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我が国テキスタイル輸出について

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1.インドへの輸出事例

1-1.日本からインドへの繊維品輸出

インドに向けた日本の繊維輸出ビジネスは、サリーなどの民族衣装向け素材輸出(糸、

織物を含む)を中心に半世紀以上の歴史があるものの、小規模な取引が多く、下表に示す ように全体としての規模はいまだ小さい。

図表3-1 日本の繊維品輸出(金額ベース 2012年)

インド向け

(千ドル)

世界向け

(千ドル)

インド向け シェア

繊維品合計 121,829 9,557,035 1.27%

原料(綿)計 16,443 1,481,691 1.11%

糸計 74,676 1,224,234 6.10%

人絹糸 67,790 175,939 38.53%

織物計 8,330 2,967,351 0.28%

絹織物 0 1,041,911 0.00%

毛織物 1,819 268,883 0.68%

綿織物 1,222 689,928 0.18%

麻織物 22 18,391 0.12%

人絹織物 678 202,662 0.33%

スフ織物 160 40,975 0.39%

合繊長織物 1,910 1,188,353 0.16%

(ナイロン) 154 265,789 0.06%

(ポリエステル) 1,639 712,034 0.23%

(その他) 117 210,529 0.06%

合繊短織物 2,518 453,247 0.56%

ニット生地 511 768,800 0.07%

特殊糸 1,114 58,035 1.92%

不織布 10,460 680,404 1.54%

タイヤコード織物 1,233 64,334 1.92%

コーテッド織物 661 523,926 0.13%

ニット製衣類計 4 137,235 0.00%

布帛製衣類計 35 198,544 0.02%

出所:日本繊維輸出組合統計資料をもとに作成

1364 918

873 221

204 61 60 4 0

146 342

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 ニット生地

合繊長繊維その他織物 絹織物 麻織物 ナイロン長繊維織物 スフ織物 毛織物 人絹織物 合繊短織物 綿織物 ポリエステル長繊維織物

日本繊維輸出組合の輸出統計によれば、2012年の日本からのインド向け繊維品輸出総額 は121,829千ドルで、繊維品の全輸出量(世界計)9,557,035千ドルのおよそ1.3%を占め るにすぎない。なお輸出繊維品の中でも比較的インド向け輸出に占めるシェアが高いのは 糸であり、同品種輸出総額の6.0%(数量ベースでは5.1%)となっている。

織物とニット生地を見ると、それぞれインド向け輸出販売額は8,330千ドル、511千ドル、

両品目の世界輸出総額に占めるインドのシェアは、それぞれ 0.3%、0.1%となり、日本か らインドに向けたテキスタイル輸出量がごくわずかであることを示している。

また、日本からの織物輸出総額から勘案した平均単価は、世界向け平均(3.79 米ドル/

㎡)に対し、インド向けはその6割弱のレベル(2.06米ドル/㎡)にあるが、中国からイ ンドに向けた単価(1.51 米ドル/㎡)は更に低いので、日本製テキスタイルの価格は相対 的に高く、それがインド向けテキスタイル輸出拡大の阻害要因の 1 つになっていることも 考えられる.

図表3-2 日本からのインド向け織物、ニット生地輸出(数量ベース 2012年)

単位:千㎡

注:合繊長繊維その他織物は、ナイロン、ポリエステルを除く 出所:日本繊維輸出組合統計資料をもとに作成

1-2.インドでの日系企業のビジネス事例

現状では、日本からインドへの衣料向けテキスタイル輸出に関して、継続性のあるビジ ネスの事例はほとんど見られない。しかし特定の機能素材の販売や、インド企業との提携 といった取り組みは徐々に始まっており、以下にその事例をピックアップする。

①炭素繊維、アラミド繊維、特殊ポリエステル等の機能素材

一般的な衣料用途ではなく、防火服等の防護用途に使用されるアラミド繊維は、既にイ ンド市場で防弾チョッキやヘルメットといった分野で採用されている。経済の発展に伴い、

従業者の安全基準を高める企業も増え、防護用途の更なる拡大が見込まれる。また、政府 が環境対策に力を入れ始めており、環境への負荷軽減を指向した軽量化、省エネ用途とな る炭素繊維複合材料や、燃焼時の有毒ガスに配慮した高機能ポリエステル繊維などの拡販 が期待される。

②高機能レーヨン製造 第三国へ輸出販売

インド国内企業と日本企業の提携関係強化の動きも徐々に始まっている。大手レーヨン メーカーでは自社の技術をインドのレーヨンメーカーに提供し、インドの生産力を活用し て第三国への輸出を検討する動きがある。長期化する円高の影響で日本産の商品では欧米 市場で価格競争力が弱いことから、インドの生産に置き換える方針である。

