• 検索結果がありません。

廃業の実態

ドキュメント内 CW6_A5148D33.indd (ページ 31-42)

田中酒店(仮名)

2. 廃業の実態

 次に、「中小企業者・小規模企業者の廃業に関 するアンケート調査」に基づき、廃業の実態を見 ていく。

 まず、廃業した企業の組織形態を見てみると、

第 3-3-23 図によれば、個人事業者が約

9

割を占

める結果となった。また、第 3-3-24 図で廃業者 の年齢構成を見てみると、60歳代以上が約

9

割 を占める。自営業主の高齢化が進んでいることは、

本章の冒頭で見たところであるが、廃業を決断し た者の多くは、こうした高齢の自営業主であるこ とが分かる。

 また、廃業した企業の業種内訳を見てみると、

第 3-3-25 図によれば、「小売業」、「建設業」で 約

5

割を占めており、製造業がそれに次ぐ形と なっている。

(n=688)

その他1.7%

% 有限会社株式・

10.5%

個人事業者(個人企業)% 87.8%

第 3-3-23 図 廃業した組織形態

資料: 中小企業庁委託「中小企業者・小規模企業者の廃業に関す るアンケート調査」(2013 年 12 月、(株)帝国データバンク)

(n=696)

49 歳以下 5.9%

50 歳代 50 歳代7.8%

7.8%

60 歳代 33.3%

60 歳代 33.3%

80 歳以上 14.9%

80 歳以上 14.9%

70 歳代 38.1%

70 歳代 38.1%

第 3-3-24 図 廃業者の年齢構成

資料: 中小企業庁委託「中小企業者・小規模企業者の廃業に関す るアンケート調査」(2013 年 12 月、(株)帝国データバンク)

第 3 部

2014 White Paper on Small and Medium Enterprises in Japan

第3節

 また、回答企業の廃業時の資産と負債の状況を 確認したところ、第 3-3-26 図のとおり、資産超 過、若しくは資産と負債が均衡している者が約

8

割を占めた。また、廃業時点の経営状況について も、第 3-3-27 図のとおり、経常黒字の企業が

5

割弱、経常赤字が

1

期のみの企業を含めると

6

割 超に達することから、廃業した企業の多くが、経 営余力がある中で廃業を決断していることが分か

る。この背景には、経営者の高齢化や事業の将来 性が見通せない中で、経営余力があるうちに事業 を閉じておこうという経営者の判断が感じられ る。ただし、「廃業」というアンケートの特性上、

比較的経営余力がある中で廃業した企業が多く回 答している可能性があることにも留意が必要であ ろう。

(n=678)

電気・ガス・熱供給・水道業 3.4%

その他のサービス業 3.1%

医療・福祉 2.4%

農業、林業、漁業 1.0%

飲食サービス業 1.0%

娯楽業 0.3%

生活関連サービス業 0.1%

小売業25.2%

小売業25.2%

建設業22.9%

建設業22.9%

製造業14.2%

製造業14.2%

卸売業7.2%

卸売業7.2%

専門・技術サービス業 5.0%

不動産業  3.7%

その他7.8%

その他7.8%

宿泊業 1.0%

運輸業 0.7%

情報通信業 0.4%

教育、学習支援業 0.4%

第 3-3-25 図 廃業した企業の業種内訳

資料:中小企業庁委託「中小企業者・小規模企業者の廃業に関するアンケート調査」(2013 年 12 月、(株)帝国データバンク)

