ひも数を指すこととする。次の橋種数と組ひも種数は河内により定義された ものである。

定義

(橋種数と組ひも種数)

一般に

3

次元多様体に対しそれが得られるような

3

次元球面の絡み目に沿っ

0-手術というものはいくつも考えられる。3

次元多様体

M

に対し

M

が得

られるような

S

3のあらゆる絡み目に沿った

0-手術を考え、そのなかで橋指数

が最小となる絡み目

L

bridge(L)

M

の橋種数と呼び

g

bridge

(M )

で表す。

同様に

3

次元多様体

M

に対し

M

が得られるような

S

3のあらゆる絡み目に

沿った

0-手術を考え、そのなかで組ひも数が最小となる絡み目 L

braid( L )

M

の組ひも種数と呼び

g

braid

(M )

で表す。

先に述べた事実より任意の

3

次元多様体に対し橋種数、組ひも種数が定義 できるということが分かる。2つの種数の間には

g

bridge

(M ) g

braid

(M )

とい う関係が成り立つ。このことは任意の絡み目

L

に対し

bridge( L ) braid( L )

となることからすぐに示せる。次にこれらの

2

つの種数と

Heegaard

種数と の間の比較をする。そのためにまず

Heegaard

分解と

Heegaard

種数の定義を する。

定義

(Heegaard

分解と

Heegaard

種数)

一般に

3

次元多様体

M

に対して種数が等しい

2

つのハンドルボディH1、H2

で同相写像

f : ∂H

1

∂H

2により、H1の境界と

H

2の境界を同一視して得 られる和集合

H

1

f

H

2

M

となるようなものが存在する。このときこの

3

つ組

(H

1

, H

2

; f )

M

Heegaard

分解という。一般に

3

次元多様体

M

に対

して

Heegaard

分解はいくつも考えられる。それらの

Heegaard

分解のなかか

H

1、H2の種数が最小となる場合を考え、その種数を

M

Heegaard

種数 と呼び

g

H

(M )

で表す。

このとき次の定理が成立する。

定理

1

g

H

(M ) g

bridge

(M ) g

braid

(M ).

定理

1

と次の定理

2

は前回の結び目の数学と昨年に大阪市立大学で行わ れた院生ワークショップで示したので証明は省略する。

2

定理

2

次の不等式のいずれに対してもその不等式を満たす

3

次元多様体が存在する。

g

H

(M ) = g

bridge

(M) = g

braid

(M ), g

H

( M ) < g

bridge

( M ) = g

braid

( M ) , g

H

( M ) = g

bridge

( M ) < g

braid

( M ) , g

H

(M ) < g

bridge

(M) < g

braid

(M ).

次に

2

つの

3

次元多様体

S

1

× S

2、S3に対し

3

つの種数を求める。

K

を自明な結び目とする。このとき

χ(K, 0)

S

1

× S

2である。一般に

3

次元

多様体

M

g

H

(M) = 0

を満たすことの必要十分条件は

M = S

3であるとい

うことが知られている。従って

g

H

( S

1

× S

2

) 1

である。自明な結び目の組 ひも数は

1

であるから、gbraid

(S

1

× S

2

) 1

である。従って次の等式を得る。

g

H

(S

1

× S

2

) = g

bridge

(S

1

× S

2

) = g

braid

(S

1

× S

2

) = 1

L

をホップリンクとする。このとき

χ(L, 0)

S

3 である。先に述べた通り

g

H

(S

3

) = 0

である。ホップリンクの組ひも数は

2

であるから、gbraid

(S

3

) 2

である。一般に

3

次元多様体

M

g

bridge

( M ) = g

braid

( M ) = 1

を満たすこと の必要十分条件は

M = S

1

× S

2であるということが知られている。よって

g

bridge

(S

3

) 2

が得られる。従って次の不等式を得る。

g

H

(S

3

) = 0 g

bridge

(S

3

) = g

braid

(S

3

) = 2

このようにして

S

3

S

1

× S

2に対して

3

つの種数を求めることができた。

ではレンズ空間に対してはどうかというのが、本稿の主な内容である。しか しレンズ空間に対しては

Heegaard

種数が

1

となることは良く知られている。

だから本稿ではレンズ空間に対して残りの

2

つの種数、すなわち橋種数と組 ひも種数を計算する。

2 主定理とその証明

L(p, q)

