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平成 1 7 年度千代田学調査結果のまとめと今後の課題
第4章 平成17 年度千代田学調査結果のまとめと今後の課題
第 4章 平 成71 年度千代田学調査結果のまとめと今後の課題
千代田学は、千代田区の特性を考慮しながら千代田区政に寄与する政策課題を調査研 究する取り組みである。平成 16 (2004 )年度では、千代田区内に我が国を代表する大 企業本社や官公庁が立地するという地域特性と、近年の CSR (企業の社会的貢献)活動 に関する意識の高まりから企業が自らの事業特性等を生かした社会貢献が求められてい る現状を踏まえ、区内の約 300 社に及ぶ一部上場企業を対象とした環境 CSR の取組に 関する調査を実施し、地域における企業と行政、住民等との連携・協働に向けた課題の 抽出を試みた。
この成果を受けて、平成 17 (2005 )年度調査では、持続可能な社会づくりに向けた 企業の社会貢献活動のーっとして期待される「環境教育への支援J に主題をしぼり、区 内企業が貢献できる取組分野やテーマ、活用資源についてヒアリングにより把握すると ともに、千代田区立小学校における環境教育の現状と企業との連携等について現場で環 境教育に取り組む担当教員を対象に、アンケート及びヒアリング調査により実態の把握 と課題の抽出を試みた。年度末には、こうした企業調査と学校調査、また文献調査の集 約結果をもとに、環境教育における企業参画のあり方に関し、研究者と行政担当者、企 業担当者、 NPO 団体、学校関係者等によるシンポジウムを開催し、企業の環境教育支援 に関する課題の整理と論点の探求を行った。本報告書はこうした成果の一端を取りまと めたものである。
ところで、千代田区では、環境ISO の認証取得を平成 51 (2003 )年度に行い、さら
に平成 16 (2004 )年にはこの対象範囲を区立の小中学校にも拡大をし、学校では環境
ISO の環境プログラムに「環境教育の推進J を掲げて学校ごとに独自の取り組みを進め ている。こうした環境 ISO を主軸とした環境施策の展開は、教育現場においても確実に 環境教育の取組を推進させている。しかし、例えば一部の学校では、環境教育に対する 強し、期待や要望はあるものの教育手法や機会の模索にとどまり、本格的なカリキュラム 構成や授業づくりには至っていない状況も見られ、こうした課題が抽出されたことは今 回の調査結果の成果の一つで、ある。
本年度の調査結果を改めて総括すると、いくつかのポイントが指摘できる。一つは、
学校現場においては環境教育の必要性と豊富化に関する認識の深まりが生じており、こ れを踏まえて地域に存在する教育資源の多面的な活用と導入、活用に際しての現場レベ ルの要望と障害の把握等が求められている。こうした課題に対応するため、まずは関係 者間における理解の共有が必要であるが、シンポジウムでの意見交換等からは学校関係 者と企業、 NPO との間に大きな認識の差異があることが明らかとなった。環境教育にか かわる関係者の問での情報の共有と共通理解の醸成に緊急に取り組むことが必要である。
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第4章 平成17 年度千代田学調査結果のまとめと今後の課題
第二点として、環境教育の充実を図るためには、学校を取り巻く地域の関係主体であ る企業、住民、大学、 NPO 等が連携・協働し、共通の理解のもとで教育機会の豊富化を 図っていくことが重要である。とりわけ企業立地の面からの千代田区特性を踏まえると、
企業の持つ多様な教育資源と知識、技術等を生かした環境教育推進への期待は大きい。
こうした観点から、教育現場への外部支援の導入、とくに企業による授業参画に関して、
その理念と手法、具体的な活用方策について検討する必要がある。また、地域の企業に 対して環境教育への関心を呼び覚まし、学校や行政との協働の可能性や課題について理 解を深め、認識を共有していく取り組みも必要である。
第三として、こうした環境教育の推進に向けて学校と行政、地域の企業、住民、大学、
NPO 等が連携する際に、教育現場のニーズを的確に把握し、また企業等の関係主体の資 源(シーズ)や意欲を引き出しつつ両者を適切に結び付けることが、その成否を握ってい る。環境教育の理念がどれほど優れていても、それを現実社会の実態に即しながら教育 プログラムとして分かりやすく展開していくものでなければ、真に共感性を有する内容 ある教育とはならない。そのためには、シンポジウム発言等でも指摘されているように、
