• 検索結果がありません。

広範囲の高速複屈折マッピング計測

第5章 応用計測

5.2 広範囲の高速複屈折マッピング計測

92

93

の高速化に対応できる特長がある. 一方で, 提案法ではデータ量過多の課題がある. 例えばフ ィルム搬送速度を毎秒1mとした場合, 空間分解能をレーザ径相当の1mmとして計測すると秒 間1,000枚の計測が必要である. 偏光高速度センサにおいて1024×1024画素の情報を秒間1,000 枚取得した場合には1GB以上のデータを1秒間に消費してしまうため, 将来的なリアルタイム 処理の負荷が非常に大きくなる. また24時間や365日の記録においては, ストレージ容量が膨 大になり実用性が低い. そこで本章では, フィルム面内を広範囲に高速マッピング計測する手 法確立を目指すとともに, データ量過多の課題解決を同時に実現することを目指し, 研究を行 ったものである.

図5.4 従来法と提案法の違い

94 5.2.2 計測原理

図5.5に示す実験装置を用い複屈折位相差マッピング手法の原理を説明するものである. 偏 光高速度イメージセンサはラインセンサとして用いられる. 各ライン画像は, フィルム搬送機 の搬送ロール回転角をエンコードして得られた信号と同期することで, 漏れと重なりのない フィルムと空間的に対応した画像となる. 同期撮影時, イメージセンサは, 信号入力毎にフレ ーミング信号をいったんリセットし, 数マイクロ秒の遅延量で再露光動作をする. 毎回の遅延 量は一定である. そのため, これらのライン画像を撮影後, 敷き詰めることで, 偏光高速度カ メラの撮影範囲を超える広範囲の複屈折マッピングデータが取得できる 76, 77).

図5.5 ライン計測実験装置

95 5.2.3 実験

図5.5に示した図に装置を配置し, 表5.3に示す条件で複屈折マッピング取得実験を行った.

図5.6はフィルム搬送をするために仕様を決め, 所属企業内で委託し, 試作した装置である.

表5.3 ライン計測条件

図5.6 フィルム搬送装置

測定幅 mm 25 mm

レンズ光学倍率 0.2

空間分解能 μm 100 サンプリング速度 kHz 1 フィルム搬送速度 mm/sec 100

サンプル PETフィルム

光源 緑LED

光源波長 nm 520±20 バンドパスフィルタ透過波長域 nm 520±10

96 5.2.4 結果と考察

図5.5に示した実験装置にフィルムを取り付け, 搬送した結果得られた2次元位相差分布を 示す. 実験条件を表5.3に, 搬送装置の外観を図5.6に, そして実験結果を図5.7に示す.サンプ ルに用いた厚さ105マイクロメートルのPETフィルムは, 一般に40π程度の位相差を持っている ことから, 提案法の複屈折位相差の測定レンジを大きく超えている. そのため, 図5.7は, 複屈 折位相差は相対的分布の可視化結果となるなる.しかしながら, 二次元的な複屈折位相差分布 のムラを捉えることが出来ており, また, 計測結果の複屈折位相差ムラの空間的な連続性が得 られたことから, ライン計測と同期システムによる提案手法の実用性が確認できた.

将来的には, データ転送に光ファイバーを用い, ストレージと組み合わせることによって, 原理上は24時間365日間の位相差面分布を記録することが可能である. またカメラの台数を増 やし, 同期駆動計測を行うことにより, フィルム全幅計測ができる.

また, 現在までに秒間200ラインで偏光高速度センサ2台のリアルタイム同期計測が実現に とどまっているが, 画像処理アルゴリズムを改善することで, 秒間10,000ライン程度のリアル タイム計測が技術的に可能である.

フィルム検査向け複屈折位相差マッピング装置の産業展開として, 装置開発を行った. 外観 を図5.8に示す.

図5.7 ライン計測実験結果

97

図5.8 高速二次元位相差マッピング装置

98