●廃業を決断するまで

 それでは、廃業の実態を具体的に見ていく。最 初に、経営者がどのタイミングで廃業を意識し、

決断したのか、また、その過程で何らかの取組を 行ったのかを見ていくこととしたい。

 第 3-3-28 図は、廃業した経営者に対して、廃 業の可能性を感じ始めた時期と廃業を決断した時 期を、選択式で聞いた結果である。これによれば、

廃業する直前(3か月以内)に廃業の可能性を感 じ、廃業することを決断した者17を除けば、「期 間をおいて廃業決断」が占める割合が総じて

5

を超えている。とりわけ廃業の可能性を感じ始め た時期が廃業の「1年より前〜3年前」、「3年よ り前」の者については、約

7

割の者が、廃業の可 能性を感じてから期間をおいて決断している。ま た、「6か月より前〜1年前」に廃業の可能性を感 じた者の約

3

割、「1年より前〜3年前」に廃業の 可能性を感じた者の

4

割が、「3年より前」に廃 業の可能性を感じた者の約

4

18が、廃業を決 断するまでに少なくとも数か月の時間をおいてい ることがわかる。

(n=453)

債務超過23.0%

債務超過23.0%

資産と負債が均衡 36.0%

資産と負債が均衡 36.0%

資産超過41.1%

資産超過41.1%

第 3-3-26 図 廃業時の資産と負債の状況

資料: 中小企業庁委託「中小企業者・小規模企業者の廃業に関す るアンケート調査」(2013 年 12 月、(株)帝国データバンク)

(n=635)

経常赤字(2 期以上)

36.1%

経常赤字(2 期以上)

36.1%

経常赤字(1 期)

経常赤字(1 期)19.8 19.8

経常黒字44.1%

経常黒字44.1%

第 3-3-27 図 廃業時の経営状況

資料: 中小企業庁委託「中小企業者・小規模企業者の廃業に関す るアンケート調査」(2013 年 12 月、(株)帝国データバンク)

17 n = 89 となる。

18 「6 か月より前~1 年前」に廃業の可能性を感じた者は「3 か月以内」に廃業を決断した者、「1 年より前~3 年前」に廃業の可能性を感じた者は「3 か月以内」、「3 か月より前~6 か月前」に廃業を決断した者、「3 年より前」に廃業の可能性を感じた者は「3 か月以内」、「3 か月より前~6 か月前」、

「6 か月より前~1 年前」に廃業を決断した者の割合を合計した。

第 3 部

2014 White Paper on Small and Medium Enterprises in Japan

第3節

 次に、経営者が何をきっかけに廃業の可能性を 感じたのかを見てみる。第 3-3-29 図によれば、

廃業の可能性を感じたきっかけとしては、「経営 者の高齢化、健康(体力・気力)の問題」、「売上

の減少」が挙げられている。つまり、経営者自身 の高齢化や健康問題と事業の不振とが、廃業の可 能性を感じたきっかけとなっていたことが分かる。

51

26

14 8

32

24

8 32

25

49 42

30 32

26

【同時期に廃業決断】 【期間をおいて廃業決断】1 年より前~3 年前

【期間をおいて廃業決断】6 か月より前~1 年前

【期間をおいて廃業決断】6 か月以内

【期間をおいて廃業決断】3 か月より前~6 か月前

廃業の可能性を感じ始めた時期 3 か月より前~6 か月前

(n=72) 6 か月より前~1 年前

(n=197) 1 年より前~3 年前

(n=191) 3 年より前

(n=72)

(%)

0 100

80 70 60

40

20 50

30

10 90

第 3-3-28 図 廃業の可能性を感じ始めた時期と廃業を決断した時期

資料:中小企業庁委託「中小企業者・小規模企業者の廃業に関するアンケート調査」(2013 年 12 月、(株)帝国データバンク)

(注)1. 廃業した中小企業・小規模事業者に、廃業の可能性を感じ始めた時期と廃業の決断をした時期を、選択式で質問。選択肢は、(廃 業の)「3 か月以内」、「3 か月より前~6 か月前」、「6 か月より前~1 年前」、「1 年より前~3 年前」、「3 年より前」の 5 択。

