第 4 章 ニューラルネットワークを用いた衝突2噴流群の壁面温度分布制御
4.3.1 平均流動構造
Fig. 4- 2の(a)と(b)は,励起を行っていない場合の平均速度ベクトルマップと平均壁面温 度分布を示している(60秒間の平均).励起振幅は,左から右のスリットに順番に(A1, A2, A3, A4)と表示しており,これらを励起パターンと呼ぶことにする.Fig. 4- 2の(b)は(1.32, 1.32, 1.32, 1.32)の条件であり,すべてのスリットでA=1.32で励起している.Fig. 4- 2の(c)は それぞれの条件によって生じる定常状態の壁面温度分布である.励起なしの場合には,平 均流は壁面に近づくにつれて外側へ流れ,一方,励起を行った場合には直線的に壁面に衝 突する流れを生じている.二つの噴流に挟まれた領域では,はっきりとした混合促進が行 われており,この領域を「再循環領域」と呼ぶことにする.この再循環領域では,すべて のスリットで励起が行われた場合には,励起による渦運動が強くなり,高い熱伝達率とな っている.
これらの渦は,励起と同期した位相平均による速度場においても,観察される.これら の渦運動は,加熱壁面の界面更新を促進し,高い熱伝達率の要因となっている.榊原らは 単独の衝突噴流において,詳細な3次元渦構造を計測し,よどみ点付近の熱伝達機構を解 明している.榊原らによれば,リブ構造と呼ばれる構造をもつ渦が壁近傍に存在し,それ らが熱伝達に寄与している[4-1]と報告している.衝突 2 噴流では,壁面熱伝達率分布は再 循環領域に大きく依存するため,そこに相当するx/B=-2から2の範囲の壁面温度分布を,
制御を行う対象とすることにした.励起なしの場合,2噴流間の再循環領域は,完全な定 常状態をとることがなく,そのため,特に噴流せん断層が衝突するx/B=2および-2におい ては,壁面温度が10秒から20秒の周期で不規則に振動する.Fig. 4- 2(c)において,非励 起時におけるエラーバーは,壁面温度変動の標準偏差を示している.励起を行っている場 合はこの温度変動の幅は小さい.Fig. 4- 3は,非励起の状態から励起を開始したときの位 相平均を取ったx/B = -2における壁面温度の時間変化を表している.その値は徐々に小さ くなり,30秒で準定常状態へ到達する.
Fig. 4- 4は2通りの励起パターン((A1, A2, A3, A4) = (1.32, 0, 0, 0) and (2.4, 0, 0, 0))に対する 時間平均速度ベクトル図と壁面温度分布である.平均時間は20秒である.スリット1か らの励起振幅が増加するにつれて,左側の噴流の壁面衝突点は,左から右に移動している.
Fig. 4- 4の(a)および(b)を見ると,-2<x/B<2 および 3<y/B<4の領域の壁面に沿った部分の 流量が増加している.2噴流によって生じる壁噴流が混合する位置が右側に移動し,その ため,壁面温度の最大値の位置も右側に移動している.スリット1による励起の場合には,
壁面温度分布に対して,壁噴流がもっとも支配的な要因となっている.
Fig. 4- 5は2通りの励起パターン(A1, A2, A3, A4) = (0, 1.32, 0, 0) および (0, 2.4, 0, 0) に対 する時間平均速度ベクトル図と壁面温度分布である.Fig. 4- 5の(a)および(b)に示すように,
4.3 衝突2次元2噴流群の流れの特徴 流混合を誘起している.スリット2からの励起振幅が増加するにつれて,循環的な流れが 誘起され,Fig. 4- 5の(c)に示すように,壁面温度が減少する.スリット2の励起では,誘 起される再循環領域の流量が,壁噴流よりも,壁面温度の決定要因となっていると言える.
時間平均壁面温度分布がそれぞれの励起パターンに対して一意的に定まるので,励起パ ターンを入力とし,壁面温度分布を出力とするひとつの関数として速度場を捉えることが できる.
4.3 衝突2次元2噴流群の流れの特徴
Fig. 4- 2 Typical flow patterns and wall temperature distributions with/without excitation.
(a) Mean flow structure ( 0, 0, 0, 0 ).
-2 0 -2 x/B
0 4
2 y/B
-2 0 -2 x/B
0 4
2 y/B
(b) Mean flow structure (1.32, 1.32, 1.32, 1.32).
-2 0 -2 x/B
0 4
2 y/B
-2 0 -2 x/B
0 4
2 y/B
-2 0 -2 x/B
0 4
2 y/B
(c) Wall temperature distribution.
x/B
0 10 20 30 40
-6 -4 -2 0 2 4 6
(0, 0, 0, 0)
(1.32, 1.32, 1.32, 1.32)
∆ T
w[K ]
x/B
0 10 20 30 40
-6 -4 -2 0 2 4 6
(0, 0, 0, 0)
(1.32, 1.32, 1.32, 1.32)
∆ T
w[K ]
0 10 20 30 40
-6 -4 -2 0 2 4 6
(0, 0, 0, 0)
(1.32, 1.32, 1.32, 1.32)
∆ T
w[K ]
4.3 衝突2次元2噴流群の流れの特徴
Fig. 4- 3 Step response of the wall temperature upon starting excitation.
20 40
∆ T (K )
0 30
20
0
time(s) 10
30sec
average of 10sec
on-line-learning
20 40
∆ T (K )
0 30
20
0
time(s) 10
30sec
average of 10sec
on-line-learning
4.3 衝突2次元2噴流群の流れの特徴
Fig. 4- 4 Flow structure and wall temperature profile by A excitation.
(0, 0, 0, 0) (1.32, 0, 0, 0) (2.4, 0, 0, 0)
∆
T(K)x/B0
-2 -1 1 2
0 10 20 30
(c) Wall temperature fil
(b) Mean flow structure (2.4, 0, 0, 0).
0 2
-2 x/B
0 4
2 y/B
0 2
-2 x/B
0 4
2 y/B
0 2
-2 x/B
0 4
2 y/B
0 2
-2 x/B
0 4
2 y/B
(a) Mean flow structure (1.32, 0, 0, 0).
4.3 衝突2次元2噴流群の流れの特徴
Fig. 4- 5 Flow structure and wall temperature profile by A2 excitation.
(c) Wall temperature fil
∆
T(K)x/B
(0, 0, 0, ,0) (0, 1.32, 0, 0) (0, 2.4, 0, 0)
0
-2 -1 1 2
0 10 20 30
(b) Mean flow structure (0, 2.4, 0, 0).
0 2
-2 x/B
0 4
2 y/B
0 2
-2 x/B
0 4
2
y/B
(a) Mean flow structure (0, 1.32, 0, 0).0 2
-2 x/B
0 4
2 y/B
0 2
-2 x/B
0 4
2
y/B
4.3 衝突2次元2噴流群の流れの特徴