8.1 後方支援
HNS手引書において、防除戦略と戦術の重要性に加えて、これを実現するた めの後方支援活動の重要性についても取り上げなければならない。その主な構成 要素は、次のとおりである。
① 人員の手配とその動員
② 防除資機材及び物資の手配とその配分
③ ①及び②を入手/輸送する方法
当事業所においては、石災法の「共同防災組織」を活用して、支援を要請する 枠組みが整備されているところであるが、HNS汚染事故における人員、利用可 能な防除資機材及び物資に関する情報については、十分に整理されていないとこ ろである。
物資
今般のHNS手引書作成に伴って、近隣の同種企業が保有している次の資機材 及び物資について確認する必要がある。
○他企業の自衛防災組織が保有する「自蔵式空気呼吸具」
○他企業の自衛防災組織が保有する「防毒マスク」及び「吸収缶」の種類と数 量
○他企業の自衛防災組織が保有する「保護衣」の種類と数量
以上の機材を取り扱うことのできる「要員」の人数などについて、早急に整理 する必要がある。
さらに、追加の化学物質毎の「検知管」の入手先及び担当者の連絡先などに関 する情報を収集のうえ整理する必要がある。
なお、これら資材の入手可能性に関する情報については、安全環境部の担当者 は、平素から海上災害防止センターと連絡を密にして、情報を整理するものとす る。
防除資機材
オイルフェンスや油吸着材に関する情報は、海上共同防災組織及び共同防災組 織において、これまでも把握しているところである。
これまでは特定油の防除資機材としてその利用を考慮していたところであるが、
HNS汚染事故におけるオイルフェンスの活用方法は、当事業所の前面海域に限 定するものではなく、汚染物質の漂流・拡散予測若しくは現場の調査・観測を基 として、漂着若しくは侵入可能性のある海域又は保護すべき施設の周辺海域に「保
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護を目的」としてオイルフェンスを展張する場合がある。そのような想定を考慮 して、オイルフェンスの展張計画について、近隣企業との情報交換を密にし、状 況によっては近隣企業に依頼して当該企業自らオイルフェンスを展張するよう要 請することとなる。
要請に際しての注意
オイルフェンスの搬出を要請された支援企業が、特定油の汚染事故と同様な考 えのもとに、オイルフェンス展張予定場所まで、船舶によってオイルフェンスを 曳航・運搬することは、特に、可視困難な化学物質の場合、汚染海域を通過する 可能性もあり、非常に危険な行為である。
当事業所は、防除資機材及び物資の応援要請については、HNS汚染事故にお いては、汚染物質の性状の特異性を十分に理解した上で、共同防災組織などに要 請するように注意することとしている。
8.2 資機材等の動員計画
当事業所は、防除資機材、物資等の動員については、石油連盟○○基地のオイルフェンス 及び油回収装置等も範疇として、入手可能な防除資機材について、
① 24時間以内
② 24時間から36時間以内
③ 36時間以上
の3つの時間区分に応じて、防除資機材の種類/数量/規格/連絡先などに関する情報を 整理した。
なお、当事業所にいては、陸送の事業者として、24時間体制を確保している○×海陸運 送と事前委託契約を締結している。
8.3 野生生物の救護
本HNS手引書を活用するに当たっては、付近海域及び陸域の自然環境を熟知するととも に、地元専門家に相談するなどして、自然界への影響を考慮した計画が望ましい。ここでは、
自然環境への影響を最小限にくい止める視点から検討する。
(1)海鳥
毒物に対する動植物の耐性は非常に異なり、物質(特定油、化学物質等)によって生じる 物理的被害の大きさもさまざまである。幼生や卵は、成体より敏感であることが多い。その ほとんどを海の上でくらす海鳥は、海面を漂うHNSによって物理的被害を受けやすい。
(2)季節
HNS汚染事故がどの季節に起きたかも、非常に重要なポイントとなる。気温が低いと、
蒸発する割合も低いので、毒物がより長く海水中に留まることになる。ある季節になると回 遊や移動する動物があるが、その途中でHNS汚染事故に遭遇することもある。もしそれが 繁殖期であれば、汚染耐性の低い卵や幼い動物が大きな被害を受けるであろう。
(3)場所
HNS汚染事故が小規模であったり、事故が外洋で起こるならば、一般的にそれほど大き な被害はもたらさない。大量のHNSが流出した場合には、外洋より閉ざされた区域のほう
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日本環境災害情報センター(JEDIC)
野生生物救護獣医師協会
東京都立川市富士見町1-23-16
TEL 042-529-1279 Fax 042-526-2556 URL; http://homepage2.nifty.com/jedic/
が、大きな被害を受ける。しかし、被害区域も一年以内に回復し始めることが多いが、悪条 件のもとでは死滅する割合が高いので、完全に回復するのに数年もかかることがある。
(4)油種等
生物の受ける被害の大きさは、流出した原油やHNSの種類によって異なる。ガソリンや ナフタレンは精製油より毒性が高いが、精製油は原油より毒性が高い。
環境に入り込んだ油やHNSは、さまざまな生化学的な経路をたどる。その結果、死滅す る生物もあれば、急激に繁殖する生物もある。油やHNSの毒性には、主に次のようなもの がある。
(ⅰ)直接生物に死をもたらす
(ⅱ)生理機能に致命的なダメ−ジを与える (ⅲ)生体を油膜でおおう
(ⅳ)生体内に侵入
(ⅴ)生息環境を変化させる
HNS汚染事故による生態系のダメージを最小限にくい止めるには、貴重な野生生物が生 息する地域にHNSが入り込まないようにするのが一番であるが、何らかの装置を使用して 野生動物を汚染地域から遠ざけこと(=ヘイジングと称する活動)でも、かなり被害をくい 止めることができる。
当事業所によるHNS汚染事故にともなう、野生生物の汚染被害を発見した際には、下記 に連絡をとり、専門家に指導を仰ぐ必要がある。
安易にHNS汚染事故によって汚染された可能性のある野生動物に触れてはいけない。
8.4 防災活動応援協力協定
当事業所は、××石油○×事業所及び、△○化学工業○×事業所と防災活動に関する相互 応援協定を締結していることから、平素から特定油・HNSの際の防除資機材や物資に関する 情報の相互提供を行うなどして、万一の汚染事故への準備及び対応に備えるよう努めること としている。
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