7.3 区間推定 (P.113)
7.3.2 平均の区間推定 ( 正規母集団,母分
P.115)
母分散σ2 が未知と仮定する。
=⇒σ2 を推定する必要あり。
=⇒t 分布の利用
大きさnの無作為標本X1,X2,· · ·,Xn
すべての i= 1,2,· · ·, nについて,Xi ∼N(µ, σ2),しか も,互いに独立と仮定する。
このとき,
Z=X−µ σ/√
n ∼N(0,1) となる。
σ2 をその推定量S2 で置き換えると,
T= X−µ S/√
n ∼t(n−1) となる。(定理6.5,P.97)
t 分布表(P.253)から,nとαを与えたもとで,
P(
|T|< tα/2(n−1))
= 1−α となるtα/2(n−1) の値を見つける。
例:
n= 11,α= 0.05のとき,
P(|T|<2.228) = 0.95により,tα/2(10) = 2.228
P(
|T|< tα/2(n−1))
= 1−α P(X−µ
S/√ n
< tα/2(n−1))
= 1−α
P(
X−tα/2(n−1) S
√n < µ < X+tα/2(n−1) S
√n
)= 1−α 母平均µが区間
(X−tα/2(n−1) S
√n,X+tα/2(n−1) S
√n)に含まれる確 率は1−αである。
区間
(X−tα/2(n−1) S
√n,X+tα/2(n−1) S
√n)
=⇒ 信頼係数(信頼度) 1−α の母平均µ の信頼区間 (母 分散未知の場合)
X−tα/2(n−1) S
√n =⇒信頼区間の下限
X+tα/2(n−1) S
√n =⇒信頼区間の上限
実際には,推定量X,S2をその推定値x,s2で置き換える。
ただし,x= 1 n
∑n i=1
xi, s2= 1
n−1
∑n i=1
(xi−x)2 とする。
区間(x−tα/2(n−1) s
√n, x+tα/2(n−1) s
√n)を信頼係数 1−αのµの信頼区間といい,
x−tα/2(n−1) s
√n を信頼下限,
x+tα/2(n−1) s
√n を信頼上限と呼ぶ。
例題7.2 (P.116): 正規母集団N(µ, σ2)から大きさ9の 標本をとって標本平均と標本標準偏差を計算した。x= 3.2, s= 2.1であった。信頼係数 0.95の µの信頼区間は?
解答: n= 9, α= 0.05のとき,
P( X−µ
S/√ n
< tα/2(n−1) )
= 1−α となるのは,tα/2(n−1) = 2.306 である。
信頼係数1−αのµの信頼区間は,
(x−tα/2(n−1) s
√n, x+tα/2(n−1) s
√n) となるので,
(3.2−2.3062.1
√9, 3.2 + 2.3062.1
√9) を得る。
信頼係数0.95の µの信頼区間は(1.586, 4.814)である。
問題7.2 (P.122): 正規母集団N(µ, σ2)から大きさ12の 標本をとって標本平均と標本標準偏差を計算した。x= 10.5, s= 3.6であった。信頼係数0.90, 0.95のµの信頼区間は?
解答: n= 12のとき,
P( X−µ
S/√ n
< tα/2(n−1) )
= 1−α
となるのは,α= 0.10 で tα/2(n−1) = 1.796,α= 0.05 で tα/2(n−1) = 2.201,である。
信頼係数1−αのµの信頼区間は,
(x−tα/2(n−1) s
√n, x+tα/2(n−1) s
√n) となるので,
信頼係数0.90のµの信頼区間は(10.5−1.796 3.6
√12, 10.5 + 1.796 3.6
√12)
すなわち,(8.634, 12.366)を得る。
信頼係数0.95のµの信頼区間は(10.5−2.201 3.6
√12, 10.5 + 2.201 3.6
√12)
すなわち,(8.213, 12.787)を得る。
問題7.4 (P.123): 2009年の外国為替相場の対前期比が 正規分布に従うと仮定して,その平均の信頼係数0.9, 0.95 の信頼区間は?
