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年度東北大学災害科学国際研究所 特定プロジェクト研究成果報告書

【所内/拠点研究】

研究種目:B

研究課題名:

津波による海岸樹木の被害リスク評価手法の高度化

研究代表者 今井健太郎

所属部門・分野 災害リスク研究部門津波工学研究分野

職名 助教

研 究 組 織 研 究 代 表 者 ※ 印

氏名(所内) 分野名・職名 現在の専門 研究の役割分担 今井 健太郎

今村 文彦

津波工学研究分野・助教

津波工学研究分野・教授

津波工学

津波工学

研究総括,現地実験,海岸樹木 の被害リスク評価手法の開発,

津波数値解析

海岸樹木の被害リスク評価手 法の開発

氏名(所外) 所属・職名 現在の専門 研究の役割分担 原田 賢治

南 幸弘

坂本 知己

野口 宏典

二宮 栄一

静岡大学防災総合セン ター・准教授

アジア航測株式会社・技 師

(独)森林総合研究所・室 長

(独)森林総合研究所・研 究員

高知県治山林道課・課長 補佐

津波工学 空間情報学

海岸砂防

防災林学

森林土木

現地実験,津波数値解析 樹木構造計測・処理

実験対象木の評価,現地実験

林相の倒伏耐力影響評価,現地 実験

実務の立場からの現地適用へ の検討,現地実験

合計 7名 研 究 経 費 総額 2,542千円

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研究目的 何をどこまで明らかにしようとするのか

津波に対して海岸林が被害を軽減する効果を持つことが知られているが,海岸樹木の被害リス ク評価を見積もった例は少ない.事実,2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震津波 は東北地方の沿岸地域の海岸林に壊滅的な被害をもたらしたが(林野庁,2011),そのリスク評 価については行われていなかった.本研究では,実際の海岸樹木を対象として引き倒し試験を実 施し,その倒伏耐力と群生環境や根部発達に関する詳細調査を行い,その関係性を明らかにする.

さらに,LP計測による複雑な樹木構造評価を行い,樹齢や群生環境との関係性を調査する.そし て,これらを評価可能となるように定式化を試みる.将来の南海トラフ巨大地震による津波被害 が危惧されている地域に適用し,海岸林被害のリスク評価とそのリスク低減に資する実践的対応 策を本研究の実測結果に基づき提案する.

研究の特色・意義

本研究課題で実施した実際の海岸樹木に対する大規模倒伏耐力実験とそのデータは,これまで 実施例が少ないため,学術的に貴重なデータといえる.また,海岸林の被害リスクを定量的に示 すためには,重要な知見となる.また,LP技術を用いた海岸樹木の構造解析についても,これま で実施された例は少なく,LP による点群データから樹木構造を評価することにより,津波氾濫 解析への実装に大きく寄与することができる.まだ検討段階ではあるが,これらの基礎データに より,海岸林被害のリスク評価に資する評価手法を提案することが今後可能となる.

当該年度 の研究成 果の内容

300~400字の間で専門家以外にも理解できるようにまとめてください

津波による海岸クロマツの被害リスク評価の高度化のために,海岸樹木を対象とした現地実 験を行った.ひとつは倒伏耐力実験であり,H24 年度に実施した計測結果を踏まえて群生環境 などを考慮した倒伏耐力評価式の高度化を行った.倒伏限界モーメントは,クロマツ胸高直径 で評価する方法が適切であることを示した.

立木地盤の被砂層厚を増加させることによって,その倒伏限界モーメントは強化されるが,

樹木胸高直径の3倍以上の厚さではその強化傾向は頭打ちとなることがわかった.

海岸樹木の作用流体力評価に必要な体積や表面積について,従来の概算モデルの成木クロマ ツへの適用可能性について検討を行った.パラメータの若干の調整は必要であるが,適用性は おおむね良好であることがわかった.

以上の結果から,被害リスク評価を検討するための諸情報を取得することができた.これら の結果と津波数値シミュレーションを組み合わせることにより,より詳細な対応策を検討する ことが可能となった.