(詳細は附3 国内ヒアリング結果を参照)

③縫製品ビジネス ドレスシャツ

紡績系のテキスタイルメーカーでは、技術供与の形でインドの紡績メーカーと提携し、

現地で縫製品を製造している。現在はインド国内アパレル向けの販売となっているが、将 来的には第三国への輸出を想定したものである。

(詳細は附3 国内ヒアリング結果を参照)

2.日本テキスタイル品に対する評価、期待

2-1.インド現地ヒアリングから

インド現地調査では、インド内販市場は低価格志向が強いことから、日本製テキスタイ ルの平均的価格帯は相対的に高いので、現地ニーズに合わないという評価が圧倒的に多か った。特に衣料分野ではこの傾向が強く、また、絹、綿といった天然素材は国産素材で十 分まかなえているという認識があることから、日本製テキスタイルとして潜在的可能性が 大きいのは化学繊維といえる。

一方で、スポーツ用途やユニフォーム用途、更に資材向けを含めた特殊な機能製品に対 する関心は高く、関連情報を求めており、そういった高品質、高機能テキスタイルを国内 市場向けよりも第三国向けの縫製品に採用して、輸出したいという意欲は強い。

また、一般の衣料分野では機能性素材に対する消費者の知識や関心が薄いため、認知度 の向上が課題として挙げられた。インド国内繊維業界内でも日本素材に対する具体的な情 報はまだ少なく、日本にどのような繊維があり、どのような製品への応用が可能なのかな どについて、日本側からの積極的な情報発信が求められた。

現地ヒアリング結果から得たポイントを抽出すると下記のとおりである。

①日本製素材について

・日本の強みは高い技術にあるので、インドや中国で作れない高機能テキスタイル技術で 差をつけるべきであるが、現状では、衣料分野における高機能素材の存在とその快適性 などについてインドの消費者や業界関係者が理解していないこともあって、高機能テキ スタイル含む日本製素材はほとんど認知されていない

②インド国内の衣料品市場におけるニーズ

・現在のインド国内の衣料品市場は、婦人物よりも紳士物市場が大きいため、日本製テキ スタイルは紳士服や紳士シャツ分野などに可能性がある

・引張り強度のある素材

・高級な素材を採用できる高級アパレルは生産点数が少ないため、少量での対応が必要

・アパレルブランドの高級感をアピールすることに役立つ高機能、高品質な素材

(ポロ競技用のズボンにイタリア製ウール生地などを採用する高級メンズブランドのコ メント。日本製テキスタイルには非常に強い興味を持っているとのこと)

・高級スポーツウエア用途

(インドの高級スポーツ用品市場はナイキなどの海外ブランドが中心。市場の 3 割強を 占めるウエア分野は大半をインドで生産しており、素材となるテキスタイルの多くは

輸入品を採用している)

③インドから第三国への再輸出用

(インドには生産技術がなくインドで生産できない以下のようなテキスタイルを使って、

アパレル製品化して第三国に再輸出をしたいというニーズ)

・吸湿速乾あるいは形状記憶といった様々な機能を持ったテキスタイル

・日本製の高機能テキスタイル

・スポーツウエアやゴルフウエア向けの吸湿速乾機能素材

・接触冷感、発熱等の体感温度調節機能のある素材

④インド国内向け特殊用途

・クリーンルーム向けなどの特殊環境で使用するユニフォーム用途の高機能テキスタイル

・高温に耐える耐熱服や消防服

・軍事用衣料

・複合材に利用するプラスチック強化繊維(PBT繊維〔ポリブチレンテレフタレート繊維〕

や高密度ポリエチレンなどを使った特殊用途製品)

⑤技術供与への期待

・インド企業と欧州企業とのビジネスに多い、商品として購入するのではなく、生産技術 の提携導入

(汎用的な糸やテキスタイルの製造加工技術ではなく、高機能ファイバー製造加工技術)

⑥インド繊維ファッション業界への日本素材のアピール

・ファッション分野の学生へのスポンサーシップ

(国立ファッション工科大学の事例:卒業制作等へ向けて10万ルピー程度〔約15万円〕

の奨学金と素材〔1人あたり20kg程度〕を企業が学生に提供する制度。イタリアやイン ドの企業に参加実績があり、企業側は人材育成段階で自社素材に触れる機会を持たせる ことがねらい)

・英語のHPなどによる情報発信

・日本製の高機能テキスタイルの展示会・商談会

2-2.商談会の感触から

本調査事業の一環として実施した商談会では、あらかじめ現地のバイヤーの要望につい てヒアリングを行い、ニーズに沿った素材を中心に商談会に臨むという方法をとった。

来場したインド企業と成約交渉に至る日本企業もあり、商談会は盛況であった(詳細は

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