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年 1895.90 年

ドキュメント内 スライド タイトルなし (ページ 39-53)

4.551″

0.50

≪軌道要素≫

へびつかい座の70番星は、ちょうどへびつかいの右肩にあるβ星のすぐ東で、 4等星が

3個集まったところの一番東にある星です。周期が87.85年という速さで有名な連星です。

2005年の位置角は137.24°、角距離は4.98″で、角距離の最大は2024年の6.75″で、

最小は2077年の1.54″です。2000年以降10年間の位置角と角距離は下記の通りです。

へびつかい座 70番星の軌道図

180°

0°

90°

270°

2000

2010

2020 2030 2040 2050 2060

2070 2080

T. J. J. See, 1896. S. W. Burnham, 1906.

61 Cygと同じような惑星に似た微小暗黒伴星が、偶然にも同じ年に70 Ophに発見され

ました。実視連星としての軌道要素は、先に掲げたように1950年K. Aa. Strand によって 充分精密に決定されています。そこで、BS カタログの視差p″= 0.201″からa と全質量 を計算すると、

−39−

a = p″

a″

=

0.201 4.551

= 22.6418 AU MA + MB=

P2 a3

=

87.852 22.64183

= 1.50 ◎

また、Paul Couteau著A. H. Batten 訳 の“Observing Visual Double Stars”によれば、質 量比は μ= 0.42 ですから、それぞれの質量は、

MA+ MB MB

= 0.42 μ=

MB= 0.42×1.50◎= 0.63◎, MA= 1.50◎– 0.63◎= 0.87◎ となります。

ところで、この星の軌道運動には古くからケプラー運動の外に、周期が6年から36年まで の間の撹乱があるらしく、第三の分星によるものではないかと示唆されていましたが、そ れを確かめるには観測の精度が足らず、むしろ眼視観測の系統的な誤差ではないかと いうことで、問題が未解決になっていました。

T. J. J. See “Researches on the Evolution of the Stellar Systems” vol. 1, 1896.

Strand が軌道決定に用いた材料は、ポツダムとヨハネスブルグで撮影した29枚の対物グ

レーティングを用いた精密なものでしたが、第三の分星の存在を支持するものではありま せんでした。彼が用いた写真観測は、1915から1922年までと1931年から1935年までの短 期間のものだったからです。そこで、Dirk ReuylとErik Holmberg は、Strand の用いた資 料に、マコーミック天文台で観測された33枚の対物グレーティング、64枚の視差観測プ レート、合計97枚の写真乾板上で総計1,150個の測定を加えて精密な軌道解析を試み ました。観測を整理した結果、各時期の観測平均位置とStrand の軌道要素から求めた 計算位置との差(Δ)は、第1表と第1図の通りです。

−40−

第1表 70 Oph AB の相対位置

−41−

第1図 70 Ophにおける第三分星の影響

第1図から明らかなように、系統的なΔの分布が見られることがわかります。しかし、これ から軌道の離心率を出するまでには行きませんでした。そこで、ReuylとHolmberg はそ の軌道を円形と仮定して、Δをつぎのような形に表しました。

Δ= a sin b ( t – t0) + c + ( t – t0)μ ・・・・・・・・・・・・・・・・ ( 1 )

ここで、第一項は円形軌道に相当し( b = 2π/P )、 c + ( t – t0 )μはStrand の軌道要素 に対する補正を意味します。

( 1 )式と第1図とを比較して、a, b とt0の近似値を評価し、さらに( 1 )を微分して、その微 分補正を第1表の材料によって最小自乗法にかけます。こうして得られた定数の値は、

赤 経

a = 0.014″±0.003″

P = 16.3 ±0.9年 t0 = 1930.8 ±0.4 c = - 0.011″±0.002″

μ= 0.0000″±0.0002″

赤 緯

a = 0.015″±0.002″

P = 17.9 ±0.7年 t0 = 1925.6 ±0.6 c = - 0.001″±0.003″

μ= 0.0005″±0.0002″

これによって、見えない伴星C を持つ系の重心に対する可視星の円軌道の半径は、約 0.015″、公転周期17年が得られます。この半径は、70 Ophの視差p″= 0.201″を用い ると、0.075AU に相当します。しかし、これは重心に対する軌道で、相対軌道ではありま せん。それを計算するには、C 分星がA, B どちらに付属しているか知らなければなりませ ん。しかし、これは61 Cygと同じく、これまでの観測材料からは決まりません。A, B の軌 道速度そのものがわずか0.15km/sec に過ぎず、とうていC 星の影響が出せそうもないか らです。