研究成果 の「実践 的防災 学」とし ての位置 づけ(ど

当該研究が防災・減災にどのように寄与するのかを必ず明記してください

入野松原や琴ヶ浜松原における海岸林の津波耐力強化手法を実務の視点から検討した.海岸 クロマツにおいて,地盤環境条件(地質や地下水位など)が津波耐力に影響していることが大 規模な現地試験から明らかとなった.しかし,既存海岸林の地盤環境条件の改変は現実的に難 しく,実効的かつ実践的な手法が必要であった.

本研究により,海岸クロマツの耐力には,根部上端から地盤までの被砂層厚が寄与している ことを明らかになった.この特性を用いて被砂層厚を増加させることにより,既存海岸林の耐

1 研究成果の公表

◇学術論文

合計( 2 )編

学術論文(著者名/表題/雑誌名/巻号/頁/発行年/査読の有無)

1) 今井健太郎・原田賢治・南幸弘・川口誠史・二宮栄一,海岸樹木の津波耐力評価手法の高度化,土木学 会論文集B2(海岸工学),69-2,361-365,2013.査読有り

2) 林晃大・今井健太郎・今村文彦,津波漂流物の捕捉機能を有する植栽の設計に関する研究,土木学会論

文集B1(水工学),70-4,1141-1146,2014.査読有り

◇学会発表

合計 ( 6 )件

○通常講演

1) Kentaro IMAI, Kenji Harada, Yukihiro Minami, Seiji Kawaguchi, Ei-ichi Ninomiya, Fumihiko IMAMURA, Advanced evaluation method for tsunami resistance of coastal forests, International Tsunami Symposium, Turkey, 2013.9.

2) 今井健太郎・原田賢治・南幸弘・川口誠史・二宮栄一,海岸樹木の津波耐力評価手法の高度化,土木 学会海岸工学講演会・福岡,2013.11.

3) 今井健太郎・原田賢治・川口誠史・野口宏典・坂本知己・南幸弘・二宮栄一・今村文彦,海岸クロマ ツの倒伏耐力評価手法について,日本海岸林学会,盛岡,2013.11.22

4) 今井健太郎・原田賢治・川口誠史・野口宏典・坂本知己・二宮栄一・南幸弘・今村文彦,海岸クロマ ツの群生環境が倒伏限界モーメントに及ぼす影響,東北地域災害科学研究集会・秋田,2014.1.

5) 林晃大・今井健太郎・今村文彦,津波漂流物の捕捉機能を有する植栽の設計,東北地域災害科学研究 集会・秋田,2014.1.

6) 林晃大・今井健太郎・今村文彦,津波漂流物の捕捉機能を有する植栽の設計に関する研究,土木学会 水工学講演会・神戸,2014.3.

3 国際連携

◇国外の研究機関との研究協力・交流( 無 )

◇国外の研究者の参加 ( 無 )

◇学術交流協定の活用 ( 無 )

3 教育上の効果

(1)学生の参加による教育上の効果( 有 )

〈参加学生の所属〉

東北大学大学院工学研究科土木工学専攻

〈学生による成果発表〉

1) 林晃大・今井健太郎・今村文彦,津波漂流物の捕捉機能を有する植栽の設計,東北地域災害科学研究 集会・秋田,2014.1.

2) 林晃大・今井健太郎・今村文彦,津波漂流物の捕捉機能を有する植栽の設計に関する研究,土木学会 水工学講演会・神戸,2014.3.

(2)ポストドクターの活用( 無 )

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4 東北大学各部局との連携

(1)東北大学各部局(災害科学国際研究所以外)との組織上の連携( 無 )

5 国内研究機関との連携

(1)国内の研究機関との連携・協力の有無( 有 ) 静岡大学

独立行政法人 森林総合研究所 高知県

(2)国内の研究機関の研究への参加( 有 ) 静岡大学

独立行政法人 森林総合研究所 高知県

平成 25 年度 東北大学災害科学国際研究所 特定プロジェクト研究成果報告書

【所内/拠点研究】

研究種目:B

研究課題名:2011 年大津波による大規模浸食機構の解明と浸食抑制方法の提案―ねばり強い 海岸堤防の復興を目指して

研究代表者 真野 明

所属部門・分野 災害リスク研究部門・災害ポテンシャル研究分野

職名 教授

研 究 組 織 研究代表者※印

氏名(所内) 分野名・職名 現在の専門 研究の役割分担

真野 明※ 災害ポテンシャル研究 分野・教授

水工学 総括、

浸食メカニズム解明、

浸食制御

氏名(所外) 所属・職名 現在の専門 研究の役割分担

田中 仁

Budianto Ontwirjo

工学研究科土木工学専 攻・教授

BPPT, Indonesia・

Senior Researcher.