学校現場と外部の人材や施設等を効果的にマッチングさせることができるコーディネー ト機能を有する第三者組織の果たす役割はきわめて重要である。こうした中にあって、
教育機関であり研究機関でもある本学(法政大学)に対して、地域社会への貢献等の面 からも、このような第三者組織のあり方に関する知見の蓄積と研究の進展には大きな期 待が寄せられている。
今後の調査研究テーマとしては、以上のような課題を踏まえながら、学校環境教育へ の支援方策の具体化のため関係主体の参加によるプログラムづくりとコーディネート組 織のあり方の検討、協議・協働システム(プラットホーム)の構築に関する諸条件と課 題の抽出などがあげられる。地域特性を活かした具体的な環境教育システムづくりに向
けて、さらに掘り下げた調査検討が必要で、ある。
本調査は、千代田区関係各課及び小学校環境教育担当の皆さま、多くの区内企業のご 協力の下に実施されました。とくにお忙しい中、アンケート調査及びヒアリング調査に
ご協力いただきました学校関係者の皆さまには厚くお礼申し上げます。
(執筆担当者:法政大学社会学部教授 田中 充)
おわりに
おわりに
おわりに
平成 17 (2005 )年度千代田学の中間報告書の「おわりに」で述べているように、企業や NPO などが学校での環境教育を支援することが多くなるとしたら、学校側としての関係主体 問のつなぎ役である第三者機関が果たすべき機能に寄せる期待が想像以上に大きいことが、
平成 17 (2005 )年の 8 月に実施した千代田区の公立小学校のクラス担任の先生や環境教育 責任者の教頭先生などを対象にしたアンケート調査やヒアリングなどから明らかとなってい る。そして、このことは同時に、 DESD や推進法などが求めている「持続可能な社会の構築J 実現のためには多様な主体が係わることを要求していることと奇妙に関連してくる。
平成 17 (2005 )年の 10 月 24 日に開催した「企業が参画する環境教育に関する研究会J と、平成 18 (2006 )年 3 月 10 日に開催したシンポジウム「企業と学校が連携する環境教育
~持続可能な社会に向けて協働する地域社会~J により明らかとなった事柄や、実施したア ンケート調査やヒアリングなどの結果も踏まえると、平成 18 (2006 )年度の千代田学は、 f企 業と連携しての環境教育のカリキュラム作成と第三者機関の設立要件の調査」というテーマ に到達する。そして、第三者機関の設立とカリキュラム作成の二つは、一見するとまったく 別個のもののようではあるが、その関係性を考える時、それらは表裏一体のものであり決し て別々に存在するものではないことは直ちに理解できるところである。いわば、今日の時代 的要請に基づくところの環境教育の推進と充実のためには、第三者機関設立という環境教育 のための新たなインフラ整備が必要となるということであり、それが整備されて初めて持続 可能を実現するためにふさわしい環境教育のコンテンツ作成も可能となるということである。
このことの意味は 一つには現代的課題に関する教育システムそのものの変容を余儀なく されているということである。さらには、それが単に教育界という領域だけでの問題ではな いという別の側面も見ることとなるD すなわち、 DESD が掲げているように、持続可能な開 発という地球規模的な課題解決のためには、政策面においても横断的であることが求められ るということに起因する。従って、環境教育に限らず現代的課題に関する教育のあり方は、
必然的に領域横断的かつ相互補完的に行うことが求められるのである。平成 18 (2006 )年 4 月から実施される、我が国での ESD に関係する省庁は 10 に及ぶ。こうした事態は地域社会 においても同様である。しかし、教育行政の専門性がこのことで蔑ろにされることでは決し てない。むしろ、教育学がトランスディシプリナリーの中心に位置するものであることに変 わりはない。ということは、これまでの教育のあり方の中でその果たすべき役割が時代的要 請として新たに加わり、いささか変容を迫られているということに他ならならないだけのこ
とである。
謝辞
今回の千代田学では、多くの千代田区の教育関係者や区の関係者をはじめとして、また環 境教育に係わりのある NPO 、行政の関係者、大学関係者のご協力を頂いた。改めて感謝申し 上げたい。
(執筆担当者:山田)