70 Ophの質量は、先に求めたように、MA= 0.87◎、MB= 0.63◎でした。そもで、C がA に属するものと仮定して、AC 系の軌道半径をP = 17年とMA+ MC= 0.87◎からケプラ ーの法則に従って計算すると、

MA+ MC= P2 a3

= 172

a3

= 0.87◎

=

289 a3

∴a (AC) = 6.3AU

−42−

従って、

MA+ MC

MC

= 0.075AU

6.3AU = 0.0119 0.87◎ =

MC

∴MC= 0.0119×0.87◎= 0.01◎

となります。

また、C がB に属すると仮定すると、

MB+ MC= P2 a3

= 172

a3

= 0.63◎

=

289 a3

∴a (BC) = 5.7AU 従って、

MB+ MC

MC

= 0.075AU

5.7AU

= 0.0132 0.63◎ =

MC

∴MC= 0.0132×0.63◎= 0.008◎ となります。

こうして、C の軌道はどちらの場合も木星の軌道よりも少し大きく、質量は木星の質量の 10倍から8.5倍で、先の61 Cyg C よりもさらに小さいことがわかります。

また、C 星の相対軌道の半径を視差から視距離に直せば、A またはB に属するものとし て、それぞれ1.3″と1.1″となります。従って、C は比較的明るい星で、A やB の光と混 じりあって区別がつかなくなるとは考えられません。それ故、C 星はほとんど光を出さない 暗黒星と見なければなりません。

これまで観測された連星系には、このような伴星を有するものはなく、そのため70 Ophは

61 Cygとともに、太陽系の惑星と同じような天体として注目の的となりました。しかし、三

重連星としての70 Ophは、天体力学に非常に興味ある三体問題を提供します。AC また はBC 系の軌道半径は6.3AU と5.7AU で、これはAB 系の軌道半径22.6AU に比べて 無視できるほど小さなものではなく、むしろ匹敵する大きさです。従って、C の軌道は相 当不安定であり、周期や軌道の位置や形にも、相当大きな変化があると思われます。

−43−

10.14 こと座ε1星(ε1Lyr=ADS 11635 AB ) α= 18h 44.3m (2000.0 ) δ= + 39°40′

5.00等,白色 : 6.10等,白色

(周期) ・・・・・・・・・・・・・・

(近星点通過の時) ・・・

(軌道半長径) ・・・・・・・

(軌道離心率) ・・・・・・・

138°

165.7° 29°

0.3089°

P T a e

i ω Ω n

(軌道傾斜角) ・・・・・・・

(近星点引数) ・・・・・・・

(昇交点の位置角) ・・・

(平均年運動) ・・・・・・・

1165.6年 1152.4年 2.78″

0.19

≪軌道要素≫

こと座のε1,2 星は、α星とζ星とで三角形を作り7×50 の双眼鏡で同じ視野に入り、オペ ラグラスでも分離します。光度は4.7等と5.1等で、位置角は173°角距離は207.7″です。

ε1とε2はともに連星で、ε1(AB)は周期が1165.6年です。2005年の位置角は349.04°で 角距離は2.54″です。2000年以降10年間の位置角と角距離は下記の通りです。

