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発電所海域の海水試料については、従来、各海域に設けた 4 つの測点のうち測点 1 の表層に ついてのみ、

134

Cs と

137

Cs を区別できるガンマ線計測によって分析し、測点 1 の下層、測点 2

~4 の表層及び下層の試料については、事実上、これまで試料中に

134

Cs が含まれていなかった ことから、検出下限値のより小さいベータ線計測によって分析されてきた。ベータ線計測では

134

Cs と

137

Cs を区別できないことから、同様の方法で実施された平成 23 年度の測点 1 の表層以

外の分析結果は、事故由来の

134

Cs と

137

Cs を合わせた放射性セシウムの値になっている。その

ため、経年変化図にはそれらの和「

134

Cs+

137

Cs」として“△”で図示している(但し、平成 23

年度のベータ線計測においては、

137

Cs 測定のための計数効率を使用しているため、

134

Cs の値

がやや低めにでており、厳密な意味での

134

Cs と

137

Cs の合計値ではない)。なお、平成 24 年度

からは、すべての測点の表層及び下層においてガンマ線計測によって分析している。

3H 濃度調査」では、東電福島第一原発事故による影響が懸念される、青森、宮城、福島第 一、福島第二及び茨城海域の 5 海域で採取し、ガンマ線核種を分析した海産生物と同一筋 肉試料の一部を分取して、3H 濃度を分析した。その結果から、いずれの海域でも同事故の 影響は見られなかった。

また、後述する 2.解析調査の「1)対照海域放射能調査」において実施した原子力発電 所等、核燃料サイクル施設及び東電福島第一原発の影響が及ばない海域で採取された海産 生物試料の 137Cs 濃度との比較を行ったところ、事故前 5 年間の濃度範囲とほぼ同程度で あった海域と対照海域で採取された海産生物の放射性 Cs 濃度は同レベルであったことか ら、これらの海域における放射性 Cs 濃度は、東電福島第一原発事故前の 1950~60 年代の 大気圏内核実験の影響であると考えられる。

② 海底土試料

発電所海域の海底土試料に含まれる 137Cs 濃度の経年変化をみると、調査開始から平成 22 年度までは、採取した海域の底質の違い(砂質あるいは泥質)によってばらつきが認め られた。底質が主に砂質の場合には、検出下限値レベルの低濃度水準となり、経年変化が 把握し難い傾向にあったが、泥質あるいはシルト質の場合には経年とともに漸減傾向が認 められた。

平成 23 年度の調査では、宮城、福島第一、福島第二、茨城及び新潟海域において、事故 前の濃度水準を明らかに超える濃度上昇が認められた。特に、福島第一海域では 220Bq/kg-乾燥土であった。

平成 24 年度の調査でも、宮城、福島第一及び福島第二海域は、平成 23 年度と同様の濃 度水準であることが確認され、茨城海域では平成 23 年度の値を超える濃度であった。

平成 25 年度の調査では、北海道、福島第二及び新潟海域において平成 24 年度の濃度水 準をわずかに超えたものの、青森、宮城、福島第一、茨城及び静岡海域では平成 24 年度の 濃度水準を下回る結果となった。

平成 26 年度の調査では、福島第一海域(測点 3)で 310Bq/kg-乾燥土、平成 27 年度の調 査では、福島第一海域(測点 2)で 320Bq/kg-乾燥土となる東電福島第一原発事故以降で最 も高い値となった。

平成 28 年度の調査において、事故前 5 年間の最大値より高い 137Cs が検出された宮城、

福島第一、福島第二、茨城及び新潟海域の海底土試料の内、最大値は福島第二海域で得ら れた 93 Bq/kg-乾燥土であった。この最大値を示した福島第二海域は、2.解析調査の「2)

(1) 海洋環境における 135Cs/137Cs 及び240Pu/239Pu 原子数比モニタリング」において東電福

その他の海域(北海道、青森、静岡、石川、福井第一、福井第二、島根、愛媛、佐賀、

鹿児島)の海底土試料では、事故前の過去 5 年間の測定値の範囲内であった。また、後述 する 2.解析調査の「1)対照海域放射能調査」において実施した原子力発電所等、核燃料 サ イ ク ル 施 設 及 び 東 電 福 島 第 一 原 発 の 影 響 が 及 ば な い 海 域 で 採 取 さ れ た 海 底 土 試 料 の

137Cs 濃度との比較を行ったところ、これらの海域は対照海域と同レベルであった。このこ とから、その他の海域において検出された放射性 Cs 濃度は東電福島第一原発事故前の 1950

~60 年代の大気圏内核 実験による影響であると考えられる。ただし、137Cs 濃度 は ND~

4.4Bq/kg-乾燥土の範囲で海域による変動が見られた。その要因として海底土の粒径、有機 物等の違い、すなわち海底土の性状の違いによることがこれまでの調査の結果からわかっ ている(Tsukada et al., 20081))。その詳細は 2.解析調査の「2)(3)海洋放射能調査海 域周辺における放射性 Cs の形態別分布に関わる詳細調査」に示している。

