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想起の反復

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3. 本研究の意義

3.5 想起の反復

保持期間の増加と共に増加する現象のことであり,レミニセンスとは初回の想 起では報告されなかった情報が,2回目以降に想起される現象の事である。たと えば,Hershkowitz & Terner (2007) の報告では,参加者から得られた情報の

うち25%は,2度目以降の想起で新規に報告されたものであった。Payne (1987)

のレビューによれば,記臆亢進の発現に最も寄与している要因は,学習項目の 種類(図や絵は単語よりも効果が大きい)や,想起までの保持時間(長いほど 効果が大きい)の2つであった。ただし,想起を繰り返すことで,想起される 情報量は増加するが,情報が多ければ多いほど,その中に誤情報が混在する可 能性も高くなる (Roediger et al., 1996) 。目撃供述の文脈では,質問の繰り返 しによる暗示の効果が,子供の供述の正確性に及ぼす影響について多く検討さ れている(たとえば,Bull, 2001 ; La Rooy, Lamb, & Pipe, 2008 ; Sabbagh, 2009 越智・雨宮・丹藤 2011)。Bornstein, Liebel, & Scarberry (1998) の研究は,

正しく想起される情報は想起回数が増えるごとに増加するが,同時に誤情報も 増加するという結果を示している。また,繰り返しは確信度にも影響を与える ことも分かっているが,繰り返しによって上昇するのか,低下するのか,ある いは変化しないのかの統一的な見解は得られていない (たとえば,Granhag, 1997 ; Naka et al., 2002 ; Odinot & Wolters, 2006 ; Shaw & McClure, 1996)。

再認の反復

目撃者識別の文脈においては,顔の記憶に対する想起が繰り返されると考え られる。この場合に用いられる想起方略には自由再生だけでなく,顔写真を用 いた再認も含まれる。しかし,写真の識別手続きに再認の繰り返しが及ぼす影 響を検討した報告は,自由再生を用いた検討ほど多くはない (Clark & Godfrey, 2009 ; Yarmey et al., 1996)。

Naka et al. (2002) の研究では,目撃イベント後に繰り返しラインナップ識別

(同時呈示ラインナップ)を行う条件と,繰り返しの識別を行わない条件に参 加者を分けた。参加者は,条件によって3週間後,あるいは5ヶ月後にライン ナップ識別を行い,ターゲットを含むラインナップから最終的に識別を行った。

しかし,それに先立って週に一回3週間に渡ってターゲットのいないダミーの ラインナップを使用し,繰り返し識別を行った条件の参加者は,繰り返しのな かった条件にくらべて,最終識別時の正再認率が低下したと報告している。つ まり,複数回写真を見て繰り返し再認を行うことは,記憶を維持したり促進さ せたりすることはなく,逆に記憶の低下につながったのである。また,確信度 も繰り返しの度に低下していたことから,出来事からの時間経過により,自ら の記憶に対する自信も低下させていったことが推測される。

Dysart, Lindsay, Hammond & Dupuis (2001) では,複数の人物写真を2回 呈示し,1回目の識別が2回目の識別の正確性に及ぼす影響を検討した。1回目 の識別で写真から被疑者あるいは被疑者らしい人物を選択させた条件と,写真 を呈示したが選択は行わなかった条件,写真の呈示がなかった統制条件の3条

件の参加者の2回目の識別の正確性を比較した。いずれの写真にも目撃した真 犯人は含まれていなかったため,1回目の識別では写真を見ただけの参加者と,

統制条件の参加者は約半数がラインナップを正棄却した。これに対し,1回目の 識別で選択を行った目撃者は,半数以上が最初の識別で選んだのと同じ人物を2 回目の識別でも選び,正棄却率が低かった。つまり,最初と同じ写真を見るだ けでは十分ではなく,特定の人物を選択することで,誤った判断がその後の識 別判断にも維持されたのである。

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