海岸工学

海岸工学

浸食実態把握、

浸食制御

数値モデルの開発

合計 3 名 研 究 経 費 総額 2550千円

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研究目的 ◇何をどこまで明らかにしようとしたのか

仙台湾南部海岸では、2011年東北地方太平洋沖地震津波によって、大規模な浸食(津波湾)が起こ り、海岸堤防が高密度で破堤した。浸食の原因は、いずれの津波湾とも先の閉じた水路や湿地があ った場所に重なることなどから戻り流れの集中が引き起こした浸食であると推定された(真野ら、

2013)。本研究は、数値モデルによる現象の再現実験を通して、大規模浸食のメカニズムを解明し、

次に同じ数値モデルを用いて、侵食を効率よく抑制するする方法を見つけ提案するものである。

◇研究の特色・意義

中央防災会議は、東日本大震災をうけ減災指針に関する次の提言をまとめた。すなわち、対象とす る津波を、発生頻度は高く、津波高は低いものの大きな被害をもたらすクラス(L1)と、発生頻度 は極めて低いものの、甚大な被害をもたらす最大クラス(L2)に分け、海岸堤防の再建にあたって はL1を防御し、L2に対しては越流を許すもののねばり強い構造とするものである。この中では、

押波の越流による破壊メカニズムが主に取り上げられ、その対策としてコンクリートの三面張工法 が提案されている。 しかし、仙台湾南部海岸においては、津波の戻り流れが破堤の主因と考えら れ、しかもさらに大規模な破壊であることから、この浸食機構を解明しその対策を示すことにより、

破堤しにくい堤防の設計に寄与するものである。

当該年度 の研究成 果の内容

三陸海岸、仙台湾海岸を通じて、最も壊滅的に海岸堤防が壊れたのは、山元海岸である。破堤密 度も高いし、背後には津浪湾や津波水路が形成され、陸地が大きくえぐられている。山元で他所と 違って大きく壊れた破壊機構を調べた。その結果、堤防の破壊は2段階で起こったことが明らかに なった。第1段階は、約6mの段波状の津波が、波返し、パラペット、構造の継ぎ目など弱い部 分を破壊した。山元海岸は、震災以前から深刻な海岸侵食を受けており、砂浜がほとんど無い脆弱 な海岸である。用地が無いため海岸堤防は急勾配となり、波当たりが強いため波返しが設置されて いた。波力をまともに受ける構造は弱く、高密度で破壊された。第2段階は戻り流れによる侵食で ある。第1段階で破壊された箇所、また背後に水路やくぼ地がある箇所に陸上にあふれた大量の津 波が、集中して海に戻り、周辺を大規模に侵食した。阿武隈川以北では、貞山運河が戻り流れを制 御したことがわかっているが、運河の有無、背後地の勾配、粗度が大規模浸食与える影響を評価 し、浸食ポテンシャルを求めた。仙台市荒浜海岸と山元海岸を比較し、後者の浸食ポテンシャルが 150倍高いことを示した。

研究成果 の「実践 的防災 学」とし ての位置 づけ(ど のように

大規模に破壊した海岸堤防の破壊メカニズムと浸食ポテンシャルを明らかにした。最大クラス

(L2)の津波が堤防を越えても、大きく壊れないねばり強い構造とするためには、この破壊メカ ニズムが指針となる。第1段階の破壊メカニズムである、波返し、パラペット、急傾斜堤、構造の 継ぎ目などの弱点を解消することが重要である。震災後の海岸堤防復興に当たってこの点が考慮さ れ設計、施工に反映されている。一方、第2段階の破壊メカニズムについては、その対策はあまり 考慮されていない。現在仙台湾沿岸の海岸堤防は、緩傾斜堤が主体であり、海側、天端、陸側の表 面をコンクリートブロックで被覆する構造となっている。堤体陸側の法尻は、浸食を受けやすいこ とから、止水と表土の置き換えなどが行われている。戻り流れを、堤体でせき止めて、流れを止め

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