第 3 章 復調器の実装 16
3.2 復調器
A/D変換機に入力されるアナログ信号は FPGAを制御することによってADCされて デ ィジタルIF信号となり,図2.7に示すようにDDCされて複素ベースバンド I,Q信号に
変換される.ここまでの過程はFPGAにて変調方式にかかわらず全て同一の回路構成で実 装される.その後の信号処理はCPUによって制御され,同期検波,ダウンサンプリング,
デマッピング,復号化がなされてバイナリのデータにまで復調される.復調器では,受信 された信号がどの変調方式で変調されているかを既知として復調を行い,受信信号の変調 方式に対応した復調がなされる.
3.2.1 同期検波とダウンサンプリング
送信と受信のキャリアは位相が異なっているため,受信機では同期検波される必要があ る.同期を取るには,受信データと既知のデータを比較して位相をそろえなければならな い.D/A変換機より送信されるフレームは16シンボルの既知のデータを含んでいるので,
そのデータと受信データとの相関を調べることによって,最適シンボル点からダウンサン プリングを行うことができる.相関は図3.14に表されるスライディング相関によって求め ることができる.
スライデ ィング相関は,受信信号xに対して,既知であるRefデータを1サンプルずつ スライディングさせて行き,受信信号に含まれるSyncデータと最も相関が高くなるような 相関係数coriを求める手法である.参照信号をr,xをiサンプルシフトしてベクトルの長 さが参照信号と等しくなるような受信信号をxiとすると,その具体的な計算式は次のよう になる.
cori = xi·r∗
(xi·xi∗)·(r·r∗)
(3.20) 式3.20により求められた相関係数coriとシフトしたサンプルとの関係を図3.15に示し,相 関係数が最大となっているサンプル点が最適サンプリング点となり,その点から20倍の間 引を行ってダウンサンプリングされる.こうすることで,送信された信号との位相を一致 させることができ,周波数オフセットについても補正された受信データを再生することが 可能となる.
Data Sync
Ref ฃାାภ
ෳᾖାภ
x
r x
1x
ix
2図 3.14: スライデ ィング相関
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1
Sample Index
Correlation Coefficient
ᦨㆡࠨࡦࡊࡦࠣὐ
図 3.15: 相関係数とサンプル点との関係
3.2.2 デマッピング
同期検波とダウンサンプリングによって,2720サンプルから最適な136シンボルが取り 出される.最適なシンボルのI,Q成分を複素平面上にデマッピングすると図3.16のように 表される.デマッピングは3.1.3のマッピングで行われたこととまったく反対のことが行わ れ,図中の数はその点が復号化されたときのバイナリデータを表している.π/4DQPSKに ついては1サンプル前の点と次の点との位相遷移量が差動復号化されてバイナリデータが 得られる.16QAMは信号点のI,Q成分がそれぞれ2bitの情報を表し,合わせて4bitのバ イナリデータに変換される.
Q
I
Q
I
Q
I Q
I 1 0
00 01
10 11
10 11 01
00
00 01 11 10
00 01 11 10
BPSK QPSK
π /4DQPSK 16QAM
図 3.16: デマッピング