第6章 微地形強調図による落石発生源抽出検証(岡山市)
6.3 微地形強調図による落石発生源抽出結果
防災カルテのカルテ対応箇所の中から 3 つのエリアを選定し(図 6.3.1),検証した.エ リア 1,エリア 2,エリア 3 において,50cm 間隔のグリッドデータから微地形強調図を作成 し,机上抽出結果と現地調査結果の整合性の確認を行った.点密度が多いため,2.0m 以下 の落石発生源についても検証した.【6.1】
図 6.3.1 調査箇所説明図
N
S E W
N
S E W
6.3.1 エリア1
エリア 1 における微地形強調図による落石発生源抽出結果を図 6.3.2 に示す.落石発生源 抽出結果および現況写真を図 6.3.3 に示す.
図 6.3.2 微地形強調図による落石発生源抽出結果(エリア 1)
N
S E W
抽出可
谷地形
抽出不可
谷地形等12 番(○,現況写真_崖高 2.4m) 14 番(○,現況写真_崖高 3.0m)
16 番(○,現況写真_崖高 1.8m) 17 番(○,現況写真_崖高 2.4m)
図 6.3.3 落石発生源抽出結果および現況写真(エリア 1)
落石発生源の抽出率は,高さ2.0m以 上では100%,高さ2.0m以下では66.7%で あった(表6.3.1).
1番については,遷緩線より急斜面と なっており,赤黒く表現されたと考え られる(図6.3.4).
11番については,微地形強調図にお いて地表面近くの常緑樹が赤黒く表現 され,急斜面として捉えられていた.
常緑樹の葉の密度が高かったため,レ ーザが地表面に届かず,常緑樹の上部 を地表面と捉えていた(図6.3.5).
8,13,18,19,20番については,谷 地 形 と な っ て い る ( 図 6.3.6 ) ( 図 5.3.2参照).
7番については,斜面上方が白色傾向 となっておらず,さらに谷形状でもな
い.現地確認した結果,崩壊地形であった(図6.3.7).
9,10番については,ともに急崖高さ1.2mの落石発生源で あり,抽出できなかった.9番の上空は植生により覆われて おり,植生の影響でレーザが地表面に届かず,正確な地表面 を捉えることができなかった(図6.3.8).10番において は,上空の写真より,植生の影響は考えにくい.50cmグリッ ドであるため,抽出できなかった(図6.3.9).
図 6.3.4 急斜面状況(1 番) 図 6.3.5 常緑樹(11 番)_急傾斜面と認識
(m) (m) ① ②
1 - - -
-2 3.0 - ○
-3 - 1.6 - ○
4 - 1.2 - ○
5 - 1.6 - ○
6 2.0 ○
-7 - - -
-8 - - -
-9 - 1.2 - ×
10 1.2 - ×
11 - - -
-12 2.4 - ○
-13 - - -
-14 3.0 - ○
-15 2.6 - ○
-16 - 1.8 - ○
17 2.4 ○
-18 - - -
-19 - - -
-20 - - -
-100.0 66.7 微地形強調図
による抽出
-崩壊地形 落石
対象物 番号
急斜面
急崖
①高
(2m以上)
②高
(2m以下)
谷地形 抽出率 地形形状
谷地形 谷地形
-常緑樹
-谷地形
-谷地形
-表 6.3.1 微地形強調図による 落石発生源の抽出率(エリア 1)
8 番 13 番
18 番 20 番 図 6.3.6 谷地形状況(エリア 1)
図 6.3.7 崩壊地形状況(7 番)
図 6.3.8 落石発生源_×(9 番) 図 6.3.9 落石発生源_×(10 番)
6.3.2 エリア 2
エリア 2 における微地形強調図による落石発生源抽出結果を図 6.3.10 に示す.落石発生 源抽出結果および現況写真を図 6.3.11 に示す.