こと座ε1 の軌道図

180°

0°

90°

270°

2000 2100 2200

2300

2400

2500 2600

2700

2800 2900 3100 3000

BSカタログによれば、視差が p″= 0.021″ですから、実際の軌道の大きさは、

a = p″

a″

=

0.021 2.78

= 132.3810 AU

で、太陽系の3倍以上の規模の連星系です。軌道の離心率は e = 0.19 とちいさいので、

近星点距離= a ( 1 – e ) = 107.2286 AU 遠星点距離= a ( 1 + e ) = 157.5334 AU となります。また、全質量は、

M1+ M2= P2 a3

=

1165.62 132.38103

= 1.71 ◎

です。しかし、残念ながら質量比がわかりませんので、個々の質量は算出できません。

−44−

10.15 こと座ε2星(ε2Lyr=ADS 11635 CD ) α= 18h 44.3m (2000.0 ) δ= + 39°40′

5.23等,白色 : 5.47等,白色

(周期) ・・・・・・・・・・・・・・

(近星点通過の時) ・・・

(軌道半長径) ・・・・・・・

(軌道離心率) ・・・・・・・

120.5°

92° 17.4°

0.6154°

P T a e

i ω Ω n

(軌道傾斜角) ・・・・・・・

(近星点引数) ・・・・・・・

(昇交点の位置角) ・・・

(平均年運動) ・・・・・・・

585年 1644.5年 2.95″

0.49

≪軌道要素≫

ε2(CD)は周期が585年の連星です。2005年の位置角は73.43°で、角距離は2.44″で す。2000年以降10年間の位置角と角距離は下記の通りです。角距離の最大は2351年の 2.67″で、最小は2228年の0.76″です。2000年以降10年間の位置角と角距離は下記の 通りです。

こと座ε2 の軌道図

180°

0°

90°

270°

2000

2100 2200

2300 2400

2500

2050 2150

2250

2350

2450

2550

BSカタログによれば、視差が p″= 0.021″ですから、実際の軌道の大きさは、

a = p″

a″

=

0.021 2.95

= 140.4762 AU

で、太陽系の3倍以上の規模の連星系です。軌道の離心率がe = 0.49 と大きいので、

近星点距離= a ( 1 – e ) = 71.6429 AU 遠星点距離= a ( 1 + e ) = 209.3095 AU となります。また、全質量は、

M1+ M2= P2 a3

=

5852 140.47623

= 8.10 ◎

です。しかし、残念ながら質量比がわかりませんので、個々の質量は算出できません。

−45−

10.16 はくちょう座δ星(δCyg=ADS 12880)

α= 19h 45.0m (2000.0 ) δ= + 45°08′

2.91等,白色 : 6.33等,青色

(周期) ・・・・・・・・・・・・・・

(近星点通過の時) ・・・

(軌道半長径) ・・・・・・・

(軌道離心率) ・・・・・・・

141.51°

124.47° 84.22°

0.670°

P T a e

i ω Ω n

(軌道傾斜角) ・・・・・・・

(近星点引数) ・・・・・・・

(昇交点の位置角) ・・・

(平均年運動) ・・・・・・・

537.31年 1890.0年 2.561″

0.30

≪軌道要素≫

はくちょう座のδ星は、大きく広げた翼の北側の風切羽根のところにある連星です。周期 は 537.31年で、2005年の位置角は215.10°、角距離は2.24″です。小口径の望遠鏡で はちょっと難しい連星です。角距離の最大は2226年の3.04″で、最小は2408年の1.45″

です。2000年以降10年間の位置角と角距離は下記の通りです。

2000 はくちょう座 δ星の軌道図

2050 2100

2150 2200

2250

2300 2400 2350

2450 2500

180°

90°

270°

0°

BSカタログによれば、視差が p″= 0.030″ですから、実際の軌道の大きさは、

a = p″

a″

=

0.030 2.561

= 85.3667 AU

で、これまた太陽系の2倍以上の大規模な連星系です。軌道の離心率はe = 0.30 です から、

近星点距離= a ( 1 – e ) = 59.7567 AU 遠星点距離= a ( 1 + e ) = 110.9767 AU となります。また、全質量は、

M1+ M2= P2 a3

=

537.312 85.36673

= 2.15 ◎

です。しかし、残念ながら質量比がわかりませんので、個々の質量は算出できません。

−46−

10.17 はくちょう座 61番星(61 Cyg=ADS 14636)

α= 21h 06.9m (2000.0 ) δ= + 38°45′

5.22等,橙色 : 6.04等,赤色

(周期) ・・・・・・・・・・・・・・

(近星点通過の時) ・・・

(軌道半長径) ・・・・・・・

(軌道離心率) ・・・・・・・

55.01°

147.03° 171.40°

0.5510°

P T a e

i ω Ω n

(軌道傾斜角) ・・・・・・・

(近星点引数) ・・・・・・・

(昇交点の位置角) ・・・

(平均年運動) ・・・・・・・

653.34年 1676.94年 24.307″

0.4002

≪軌道要素≫

はくちょう座の61番星は、α星デネブの東南約 9°のところにある歴史的に重要で、また 興味ある連星です。1804年にピアジが素早い固有運動であることを見出し「飛ぶ星」と名 づけました。年間5.22″という速さです。また、1838年にベッセルが初めて視差の測定を 行いました。周期は 34.385年で、2005年の位置角は151.25°、角距離は30.54″です。

