うに必ずしも事業者が製品事故と認めない場 合が散見される。そこに消費者は不信感を持 つのである。一定規模の事故については国レ ベルでNITEが総力をあげて取り組むよう なシステムを作るべきではないか。問題ごと にサポートする専門家を委嘱するなどして、
私たちの期待に応えていただきたい。その作 業を受けて、各省庁が管轄する法制度の改変 や規制のあり方の見直しがあればよいのでは ないだろうか。
3.事故関連情報の周知
製品の回収や部品交換・無料修理などのお
知らせは、各事業者に任されている。このと
ころ毎日のように「お知らせ」が新聞やホー
ムページに掲載されている。石油温風暖房機
でのお知らせは別格として、ほとんどのお知
らせ情報は見にくく、読んでもよく分からな
い。読まない人も多い。被害の拡大防止には
おわりに
事故情報を知ることがまず、大切である。
今、内閣府でお知らせの方策について検討中 と聞くが各省庁、事業者、専門家、消費者の 合意のもとに進めてほしい。さらに、知らせ た情報の結果、つまり回収状況も分かるよう な仕組みにしていただきたい。
最近のニュースを題材に製品事故の問題を 述べてきたが、「暮らし」の中身で何が重要 か、と言うとそれは「安全性」であることに 異論はないであろう。安全性の上に便利や快 適、使いやすさなどが並ぶ。事業者は製品製 造の重い責任を担っている。行政はそれを仕 組みとして応援し、国民の生活を守ることに なる。事故の被害者や関係者の涙を国の安全 政策へのエネルギーに変えることができる か、見守っていくつもりである。そして、消 費者は製品の使用者として事故情報に注目 し、使用経験からの提言を事業者や行政に伝 えなければならない。とくに消費者団体の役 割は大きい。当たり前のことであるが「責任 者出てこい」では済まない。たまたま自分は 事故に遭わなかったといって、事故の傍観者 に終わってはならない。
<主な著書>
実践的消費者読本(民事法研究会発行、編著)
扱説明書の出番となるが、以前より改善されたとは いえ取扱説明書が分かりにくいという声は多い。家 電製品の取扱説明書の必要表示事項は公正競争 規約に規定されているが、表示方法については明 りょうに表示しなければならないとあるだけで、メー カーに任されているようだ。
取扱説明書が分かりにくい理由はいくつかある が、まず警告表示が多すぎて見る気がしない。
「○○しないでください」と言われても「○○したら どうなるのか」が分からなければ説得力がないし、
「火事になるおそれがあります」だけより、実際の 事故事例などがあるとこれは大変だと認識するだろ う。事例を紹介したホームページアドレスがあっても いい。警告表示は必要だが、見てもらえなかったら 本末転倒である。
また、消費者の習熟度レベルに合わせた情報提 供が望ましい。同機種を使っていた人には前のもの とどう違うのか、注意点があればそれを中心に紹介 するとか。パソコンなどの情報家電では初心者と上
接続できない場合にも携帯電話のウェブサイトや 電話、ファクスなど他の手段で情報が得られるよう にしてほしい。
取扱説明書の置き場所も重要だ。以前、私たち の研究会で取扱説明書をどこに置いているかを調 べたところ、置いた場所を覚えていない人が1割で あった。これではいざというときに困る。製品との 一体化が理想だが、すべての製品で実現するのは難 しい。例えば洗濯機などには取扱説明書を入れる スペースをつけてすぐに見られるようにしてはどう か。知っているつもりの製品でも取扱説明書を見る と意外と新しい発見がある。役に立つ取扱説明書 をいつでも分かりやすく見られる工夫を、メーカー や事業者にお願いしたい。
「商品の使いやすさとマニュアル研究会」は、 (社)消費生 活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)西日本支部 内に発足した自主研究グループ。今まで、洗濯機やパソコ ン、ビデオ、多機能電話、食器洗い乾燥機、高齢者にとって の家電製品の使いやすさなどについて調査研究を実施し、
報告書をまとめるなどの活動を行っている。
消費者問題対策委員
山本 雄大
「本件においては、事故直後の対応におい て、社内の情報伝達・確認に手間取ったこ と、原因が不明であることにとらわれ、すで に販売されお客様の手元にある製品にまで考 えが至らなかったこと、保健所の要請の履行 のみを考え、社告掲載以外の告知手段に思い 至らなかったことなどにより、結果として、
製品の回収とお客様への告知の間にずれが生 じてしまい、多くのお客様に非常な苦痛を生 じさせてしまった。当社としては、これを真 摯に受け止め、二度と再びこのようなことを 起こさないよう、全社を挙げて改善に取り組 み、お客様の信頼を回復したい」。
これは、平成12年に生じた集団食中毒事件 につきY乳業が作成した報告書に記載されて いる文章である。
同事件は、品質管理のずさんさから低脂肪 乳等の原料に毒素が混入し、1万3000人を超 える消費者に食中毒被害を生じさせたもので あり、社会的事件として大きく取り上げら れ、製造業者等にとって、製品の安全性確保 の重要さのみならず、上記の文章にも示され るように一度欠陥のある製品が流通した場合 の被害拡大防止への取り組みの重要性を認識 させるものであった。
しかしながら、同事件以降も製品の安全性 に関する事件は後を絶たず、自動回転ドアに よる事故、S社製エレベーターによる事故、
M電器製石油暖房機による事故や製品回収命 令、P社製湯沸器による事故や製品回収命令 等の事件が生じている。これらの事件におい ても、製品自体の安全性の問題のみならず、
何件かの事故等に関する情報が有効に収集・
利用されていれば重大事故や被害拡大は防止 できたのではないかとの問題が指摘される。
つまり、Y乳業集団食中毒事件以降、製造 業者等の製品安全に関する意識は高まり、規 制法の改正等がなされたものの、未だに製品 の安全性が十分に確保されているとは評価で きず、また、被害拡大防止も十分でないよう に思われる。
被害拡大の防止も含め、「製品の安全性確 保」は、現代社会において、消費者が安全に 生活する権利を確立するうえで、最も基本的 かつ重要な課題であり、そのために様々な行 政規制が設けられ、また平成7年に施行され た製造物責任法(PL法)もかかる認識から 制定されたものであった。
本稿では、消費者が安全に生活する権利を
確立するために、PL法や行政規制等に不十
分な点はないか、あるとすればどのような改
正等が必要であるかについて考えたい。
ドキュメント内
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