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局所的な当量比変化を考慮した反応機構

5章では,反応を一段不可逆反応と仮定し,反応速度を式(5.1)のように燃料濃 度及び酸素濃度に比例し,温度に関して指数的にモデル化していた.このモデ ノレは広く用いられるが,この場合,燃料と酸素の積が大きければ反応速度が きくなる形である.選択拡散が生じていないとき,反応による濃度変化が燃料 と酸素で一定の割合で生じるため,未燃側から既燃側まで反応速度にこの式が 適用できる. しかし,選択拡散による濃度不均ーが極端になった場合,上述の 理由から,このモデルは燃料/酸素濃度比に対して反応速度が正しく与えられ なくなると考えられる.

本章では,局所的な当量比変化を考慮、できる反応速度の式を提案し,予混合 燃焼について直接数値シミュレーションを行った.

6.1  計算方法及び初期条件

数値解析には,フーリエ・スペクトノレ選点法を用いた.エイリアシング誤差 を除くために, 3/2員1j[111]を適用した.また,時間積分は4次精度ノレンゲ・ク ッ タ・ギノレ法により行った.

2次元計算領域は一辺の長さが 2m mの正方形で,各方向の分割格子数は 96と した.境界は,周期境界条件とした.時間刻み幅は,クーラン数が lを超えな いように定めた.

初期速度は非圧縮性の連続の式を満たし,かっ,乱れのエネノレギースペクト ノレ分布E(k)が式(4.1)となるように与えた.平均流速が零になるように乱数を用い,

一様で等方的な乱れ場を与えた.丸山は3mm‑1とし

u'は10m/sとした.

混合気の初期圧力は O.lMPaとし,初期温度分布には 300Kの領域の中心に円 形の断熱燃焼温度の高温部を与えた.燃料及び酸素の質量分率分布は,周辺低 温部で高く,高温円形部で低くなるように与えた.Figure 6.1 に当量比例~ 1.0の 場合の温度,燃料及び酸素の質量分率分布の初期値を示す.図には計算領域の y=l.Ommでのx方向の各値の変化も示している.

6.2  燃焼反応

燃焼反応は一段不可逆反応とし,局所的当量比変化を考慮するため反応速度 の式を式(6.1)のようにした.

4C,  C弓 / 、 (

E "  

ω=ρB  0‑C3‑C4‑C5)exp│一 一 一 (6.1) 4C+C4C+C2 J J ノ ¥ RT

ここで

Cjから

C

5はそれぞれ,燃料,酸素,窒素, 二酸化炭素,水の質量分 率である.

52 

。。

0.00 

0. 0. . . 2.

。。

0. 1. 1. 2.

m m   X 11

Fuel mass fraction 

2. 0.

y=l.Omm 

0.

00..

0.

0. 0.

0. 0. . . 2. 0. 0. 1. 1. 2.

X 1m X 1π1

Oxygen mass fraction 

Fig. 6.1 lnitial condition oftemperature and mass fraction 砂=( 1.0)

反応速度の式(6.1)は,燃料がメタンの場合の式で,当量比が1.0の場合に反応 速度が最大となるように考慮、されている.

6.3  物性値

想定した混合気はメタン/空気の予混合気で,当量比併を1.0及び1.2とした.

考慮、した混合気成分は,燃料, 酸素,窒素,二酸化炭素及び水の 5成分とした. 混合気成分中の各成分の拡散係数

D

jは各格子点において,Stefan‑Maxwellの式 を使用して,混合気の組成と温度から計算した.計算領域の未燃域において混 合気成分中の燃料の拡散係数 DJは酸素の拡散係数D2と同程度,約 1.5倍及び約

1/2倍と変化させた.

また,混合気の熱伝導率λ及び、粘性係数μは,各格子点において各成分の熱伝 導率及び粘性係数から Wilkeの式によ り求めた.また,各成分のエンタルピー及 び定圧比熱は文献[115]のJANAFテーブルの近似式を適用 し,各格子点の温度か

ら計算した.

反応の頻度因子Bは, Clavinの文献を参考にして求めた.活性化エネルギーE には, Tiggelenらの測定値を用いた.

Table 6.1, Table 6.2に計算に使用した混合気の物性値を示す.

Table 6.1 Properties of mixture used by calculation 

( o =  

1. 0) 

1ixture CH4+202+7.52N Equivalence ratio:ゆ

=

1.0 

Laminar burning velocity  SLO = 0.387 [m1s]  Propeties  Specific heat ratio : K= 1.387 

Activation energy : E = 167.5 [kJ/mol]  Frequency factor: B 6.0x10[l/s] 

Table 6.2 Properties of mixture used by calculation 

( o =  

1.2) 

Mixture  CH41.6702+6.2怜~2 Equivalence ratio:ゆ

=

1.

