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干渉

ドキュメント内 振動と波動 (ページ 61-65)

2次元平面上で同位相の2つの波源S1S2から球面波の連続波を発生させた場合を考え ましょう.S1S2が山の瞬間,重ね合わせの原理に従い,どのような様子になるかを描 いたのが図“干渉”です.(波動の減衰は無視しています.)例えば,図の点Pの場合,S1

m=0 m=1 m=-1

m=2 m=-2

mʼ =-2

mʼ =-1 mʼ =0

mʼ =1 S₁ S₂

Q P

山の線谷の線 強め合う点 弱め合う点 強め合う線 弱め合う線

Figure 6.3:干渉

らの波動は山,S2からの波動も山であり,重ね合わせの原理より,大きな山ができて強め あいます.このとき,波源からの距離の差の絶対値(経路差)を計算すると次のようにな ります.

|S1PS2P|=|2λ−λ|=λ

一般に,経路差が波長の整数倍のとき強め合います.すなわち,強め合う点Pが満たす条 件は,

|S1PS2P|=mλ(m=0,1,2,· · ·) すなわち,

r1r2=mλ(m=0,±1,±2,· · ·) (6.2) です.ただし,S1Pr1,S2Pr2とおきました.一方,図の点Qの場合,S1からの波動 は山,S2からの波動は谷であり,重ね合わせの原理より弱め合い,ほとんど振動しません.

このとき,波源からの距離の差の絶対値(経路差)を計算すると次のようになります.

|S1QS2Q|=|λ−3 2λ|= 1

一般に,経路差が波長の整数倍から半波長ずれたとき弱め合います.すなわち,弱め合う 点Qが満たす条件は,

|S1QS2Q|=mλ+λ

2(m=0,1,2,· · ·) すなわち,

r1r2=mλ+λ

2(m=0,±1,±2,· · ·) (6.3) です.ただし,S1Qr1,S2Qr2とおきました.このように,2つの波動が強め合ったり,

弱め合ったりする現象を干渉といいます.なお,線分S1S2上は,振幅・波長・周期の等し い2つの正弦波が衝突するので,定常波ができています.図の青い実線は強め合う線です が,この線上には外向きの進行波ができていて,元の球面波よりも速く進むことが図より 理解されます.

図ではS1S2が山の瞬間の場合を描きましたが,半周期後はS1,S2ともに谷になっ ていて,(6.2)式と(6.3)式の条件式はそのまま成立しています.一般に,S1S2が同位相 の場合,その位相をθ(t)[rad]とおき,(6.2)式と(6.3)式の条件式が確かに成立することを 確認しましょう.点RにおけるS1からの波動の位相をθR1(t)[rad],点RにおけるS2から の波動の位相をθR2(t)[rad]とします.距離1波長につき,位相は2π[rad]遅れるので,次 式が成立します.

θR1(t)−2πS1R λ θR2(t)−2πS2R

λ

Rが強め合う点 Pの場合,θP1(t)[rad]とθP2(t)[rad]の位相が揃っているので,位相差は

[rad]の整数倍です.故に,

P1(t)−θP2(t)|=2πm (m=0,1,2,· · ·)

∴|{θ(t)−2πS1P

λ } − {θ(t)−2πS2P

λ }|=2πm

∴2π

λ | −S1P+S2P|=2πm

∴|S1PS2P|=mλ(m=0,1,2,· · ·)

r1r2=mλ(m=0,±1,±2,· · ·)

となり,前述した条件式(6.2)式が導出されました.一方,R が弱め合う点 Q の場合,

θQ1(t)[rad]と θQ2(t)[rad]の位相が反対なので,位相差は2π[rad]の整数倍からπ[rad]

れています.故に,

Q1(t)−θQ2(t)|=2πm(m=0,1,2,· · ·)

∴|{θ(t)−2πS1Q

λ } − {θ(t)−2πS2Q

λ }|=2πm

∴2π

λ | −S1Q+S2Q|=2πm

∴|S1QS2Q|=mλ+λ

2(m=0,1,2,· · ·)

r1r2=mλ+λ

2(m=0,±1,±2,· · ·) となります.やはり,前述と同じ条件式(6.3)式が導かれました.

それでは,同位相の2つの波源からの振幅・波長・周期の等しい3次元球面波の干渉 を,正弦波の波動一般量ψ(t,r)の表式を使って扱ってみましょう.3次元球面波の波動方 程式の解は,“波動方程式”のChapterの最後の議論により,

ψ(t,r)= 1 rf1(tr

v)+1 rf2(t+r

v)

です.r[m]は波源からの距離です.ここでは,外向きの減衰する正弦波を考えて,右辺第 1項の解のみを取り上げることにします.平面上のある点Rに対して,S1からの波動の一 般量ψ1(t,r1)と,S2からの波動の一般量ψ2(t,r2)は次のように表されます.

ψ1(t,r1)= A r1

sin (ωtkr1) ψ2(t,r2)= A

r2

sin (ωtkr2)

ただし,Aは定数です.点Rにおける2つの球面波が重ね合わされた波動一般量ψ(t,r1,r2) は,重ね合わせの原理より次のように計算されます.

ψ(t,r1,r2)=ψ(t,r1)+ψ(t,r2)

= A r1

sin (ωtkr1)+ A r2

sin (ωtkr2)

= A r1

(sinωt cos kr1−cosωt sin kr1)+ A r2

(sinωt cos kr2−cosωt sin kr2)

=(A

r1cos kr1+ A

r2cos kr2) sinωt−(A

r1sin kr1+ A

r2 sin kr2) cosωt ここで,次のようにおきます.

A r1

cos kr1+ A r2

cos kr2=A(r1,r2) sinδ A

r1 sin kr1+ A

r2sin kr2=A(r1,r2) cosδ

このとき,

ψ(t,r1,r2)=A(r1,r2)(sinδsinωt−cosδcosωt)

=−A(r1,r2) cos(ωt+δ) であり,A(r1,r2)[m]は次のように計算されます.

A2(r1,r2) sin2δ+A2(r1,r2) cos2δ=(A r1

cos kr1+ A r2

cos kr2)2+(A r1

sin kr1+ A r2

sin kr2)2

A2(r1,r2)=(A r1

)2(sin2kr1+cos2kr1)+(A r2

)2(sin2kr2+cos2kr2)+2 A2 r1r2

(cos kr1cos kr2+sin kr1sin kr2)

A2(r1,r2)=(A r1

)2+(A r2

)2+2 A2 r1r2

cos k(r1r2) 故に,

A(r1,r2)={(A r1

)2+(A r2

)2+2 A2 r1r2

cos k(r1r2)}12 (6.4) となります.また,δ[rad]は次のように表されます.

A(r1,r2) sinδ A(r1,r2) cosδ =

A

r1cos kr1+ A r2cos kr2

A r1

sin kr1+ A r2

sin kr2

∴tanδ= A r1

cos kr1+ A r2

cos kr2

A

r1sin kr1+ A r2sin kr2

(6.4)式からわかるように,強め合う条件式(6.2)式は次のように導出されます.

cos k(r1r2)=1

∴2π

λ (r1r2)=2πm (m=0,±1,±2,· · ·)

r1r2=mλ(m=0,±1,±2,· · ·) 一方,弱め合う条件式(6.3)式は,次のように導出されます.

cos k(r1r2)=−1

∴2π

λ(r1r2)=2πm(m=0,±1,±2,· · ·)

r1r2=mλ+λ

2(m=0,±1,±2,· · ·) 以上の条件は,前述したものと一致することが確認されます.

ドキュメント内 振動と波動 (ページ 61-65)

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