人 タ ク シ ー の 健 康 起 因 事 故 )
事故概要
法人タクシーが休憩のため停止中に、運転者が吐き気をもよおしドアを開け嘔吐しようとし ていたが、やがて意識がはっきりしない状態となった。
・病名は、急性硬膜下血腫。
・当該疾患により事故前日からの記憶は喪失していた。
・事故当日のドライブレコーダーの映像によると、運転者は事故発生の1時間以上前から疾 患の前兆と思われる行動をしている
・発生時刻:9:50頃、天候:晴れ
推 定 さ れ る 主 な 事 故 要 因
運行・整備管 理上の要因
【運転者に対する指導監督が不十分】
事業者は、脳・心臓疾患に係る特に対応の急を要する前兆や自覚症状等に関しての理解が 不十分であり、運転者に対して周知・指導をしていなかった。
【運転者と運行管理者のコミュニケーションが不十分】
事業者は、脳・心臓疾患に係る特に対応の急を要する前兆や自覚症状等があった場合に、
運転者が運行管理者に気兼ねなく報告できるような運転者と運行管理者の関係性の構築が 不十分であった可能性が考えられる。
【運転者の健康状態の把握が不十分】
定期健康診断において要精密検査等の所見があった場合、事業者は運転者に対し再検査 を受けるよう指示を行うものの、再検査の受診の有無の確認は病院の領収証の提出により 行っており、再検査結果は確認していなかった。このため、乗務に係る医師の意見を聴いて おらず、事業者として適切に就業上の措置の決定(乗務可否の判断)をしていなかった。
【健康管理機器の活用が不十分】
点呼場に血圧計を設置しているが活用が不十分であった可能性も考えられる。
運転者に係る 人的要因
【緊急時の連絡を怠ったこと】
事故当日のドライブレコーダーの映像によると、運転者は事故発生の1時間以上前から疾 患の前兆と思われる行動をしていることから、運転者は、身体に異常を感じていたと思われ るが、運行管理者にその旨の連絡を行わなかった。
その他の要因
特になし。【ハイタク⑨ 事故状況図】
省 略
トラックの事故
トラック①:大型トラックの死傷事故 トラック②:普通トラックの死傷事故 トラック③:普通トラックの交差点事故 トラック④:普通トラックの交差点事故 トラック⑤:大型トラックの交差点事故
別 添 3
考えられる再発防止 対策
【運転者に対する指導監督の徹底】
事業者は運転者に対し、危険予知トレーニングを用いること等により、夜間の危険性や走 行方法について指導し指導記録を保存するとともに、指導した内容の運転者の習得の程度 を把握し、習得の程度に応じた必要な指導を行う必要がある。
また、注意が一方に集中すると、他方の注意がおろそかになることを運転者に理解させ、
満遍なく注意を払うことを指導することが必要であると考える。
【安全な道路環境の整備】
街灯の設置等により、夜間における安全な視界の確保が望まれる。
また、自転車が安全に走行できるように自転車走行帯の整備も必要と考える。
【安全を意識した運転】
運転者は、自転車はいないだろうといった「だろう運転」ではなく、自転車がいるかもしれな いといった「かもしれない運転」を徹底するなど、常に安全を意識した運転を心掛ける必要が ある。