解答: n= 12で,データからx,s2 を計算。
x= 1 n
∑n i=1
xi
= 1
12(−1.0 + 2.3 + 5.8 + 1.2−2.7 + 0.2
−2.1 + 0.4−3.5−1.3−1.2 + 0.4)
=−0.125
s2= 1 n−1
∑n i=1
(xi−x)2
= 1
n−1 (∑n
i=1
x2i −nx2 )
= 1 11
(
((−1.0)2+ 2.32+ 5.82+ 1.22+ (−2.7)2+ 0.22 + (−2.1)2+ 0.42+ (−3.5)2+ (−1.3)2+ (−1.2)2+ 0.42)
−12×(−0.125)2 )
= 2.39132 s= 2.3913 n= 12のとき,
α= 0.10で tα/2(n−1) = 1.7959,
α= 0.05で tα/2(n−1) = 2.2010,
である。
信頼係数1−αのµの信頼区間は,
(x−tα/2(n−1) s
√n, x+tα/2(n−1) s
√n) となるので,
信頼係数0.90の µの信頼区間は
(−0.125−1.79592.3913
√12 ,−0.125 + 1.79592.3913
√12 ) すなわち,(−1.365, 1.115)を得る。
信頼係数0.95の µの信頼区間は (−0.125−2.20102.3913
√12 ,−0.125 + 2.20102.3913
√12 ) すなわち,(−1.644, 1.394)を得る。
母平均 µ の区間推定 (非正規母集団,大標本のとき): n が大きいとき,正規近似=⇒中心極限定理(定理6.1, P.90) (中心極限定理の復習)
大きさnの無作為標本 X1,X2,· · ·, Xn
すべてのiについて,E(Xi) =µ,V(Xi) =σ2 とする。
標本平均X= 1 n
∑n i=1
Xi を考える。
nが大きいとき(n≥100),
X−µ σ/√
n −→ N(0,1) を得る。これは,
X−E(X)
√ V(X)
−→ N(0,1)
とも書き直すことが出来る。
(Xi の分布の形状を必要としないというところがポイント) (注意)
X の平均,分散は,
E(X) =µ, V(X) = σ2 n となる。=⇒定理4.9 (P.62)
• 母分散 σ2 が既知のとき:
nが大きいとき(n≥100), X−µ
σ/√
n −→ N(0,1) なので,Z= X−µ
σ/√
n とすると,近似的に,
P(|Z|< zα/2) = 1−α
となり,
P(|X−µ σ/√
n|< zα/2) = 1−α を得る。
したがって,
P(X−zα/2 σ
√n < µ < X+zα/2 σ
√n) = 1−α
X を xで置き換えて,信頼係数1−αのµの信頼区 間は,
P(x−zα/2 σ
√n < µ < x+zα/2 σ
√n) = 1−α が近似的に用いられる。
• 母分散 σ2 が未知のとき:
さらに,nが大きいとき(n≥100),母分散σ2 をそ の不偏推定量S2 で置き換えて,
X−µ S/√
n −→ N(0,1) を得ることができる(証明略)。
よって,Z= X−µ S/√
n とすると,近似的に,
P(|Z|< zα/2) = 1−α となり,
P(|X−µ S/√
n|< zα/2) = 1−α を得る。
したがって,
P(X−zα/2 S
√n < µ < X+zα/2 S
√n) = 1−α
X,S2 をx,s2で置き換えて,信頼係数1−αのµの 信頼区間は,
(x−zα/2 s
√n, x+zα/2 s
√n) となる。
問題7.3 (P.122): 勤労者世帯の年間収入の全国平均を 調べるため,4271世帯の年間収入を調査したところ,平均 が712万円,標準偏差が357.4万円であった。年間収入の 全国平均の信頼係数 0.9, 0.95の信頼区間は?
解答: 問題の再解釈 =⇒
正規母集団 N(µ, σ2)から大きさ 4271 の標本をとって標 本平均と標本標準偏差を計算した。x= 712,s= 357.4 で あった。信頼係数0.90, 0.95 のµの信頼区間は?
n= 4271のとき,t分布の正規近似によって,
P( X−µ
S/√ n
< zα/2 )
= 1−α
となるのは,α = 0.10 で zα/2 = 1.645,α = 0.05 で zα/2= 1.960,である。
nが大きいとき,信頼係数1−αのµの信頼区間は,
(x−zα/2 s
√n, x+zα/2 s
√n) となるので,
信頼係数0.90の µの信頼区間は (712−1.645 357.4
√4271, 712 + 1.645 357.4
√4271) すなわち,(601.5, 822.5)を得る。
信頼係数0.95の µの信頼区間は (712−1.960 357.4
√4271, 712 + 1.960 357.4
√4271) すなわち,(580.4, 843.6)を得る。