Makiら(# , , , , , , , )は広東住血線虫に対する実験 化学療法の研究を推進してきた。
ヒト同様に,体内で成虫にならず幼虫が脳に寄生する段階にとどまるマウス を薬剤検討のモデルとした。
次に,北里大学から 年代に浜松医科大学等他の研究機関にも本虫を提 供したことで実験治療の研究が日本で大いに進んだ。とりわけ,実験動物の供 給源も共通している北里大学と浜松医科大学のデータはともに論ずることが出 来る。台湾においても研究が進んでいるが,虫種の株strainには違いがあるの で結果は必ずしも同一には討論できない。
北里大学の研究室で,本線虫にbenzimidazoles(flubendazole, mebendazole)が 著効を呈することを実験研究で示したうえで投与量,投与時期などの詳細な検
討をおこなった。Benzimidazole化合物等の本虫に対する効果に関していくつ かの研究室からも報告があり,これらも含めレビュー的記載がなされている。
既 に 報 告 の あ っ たThiabendazoleの 効 果[Nishimura K : Experimental studies on the chemotherapy of rat lungworm, Angiostrongylus cantonensis, in rats,
Chemotherapia : − , / ]は認められなかった。あるとしても,低
度であったと考えられる。
種々の実験投薬例はあるが,結局のところ広東住血線虫には上記のフルベン ダゾール,メベンダゾール以外には,浜松医科大学グループの検討により,メベ ンダゾールの効果を陽性対照として確認した上でアルベンダゾールalbendazole
[Lakwo et al., : Parasitology International , − ],アイベルメクチン avermectin Bla[Ishii et al., : Int. J. Parasit. , − ]およびMilbemycin D[(Terada et al., : Parasitology Research, , − )]が実験的に有効 であるとの実験結果が得られ,報告がなされている。
なお,本成虫に対して以前は有効な駆虫の報告がなかったが,フルベンダゾ ール,メベンダゾールそれぞれの繰り返しの投与で,その有効性(# )が確 認された。調査中ではあるがその後も検討された例はあると思われる。しか し,極めて稀な成虫寄生のケースを除いては,実際ヒト患者で投与すること は,ありえない。現在執筆中であるが,最新の文献をも引用した総説の完成を 急がねばならない。特に,ヒト患者での投薬例が大切である。
有効なフルベンダゾールの作用機序の検討もおこなっている(# )。駆虫 される前にこの薬剤により体表のフォスファターゼ活性の低下,重量の低下
(グルコースは体表吸収),電子顕微鏡レベルの体表の微細構造の変化により体 表から代謝活性に影響を与えるものであることが示された。その時点でまだ虫 体の腸管には影響が認められなかった。
基盤構築への協力と活動−特に熱帯寄生虫病学の視座より
③
In vivo
の抗条虫効果(小形条虫Hymenolepis nana
,マンソン孤虫larval Diphyllobothrium erinacei
)小形条虫
Hymenolepis nana
:虫卵投与による成虫感染のマウスモデルをまず作成した(# , )。生物活性検定(駆虫効果)のシステムづくりをおこ なっておけば,Ⅱの海外で展開している現地で薬用植物抽出物の効果を検討 することが可能となる。ここでは 種類の薬剤paromomycin sulphate, bithionol, mebendazole, flubendazoleの 効 果 を 検 討 し た(# , )。こ の 範 囲 で は
mebendazoleに成虫の駆虫に高い効果を示すことが明確となった。
[抗寄生虫薬の構造式]
Bithionol Triclabendazole
Bithionol Praziquantel Albendazole
Mebendazole Flubendazole Paromomycin