と書けば

(p, q )

型のレンズ空間を指すこととする。但し

p、q

p >

q > 0

を満たす互いに素な整数である。このとき次の

2

つの定理が成り立つ。

3

定理

3

p

を偶数とする。このとき次が成り立つ。

g

bridge

(L(p, 1)) = g

braid

(L(p, 1)) = 3

定理

4

p、q

を偶数とする。このとき次が成り立つ。

g

bridge

( L ( pq 1 , q )) = g

braid

( L ( pq 1 , q )) = 4

各成分に整数をつけた絡み目を枠つき絡み目という。任意の

3

次元多様 体はある枠つき絡み目の

Dehn

手術により得られるということが知られてい る。0-手術は全ての係数が

0

の枠つき絡み目の

Dehn

手術のことである。定 理

3、4

の証明の為に次の補題を示す。

補題

1

g

bridge

(L(p, q))

3 (p :

偶数)

4 (p :

奇数)

補題

1

を示す為に絡み行列を定義する。

定義

(絡み行列)

L = K

1

K

2

∪ · · · ∪ K

n

n

成分の全ての係数が

0

の枠つき絡み目とし

lk ( K

i

, K

j

)

K

i

K

jの間の絡み数とする。このとき行列

⎢ ⎢

⎢ ⎣

0 lk ( K

1

, K

2

) · · · lk ( K

1

, K

n

) lk(K

2

, K

1

) 0 · · · lk(K

2

, K

n

)

.. . .. . . .. .. .

lk(K

n

, K

1

) lk(K

n

, K

2

) · · · 0

⎥ ⎥

⎥ ⎦

を枠つき絡み目

L

の絡み行列という。

L

の絡み行列は

χ ( L, 0)

1

次元ホモロジー群の表現行列と同値になるこ とが知られている。このことを用いて補題

1

を示す。

4

補題

1

の証明

まずレンズ空間

L ( p, q )

に対して

H

1

( L ( p, q )) = Z

p である。任意の係数が

0

の枠つき結び目

K

と全ての係数が

0

2

成分枠つき絡み目

L

の絡み行列は、

それぞれ

[0]、 0 lk(K

1

, K

2

) lk(K

2

, K

1

) 0

である。従って

H

1

(χ(K, 0)) = Z、

H

1

(χ(L, 0)) = Z

n

Z

nである。但し

n = lk(K

1

, K

2

) = lk(K

2

, K

1

)

である。

これより

χ ( K, 0)

χ ( L, 0)

は任意の

L ( p, q )

と同相になり得ないことが分か る。従って

g

bridge

(L(p, q )) 3

である。

次に

p

を奇数と仮定する。全ての係数が

0

3

成分枠つき絡み目

L

の絡み 行列

A

A =

⎣ 0 a b a 0 c b c 0

となる。ここで

a = lk(K

1

, K

2

)、b = lk(K

1

, K

3

)、

c = lk(K

2

, K

3

)

である。χ(L

, 0)

L(p, q)

と同相となるには

H

1

(χ(L

, 0)) = H

1

(L(p, q))

でなければならないから、Aは

B =

1 0 0 0 1 0 0 0 p

と同値でなけ ればならない。Aと

B

が同値な行列であれば

det A = det B

であるから、

2abc = p

である。しかし

p

が奇数であることから

2abc = p

となる

a、b、c

は 存在しない。従って

p

が奇数であれば

χ(L

, 0)

は任意の

L(p, q)

と同相にはな り得ない。よって

g

bridge

( L ( p, q )) 4

であり、補題

1

を得る。

枠つき絡み目に対し

Kirby

変形という変形が存在する。この変形により 移りあう枠つき絡み目から

Dehn

手術により得られた多様体は互いに同相で あるということが知られている。Kirby変形の定義は項数の都合で割愛した

[1]、[2]