角距離の最大は2068年の32.22″で、最小は2292年の9.45″です。2000年以降10年間 の位置角と角距離は下記の通りです。

はくちょう座 61星の軌道図

180°

2000 2100

2200

2400

90°

270°

0°

2300

2500 2600 2150 2050

2250

2350

2450 2550

S. W. Burnham, 1906.

−47−

61Cyg は、先にも述べたように、視差が最初に測定された星で、5.22等と6.04等の比較 的明るい2つの星にわかれていることは、既にブラッドレーの時代から知られていました。

J. ハーシェルの引用によれば、1753.8年の位置角が54°36分で、角距離が19.628″で あったということです。ハーシェルは、1822年までの約70年間の測定を集めて得た相対 運動からは結論が出ませんでしたが、G. ピアッジやF. W. ベッセルの測定したこの 2つ の星の固有運動が非常に大きいことから、この2つの星が実際に連星であるとしました。

61Cyg AB の両分星の固有運動は正確には同じではありません。A. Auwersの観測によ

れば、A星の固有運動は位置角が51.52°の方向に μ= 5.191″で、B星では53.68°の 方向に μ= 5.121″です。そして、1830年以来、多くの観測がなされましたが、ABの相対 運動はほとんど曲率を示さない直線的なものでした。それにもかかわらず、C. F. W.

Peters は1885年に軌道要素を計算して、

P = 782.6年、 a″= 29.48″、 e = 0.17、

と発表しました。しかし、そのときまで観測された軌道の弧の長さはあまりにも短く、しかも 曲率をほとんど示さないので、これによって軌道要素を計算しても、その結果は到底信頼 できるものではありませんでした。そのため、S. W. バーナムは、1905年になってもまだ 61Cyg は単なる見かけの二重星ではないのかという意見をほのめかしていました。ところ が、ちょうど同じ年にOesten Bergstrandは、それまでの観測材料で使用できるものを全 部集め、それに彼自身が1899年から1903年までに撮った写真観測を加え、それを分析 して、61Cyg のA, B 星が全く同じ視差を示すだけでなく、B はA に対して凹んだ軌道を 描くことを明らかにし、61Cyg 系が実際に連星であることを証明したのです。このことは、

1910年のF. Schlesinger とD. Alter の研究によって確かめられました。こうして、61Cygは 現在では、最も角距離の大きな、しかも連星系であることが確かめられた一つの例となっ ています。

暫定的な軌道要素は、P. Baize (1927) とAlan Fletcher (1931) が計算しています。Baise は図式方法によって、

P = 756年、 a″= 32.8″、 e = 0.013

と出しました。Fletcher は質量光度関係から評価して、全質量を1.126◎と仮定し、特殊 な解析方法で、

P = 696.63年、 a″= 24.525″、 e = 0.404

を得ました。両者を比較すると、要素には大きな開きがあります。特に前者では、ほとんど 円に近い軌道であるのに対し、後者の軌道は著しい離心率を示します。このことから、こ のような長周期の連星の軌道要素を、短い弧上の観測から決定することが如何に難しい かをうかがい知ることができます。とにかく、61Cyg は非常に大規模な連星系であることは 確かで、軌道の平均実半径は80から100AU で、最小に見積もっても太陽系の2倍以上 はあります。

ところで、61Cyg は戦時中、アメリカで“新太陽系の発見”として新聞やラジオのニュース で騒がれた天体です。1943年、K. Aa. Strand は、ポツダム、リックおよびスプロール天文 台で得られた高精度の多くの写真観測を分析して、二体問題としてのケプラー運動から 周期的にズレることを発見し、これは眼に見えない第三の分星61Cyg C があるということ でなければ説明できないと結論しました。スプロール天文台で新しく決定した軌道要素は

P = 720年、 T = 1690、 a″= 24.554″、 e = 0.40

−48−

ドキュメント内 スライド タイトルなし (ページ 39-53)

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