③ 海水試料

ⅰ.表層水

発電所海域の海水試料に含まれる 90Sr 及び 137Cs 濃度の経年変化を表層水についてみる と、90Sr 濃度は調査開始から平成 22 年度まで全国の海域において漸減傾向を示した。137Cs 濃度も昭和 60 年度までは漸減傾向を示したが、昭和 61 年度にはチェルノブイリ原子力発 電所事故に起因するとみられる濃度上昇が認められた海域があったものの、昭和 62 年度 には概ね昭和 60 年度の濃度水準と同程度まで低下し、平成 22 年度まで漸減傾向が認めら れた。

平成 23 年度の調査では、いずれの核種濃度も平成 22 年度までの漸減傾向が一変し、90Sr 濃度は福島第一及び福島第二海域で、137Cs 濃度は北海道、青森、宮城、福島第一、福島第 二、茨城、静岡及び新潟海域で大幅な上昇が認められた。

平成 24 年度は、平成 23 年度に 90Sr 濃度の大幅な上昇が認められた福島第一及び福島第 二海域では事故前の濃度水準に低下したものの、茨城海域では事故後最も濃度が高くなっ た(最大値:13mBq/L)。一方、137Cs 濃度は平成 23 年度に大幅な上昇が確認されたいずれ の海域でも減少が確認され、とりわけ、北海道、静岡及び新潟海域では、事故前の濃度水 準と同程度になった。

平成 25 年度は、福島第二海域の一部の測点で 90Sr 濃度が平成 24 年度と比較して約 3 倍 の濃度上昇が認められたが、茨城海域では、平成 24 年度の概ね半分の濃度水準にまで低下 した。一方、137Cs 濃度は青森、福島第一及び福島第二海域で平成 24 年度と同水準、宮城 及び茨城海域で平成 24 年度からの濃度減少が認められた。また、静岡、新潟、石川、福井 第一、福井第二及び愛媛海域ではわずかな濃度上昇が認められたが、事故前の濃度水準を 超えるものではなかった。

平成 26、27 年度では、90Sr 濃度は全海域でほぼ事故前の濃度水準にまで減少した。一方 で、137Cs 濃度は濃度レベルが他の海域と比べ高い福島第一、福島第二海域で濃度の減少が

認められたが、その他の海域では濃度レベルは横ばいか若干の上昇が認められた。

平成 28 年度の調査において、事故前の過去 5 年間の最大値より高い 137Cs が検出された 海水試料(表層水)が、宮城、福島第一、福島第二、茨城、新潟、石川、福井第一及び福 井第二海域から得られた。これらの海域における最大値は、福島第二海域で得られた 5.0 mBq/L であった。その他の海域の海水試料では、事故前の過去 5 年間の測定値の範囲内で あった。

ただし、西日本及び日本海の表層海水(北海道、静岡、新潟、石川、福井第一、福井 第二、島根、愛媛、佐賀及び鹿児島の 10 海域)を中心に、東電福島第一原発事故以降、

海水中 137Cs 濃度が事故前(平成 22 年度調査結果)に比較して高いこと(以下「137Cs 変 化」という。)が確認されている。この原因は 2.解析調査の「2)(3)海洋放射能調査海 域周辺における放射性 Cs の形態別分布に関わる詳細調査」において詳述しているが、ゲ ルマニウム半導体検出器による長時間測定により 134 Cs が検出され、その濃度は平成 24 年度以降上昇しており、その濃度上昇傾向は 137Cs と一致した。また、134 Cs 濃度上昇分

(平成 23 年 3 月 11 日に補正)に対する事故前からの 137Cs 濃度上昇分の比は東電福島第 一原発事故直後によって放出された 134Cs 及び 137Cs 放射能比(約1)と一致する。このこ とから西日本及び日本海の表層海水での 137Cs 濃度上昇分は、東電福島第一原発事故によ って付加されたことを示していると考えられる。また、発電所海域の 90Sr について、2.

解析調査の「1)対照海域放射能調査」において比較検討を行ったところ、すべての海域 において対照海域と同じ濃度範囲であったことから、東電福島第一原発事故の影響は検出 されなかったと考えられる。

なお、後述する 2.解析調査 の「2)(2) 海水及び海産生物の 129I 濃度」では、東電福 島第一原発事故による影響が懸念される、青森、宮城、福島第一、福島第二及び茨城海域 の 5 海域で海水試料を採取し 129I 濃度の分析を行っており、その結果、いずれの海域でも 同事故の影響は見られなかった。

ⅱ.下層水

海水試料に含まれる 90Sr 及び 137Cs 濃度の経年変化を下層水についてみると、90Sr 濃度 は調査開始から平成 22 年度まで全国の発電所海域において漸減傾向を示したが、平成 23 年度には東電福島第一原発事故の影響と見られる若干の濃度上昇が福島第一及び茨城海域 で認められた。

平成 24 年度には福島第一海域の濃度水準は事故前に戻ったものの、茨城海域の測点で は平成 23 年度と比較して 3 倍程度の濃度上昇が認められた。しかしながら、平成 25 年度

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