図 6.3.10 微地形強調図による落石発生源抽出結果(エリア 2)
抽出可 谷地形 抽出不可
谷地形等N
S E W
2 番(○,現況写真_崖高 5.0m) 5 番(○,現況写真_崖高 3.0m)
10 番(○,現況写真_崖高 2.4m) 14 番(○,現況写真_崖高 1.4m)
図 6.3.11 落石発生源抽出結果および現況写真(エリア 2)
落石発生源の抽出率は,高さ 2.0m 以上では 100%,高さ 2.0m 以下では 75.0%であった(表 6.3.2).
11 番については,斜面上方が白色傾 向となっておらず,さらに谷形状でも ない.現地確認した結果,崩壊地形で あった(図 6.3.12).
6 番については,急崖高さ 0.6m の落 石発生源であり,抽出できなかった.
上空の写真より,植生の影響は考えに くい.50cm グリッドであるため,抽出 できなかった(図 6.3.13).
4,8,12 番については,谷地形とな っている(図 6.3.14)(図 5.3.2 参 照).
図 6.3.12 崩壊地形状況(11 番)
図 6.3.13 落石発生源_×(6 番)
表 6.3.2 微地形強調図による 落石発生源の抽出率(エリア 2)
(m) (m) ① ②
1 2.2 - ○
-2 5.0 - ○
-3 2.2 - ○
-4 - - -
-5 3.0 - ○
-6 - 0.6 - ×
7 2.4 - ○
-8 - - -
-9 - 1.2 - ○
10 2.4 - ○
-11 - - -
-12 - - -
-13 2.0 - ○
-14 - 1.4 - ○
15 - 1.9 - ○
16 4.2 - ○
-100.0 75.0
-抽出率
-崩壊地形
谷地形 -谷地形
-谷地形
-落石 対象物
番号
地形形状
急崖 微地形強調図
による抽出
①高
(2m以上)
②高
(2m以下)
4 番 8 番
12 番
図 6.3.14 谷地形状況(エリア 2)
6.3.3 エリア 3
エリア 3 における微地形強調図による落石発生源抽出結果を図 6.3.15 に示す.落石発生 源抽出結果および現況写真を図 6.3.16 に示す.
図 6.3.15 微地形強調図による落石発生源抽出結果(エリア 3)
抽出可 谷地形 抽出不可 谷地形等
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S E W
2 番(○,現況写真_崖高 2.0m) 6 番(○,現況写真_崖高 6.0m)
8 番(○,現況写真_崖高 2.6m) 10 番(○,現況写真_崖高 2.4m)
図 6.3.16 落石発生源抽出結果および現況写真(エリア 3)
落石発生源の抽出率は,高さ 2.0m 以上で 100%であった(表 6.3.3).
12 番については,斜面上方が白色傾 向となっておらず,さらに谷形状でも ない.現地確認した結果,崩壊地形で あった(図 6.3.17).微地形強調図に より机上抽出されていたため調査した が,木々が生い茂った場所であり,机 上抽出されていなかったら見逃してい た可能性がある.落石発生源であった 場合,このような箇所が確実に調査さ れているとは言えず,机上抽出が見落 とし・見逃しのない調査に大変重要な 要素であることが分かった.
図 6.3.17 崩壊地形状況(12 番)
6.3.4 結果
検証の結果,冬季の道路縦断方向計測データを使用することにより,高さ 2.0m 以上の落 石発生源を抽出できることがわかった.本現場においては,点密度が多かったことにより,
高さ 1.6m まで抽出することができた.
表 6.3.3 微地形強調図による 落石発生源の抽出率(エリア 3)
(m) (m) ① ②
1 2.0 - ○
-2 2.0 - ○
-3 4.0 - ○
-4 3.0 - ○
-5 2.0 - ○
-6 6.0 - ○
-7 2.0 - ○
-8 2.6 - ○
-9 7.0 - ○
-10 2.4 - ○
-11 2.0 - ○
-12 - - -
-100.0
-崩壊地形 抽出率
-落石 対象物
番号
地形形状
急崖 微地形強調図
による抽出
①高
(2m以上)
②高
(2m以下)
-参考文献
【6.1】崎田晃基,西山哲,宮下征士,吉川慶:落石対策事業効率化のための微地形強調図に よる落石発生源抽出の研究,平成 30 年度(第 70 回)土木学会中国支部研究発表会発 表概要集,pp.519-522,2018.