第 1 項 接合部パネルの破壊性状(試験体 PCJ16)
図 2-4-1は平面ト形試験体PCJ16 に層間変形角R=+1.0%rad.の時のひび割れ状況を示す。図中の右下から PC 鋼材定着板の中心まで行く斜めひび割れを見ると、接合部パネルの破壊ラインは図中の赤線で仮定した。
図 2-4-2は試験体PCJ16に層間変形角R=+3.0%rad.の時のひび割れ状況を示す。梁と柱の圧着面から発生し た2つのひび割れの進展方向をみると、接合部パネルの破壊ラインは図中の青線で仮定した。
図 2-4-1 層間変形角R=+1.0%rad.時ひび割れ状況
図 2-4-2 層間変形角R=+3.0%rad.時ひび割れ状況
第 2 項 接合部パネル仮想断面の設定
平面ト形試験体PCJ16の層間変形角R=+4.0%rad.時の破壊状況は図 2-4-3のように示す。右下から接合部 パネル中央部に発生した斜めひび割れ(①)によって、仮想断面ABは梁の下端と柱の圧着点と定着板中央点に 結んだ線が妥当と考えられる。また、スラブ付きト形試験体PCJ17の破壊状況(図 2-4-4)を見ると、接合部パ ネル中央部に PCJ16 のひび割れ①と似ている斜めひび割れ②が生じた。以上のことより、前述の仮想断面に 関する仮定が妥当と考えられる。梁の上端と柱の圧着面からのひび割れが開くことが観られなかったが、見え た状況から仮想断面ACが推断した。平面ト形試験体PCJ16の柱梁接合部パネルが仮想断面上柱、下柱、梁の 3つフリーボディを分けて、破壊が進行した。
図 2-4-3 層間変形角R=+4.0%rad.時ひび割れ状況
②
図 2-4-4 層間変形角R=+4.0%rad.時ひび割れ状況(PCJ17)
A
B
第 3 項 接合部の抵抗モーメント
仮想断面に生じる応力は図 2-4-6のように仮定する。𝑉𝑐、𝑉𝑏は柱及び梁のせん断力である。𝑁𝑐1、𝑁𝑐2は上柱 及び下柱の軸力である。𝑇𝑏1、𝑇𝑏2は PC 鋼材の引張力である。𝑇𝑐1は梁側の柱主筋の応力である。𝑇𝑐2、𝑇𝑐3は外側 の柱主筋の応力である。𝑇𝑐4は柱圧縮側主筋の応力である。𝑇𝑚は柱中段筋の応力である。𝐶1𝑥、𝐶1𝑦は接合部中 央部コンクリートの応力の水平成分と鉛直成分である。𝐶2𝑥、𝐶2𝑦は接合部入隅部コンクリートの応力の水平成 分と鉛直成分である。
𝑀𝑐1
𝑉𝑐 𝑁𝑐1
𝑀𝑏
𝑉𝑏 𝑇𝑏1
𝑇𝑏1
𝑇𝑏2
𝑇𝑐1 𝑇𝑐1
𝑇𝑚 𝑇𝑐2
𝑇𝑐3
𝑇𝑚
𝑇𝑐4 𝑇𝑐4
𝑁𝑐2 𝑉𝑐
𝑀𝑐2
𝑇𝑐3 𝑇𝑐2
𝑇𝑚
𝑇𝑚 𝑇𝑏2
𝐶1𝑥
𝐶1𝑦 𝐶1𝑥
𝐶1𝑦
𝐶2𝑥
𝐶2𝑦
𝐶2𝑥 𝐶2𝑦
𝐷𝑐 𝑔𝑐𝐷𝑐 𝑗1𝑦
𝑗
𝐷𝑏 𝑑𝑡1
𝑑𝑡2
𝑗1𝑥
𝑗2𝑥
以上の仮定により、上柱、下柱それぞれについての水平、鉛直方向の力の釣り合い、モーメントの釣り合いから以下の 関係が成り立つ。
𝐶1𝑥 = 𝑇𝑏1− 𝑉𝑐
𝐶1𝑦= 𝑁𝑐1+ 𝑇𝑐1+ 𝑇𝑚+ 𝑇𝑐2
𝑀𝑐1= 𝑇𝑏1(12𝐷𝑏− 𝑑𝑡1) +12𝑔𝑐𝐷𝑐(𝑇𝑐1− 𝑇𝑐2) + 𝐶1𝑦(12𝑔𝑐𝐷𝑐− 𝑗1𝑦) − 𝐶1𝑥(12𝐷𝑏− 𝑑𝑡1− 𝑗1𝑥)
𝐶2𝑥= 𝑉𝑐+ 𝑇𝑏2
𝐶2𝑦= 𝑁𝑐2+ 𝑇𝑐3+ 𝑇𝑐4+ 𝑇𝑚
𝑀𝑐2=12𝑔𝑐𝐷𝑐(𝑇𝑐3− 𝑇𝑐4) − 𝑇𝑏2(12𝐷𝑏− 𝑑𝑡2) + 𝐶2𝑥(𝑗2𝑥+12𝐷𝑏− 𝑑𝑡2) + 𝐶2𝑦(12𝑔𝑐𝐷𝑐+ 𝑗2𝑦)
コンクリート圧縮ゾーンにおける圧縮力の分布形状はストレスブロックの考え方を使う。ストレスブロックの応力の 幅は圧縮ゾーンの大きさの𝑘1倍、高さは圧縮ゾーンの大きさの𝑘3倍として応力の作用位置を求める。
𝑗1𝑥 =12𝐷𝑏− 𝑑𝑡1−2𝑏𝐶1𝑥
𝑗𝑘3𝑓𝑐
𝑗1𝑦=2𝑏𝐶1𝑦
𝑗𝑘3𝑓𝑐− (12𝐷𝑐−12𝑔𝑐𝐷𝑐)
𝑗2𝑥= 𝑑𝑡2−2𝑏𝐶2𝑥
𝑗𝑘3𝑓𝑐
𝑗2𝑦=12𝐷𝑐−12𝑔𝑐𝐷𝑐−2𝑏𝐶2𝑦
𝑗𝑘3𝑓𝑐
接合部モーメントは上下の柱の外力モーメントの和であり、次式のように表される。
𝑀𝑗= 𝑀𝑐1+ 𝑀𝑐2
= 𝑇𝑏1(12𝐷𝑏− 𝑑𝑡1) +12𝑔𝑐𝐷𝑐(𝑇𝑐1− 𝑇𝑐2+ 𝑇𝑐3− 𝑇𝑐4) + 𝐶1𝑦(𝑔𝑐𝐷𝑐+12𝐷𝑐−2𝑏𝐶1𝑦
𝑗𝑘3𝑓𝑐) − 𝐶1𝑥 𝐶1𝑥 2𝑏𝑗𝑘3𝑓𝑐
−𝑇𝑏2(1
2𝐷𝑏− 𝑑𝑡2) + 𝐶2𝑥(1
2𝐷𝑏− 𝐶2𝑥
2𝑏𝑗𝑘3𝑓𝑐) + 𝐶2𝑦(1
2𝑔𝑐𝐷𝑐− 𝐶2𝑦
2𝑏𝑗𝑘3𝑓𝑐)