   2. 「同時期に廃業決断」とは、廃業の可能性を感じ始めた時期と廃業を決断した時期の両方で同じ時期を選択した者(両方について

「3 か月より前~6 か月前」と回答したような者)。

   3. 「期間をおいて廃業決断」とは、廃業の可能性を感じ始めた時期より後の時期を、廃業を決断した時期として選択した者(廃業の 可能性を感じた時期は「6 か月より前~1 年前」と回答したが、廃業を決断した時期は「3 か月より前~6 か月前」と回答したよ うな者)。

   4.廃業の 3 か月以内に廃業を意識した者は、「同時期に廃業を決断した者」が 100%となるため、表示していない。

 こうしたきっかけで廃業の可能性を感じた後、

経営者が廃業を意識してから決断するまでには、

第 3-3-28 図で見たとおり、一定の期間を置く者 が多いが、それでは、この間に経営者は何らかの 取組を行ったのだろうか。第 3-3-30 図で、廃業 の可能性を感じてから行った取組を見てみると、

「特に対策は行わなかった」とする者が約

4

割を

占めており、大半の者が、廃業を意識した後も特 段の取組を行わないまま廃業の決断に至っている 現実が浮き彫りとなった。他方で、何らかの取組 を行った者に目を向けると、「取引先への説明」

や「事業の縮小・転換」等、廃業に向けた、地な らし的な取組が行われていることが分かる。

第 3-3-29 図 廃業の可能性を感じたきっかけ

資料:中小企業庁委託「中小企業者・小規模企業者の廃業に関するアンケート調査」(2013 年 12 月、(株)帝国データバンク)

(注)1.回答割合が 3%以下の回答を「その他」に含めた。

   2. 「経営者の高齢化、健康問題」及び「体力・気力の問題」と回答した割合の合計を、「経営者の高齢化、健康(体力・気力)の問題」

として 表示している。

(n=620)

経営者の高齢化、健康

(体力・気力)の問題 38.1%

経営者の高齢化、健康

(体力・気力)の問題 38.1%

売上の減少 28.1%

売上の減少 28.1%

事業承継の問題 5.3%

その他16.9%

その他16.9%

利益の減少 3.2%

販売先、顧客の減少 3.4%

経営者の家族の問題

(介護、高齢化、教育等)

5.0%

第 3 部

2014 White Paper on Small and Medium Enterprises in Japan

第3節

●廃業を決断した理由、心配したこと、課題  続いて、経営者が廃業を決断した理由、廃業時 に心配したこと及び課題を見ていくこととする。

 まずは、第 3-3-31 図で経営者が廃業を決断し た理由を見てみると、「経営者の高齢化、健康(体 力・気力)の問題」を挙げる者が多く、「事業の 先行きに対する不安」がそれに続いている。「経

営者の高齢化、健康(体力・気力)の問題」は約

5

割に達しており、多くの経営者が、経営者本人 の年齢や健康問題を理由として、廃業を決断して いることが分かる。

 次に、廃業を決断した経営者が、どのような不 安を抱え、課題に直面したのかを見ていくことと したい。

(%)

0 45

35 30 25 20 15 10 5 40

8.5 6.5 6.1 5.5 4.3 4.1 3.5

39.2

(n=541)

取引先への説明 後継者探し/育成事業の縮小・転換(営業譲渡含む) 営業・販売活動の強化 仕入れ・外注費の値下げ(要請含む) 経営者の個人保有資産の投入 特に対策は行わなかったコストダウン(役員・従業員の報酬・賃金カット以外)

第 3-3-30 図 廃業の可能性を感じてから行った取組

資料:中小企業庁委託「中小企業者・小規模企業者の廃業に関するアンケート調査」(2013 年 12 月、(株)帝国データバンク)

(注)1.取組の上位1~3位のうち、1位の選択肢を集計している。

   2.回答した割合が2%以下の選択肢及び「その他」については表示していない。

ドキュメント内 CW6_A5148D33.indd (ページ 31-42)

関連したドキュメント