Laminar buming velocity : SLQ = 0.322 [m1s]  Propeties  Specific heat ratio  K= 1.385 

Activation energy : E = 167.5 [kJ/mol]  Frequency factor : B = 6.0x10[l/s] 

6.4  計算結果

先ず,局所的な当量比変化を考慮するために用いる反応速度の式(6.1)の有用性

54 

C

4

u)O.5 

........ 

(f) 

.

, 

. .  

, , 

, 

, , , 

, , 

, , 

, 

, , 

, 

, 

, , 

, 

, 

グーューミ

, 

ー . ̲

Simulated 

Measured 

Equivalence ratio 

1.5 

Fig. 6.2 Variation of laminar burning velocity with equivalence ratio 

を調べるため,層流場において予混合燃焼の数値計算を行った.Figure 6.2に,

数値計算で得られた層流燃焼速度の比及び実験[95]で得られた層流燃焼速度の 比を示す.

層流燃焼速度の計算値は,初期の当量比似¥0.7

, 

1.0及び 1.2の混合気に対し

2.

1.

国1.0

0.5 

0.

0. 0.5  1. 1. 2. xm m  

l ' i ; j 田 園 圃 圃

200  400  600  800  Reaction Rate [kg/m3s] 

Fig.6.3 Distribution oftemperature and reaction rate (o=1.2

, 

D)' .D

てそれぞれ 1.021mJ

s ,

1. 677mJ

s

及び 1.345mJ

s

であり,層流燃焼速度の実測値は それぞれ 0.184mJ

s ,

0.387mJ

s

及び 0.322mJ

s

である.層流燃焼速度の数値計算「

と実測値ではかな り異なっているが, Fig. 6.2に示す当量比1.0の場合の層流燃 焼速度を基準とした層流燃焼速度の比を比較すると,当量比を変化させたこ と

による層流燃焼速度の変化の傾向が,数値計算値,実測値と も同様の傾向を不 していることが分かる.よって,反応速度の式(6.1)により,局所的な当量比変化 が起こった場合に,局所的な燃焼速度の変化を定性的には検討で、きると考える.

そこで,反応速度の式(6.1)を使用して,乱流場において予混合燃焼の数値計算 を行った.初期の当量比が1.2で燃料の拡散係数DJが酸素の拡散係数D2とほぼ 同程度の場合の ,80μs経過後の温度分布と反応速度分布を Fig.6.3に,温度分布 と乱れ場の関係を 20μs毎にFig.6.4に示す.Fire6.3から,温度の等高線の高 温部は,反応速度の大きい領域とほぼ重なっていることが分かる.このことか ら,温度の高温の等高線にそって反応速度の大きい領域,つまり火炎面が存在 すると考えてよい.温度分布と乱れ場の関係の図から,温度分布が初期の乱れ によって変形させられていることが分かるが,低温部では高温部に比べ,乱れ によりかなり未燃領域に引き伸ばされていることも分かる.火炎の細く引き伸 ばされた領域では,温度低下により局所的に消炎している.このことは,DJが D2の約 1.5D1 D2の約 1/2 倍の場合及び当量比似~ 1.0の場合にも生じた.

当量比似~ 1.0及び1.2でD1..D2

, 

D11.5XD2及び DJ..D/2の場合の燃料と 酸素の質量分率分布を Fig.6.5及びFig.6.6に示す.どの条件の場合も質量分率 分布形状は乱れによって変形させられている • DjD2の場合では燃料と酸素の 質量分率分布形状がほぼ等しいのに対し

Dj 1.5XD2の場合では燃料の方が酸

素より濃度勾配が緩やかになっている • Dj. .D/2の場合では

Dj 1.5XD2 場合とは逆に,酸素の方が燃料より濃度勾配が緩やかになっている.

未燃域における混合気成分の拡散速度を調べた. 当量比例~ 1.2で40μs経過後 の未燃側に凸の領域での D1D2'Dj1.5XD2及び D1 .D/2の場合の温度分布

と燃料と酸素の拡散流束分布の関係をFig.6.7(a), (b)及び(c)に示す.ただし,

拡散流束は,分子量を考慮、し無次元化している.この図から,乱れにより変形 させられた火炎面の曲率に起因して,火炎の未燃側に凸の領域では,拡散の速 い成分が拡散の遅い成分より速く集中するので濃くなることが分かる.このこ

とにより,拡散の遅い成分は未燃側に凸の領域以外で濃くなる.これにより,

燃料と酸素の拡散速度が異なる場合,局所的な当量比の変化が起こっていると 考え,燃料と酸素の質量分率から局所の当量比分布を計算した.当量比例~ 1.0  及び1.2の場合の 80μs経過後の局所の当量比分布をFig.6.8及びFig.6.9に示す.

ただし,燃料の質量分率が未燃部分の 50%となるまでの領域を未燃側とし,それ

よりも既燃側は白色で示している • Dj..D2の場合では,当量比はほとんど変化

L9 

(Z'I

= O )  

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