を参照されたい。定理

3、4

の証明はこの

Kirby

変形を用いることで

行う。

定理

3

の証明

補題

1

より

3 < g

bridge

( L ( p, 1))

である。gbraid

( L ( p, 1)) < 3

を示す。図

1

の右 のような自明な結び目を鎖のようにつないだ枠つき絡み目からは

Dehn

手術 によりレンズ空間

L(p, q)

が得られることが知られている。このとき各自明な 結び目の係数を順に並べたものの連分数展開により

p

q

が得られる。この

p

q

L(p, q)

p

q

と一致するということが知られている。

p

2 , 0, p 2

= p

よ り、右の枠つき絡み目からは

L ( p, 1) (但し p

は偶数)が得られる。従って図

1

2

つの枠つき絡み目が

Kirby

変形により移りあうことを示せば、左の枠 つき絡み目より、すなわち組ひも数

3

の絡み目による

0-手術により S

3から

L ( p, 1)

が得られることが示せ、gbraid

( L ( p, 1)) < 3

が得られる。

5

0 0 0

p

2

full ←→

twists

p

2

0

p2

1

Kirby

変形により図

2

のような変形が行える。すなわち

2

本のひもを

0

係数として持つ自明な結び目が束ねているとき、2本のひもの間のフルツイ ストを解消することができる。このとき

2

本のひもの係数はフルツイストの 方向に応じて

±1

される。

0 0

←→

1

0 0 1 1

1 0

←→ ←→

0

1 1 1 1

2

この図

2

の変形を図

1

の左の枠つき絡み目に

p

2

回行うことで、図

1

の右の枠 つき絡み目が得られる。よって

g

braid

( L ( p, 1)) < 3

であり、gbridge

( L ( p, 1)) = g

braid

(L(p, 1)) = 3

である。

6

定理

4

の証明

証明の大筋は定理

3

の証明と同様である。最初に

3

本のひもを

0

を係数とし て持つ自明な結び目が束ねている場合を考える。この

3

本のひもの任意の

2

本の間にフルツイストがあるとき

Kirby

変形により次のように変形できる。

このとき

3

本のひもの係数はフルツイストがある

2

本がその方向により

± 1

残りの

1

本が

∓1

される。この変形で

3

本のひもの係数の偶奇が保たれるこ とに注意しておく。

0 0

←→ 1

0 0 0 1 1 0

1

0

←→

1 1 0

0 0

←→ ←→

1

1 1 0 1 1 1

3

一般に純組ひもは任意の

2

本のひもの間のフルツイストにより生成されるこ とが知られている。従って図

3

の変形を用いることで任意の偶奇が等しい整

a、b、c

に対して、図

4

の左の枠つき絡み目から右の枠つき絡み目が得ら

れることが分かる。この右の枠つき絡み目からレンズ空間を構成することを 考える。

7

0

←→ 0

3-組ひも

a b c

0 0 0

4

Kirby

変形により図

4

の右の枠つき絡み目から図

5

の右のような枠つき

絡み目を得るには、c

= ±1

を仮定する必要がある。今回は

+1

とする。−1 としても証明は同様にできる。

0 ←→

a 1 b

a b 1

5

こうして図

5

の右のような枠つき絡み目が得られた。a、b、1の偶奇は一致 するから

a

b

は奇数である。この枠つき絡み目から得られるレンズ空間は

L(ab a b, b 1)

であり、p

= a 1、q = b 1

と整理すると

L(pq 1, q)

が得られる

(p、 q

は偶数)。従って

L(pq 1, q)

は成分数

4

の絡み目から

0-手

術により得られる。よって

g

braid

( L ( pq 1 , q )) < 4

である。補題

1

より

4 <

g

bridge

(L(pq 1, q))

であるから、

g

bridge

(L(pq 1, q)) = g

braid

(L(pq 1, q)) = 4

が得られる。

ドキュメント内 II (ページ 164-171)

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