7. 結果(3)
7.1 遠隔無再発生存率の単変量解析
遠隔無再発生存率に影響を与える因子を、全体、Stage II、Stage IIIのそれぞれにおい て、Coxハザードモデルを用いて検討した。まず、全体において単変量解析にて検討する と、表6に示す結果が得られた。統計学的に有意な臨床病理学的因子は、リンパ管侵襲陽 性(HR: 1.68、95%CI: 1.03-2.69、P = 0.036)、 静脈侵襲陽性(HR: 3.77、95%CI: 1.97-8.15、 P < 0.0001)、リンパ節転移陽性(HR: 2.65、95%CI: 1.62-4.48、P < 0.0001)、核Notch1蛋白 発現陽性(HR: 1.71、95%CI: 1.07-2.76、P = 0.026)核Notch3蛋白発現陽性(HR: 1.92、 95%CI: 1.20-3.09、P = 0.007)の5つの因子であった。
次にStage II症例、Stage III症例それぞれにおいて同様に単変量解析で検討したとこ
ろ、表7に示す結果を得た。Stage IIでは統計学的に有意な臨床病理学的因子は、 静脈 侵襲陽性(HR: 5.13、95%CI: 1.75-21.9、P = 0.002)、細胞質Notch3蛋白発現陽性(HR:
5.32、95%CI: 1.11-95.4、P = 0.034)、核Notch1蛋白発現陽性(HR: 2.66、95%CI: 1.12-6.39、P = 0.027)、核Notch3蛋白発現陽性(HR: 3.60、95%CI: 1.54-9.01、P = 0.003)の4つ の因子であった。一方Stage IIIでは統計学的に有意な臨床病理学的因子は、静脈侵襲陽 性(HR: 2.26、95%CI: 1.04-5.92、P = 0.039)のみであった。
0.002)と統計学的に有意な因子であったが、Stage III症例ではHR: 1.38 (95%CI:
0.70-2.71、P = 0.353)であり、統計学的に有意な因子ではなかった。
表6 遠隔無再発生存率の単変量解析 (全体)
臨床病理学的因子 HR 95% CI P値 性別
男性 1 ‐ ‐
女性 0.93 0.57 - 1.49 0.753
年齢 (歳)
< 60 1 ‐ ‐
≥ 60 0.86 0.51 - 1.51 0.862
腫瘍占拠部位
右側結腸 1 ‐ ‐
左側結腸 0.90 0.51 - 1.59 0.722
直腸 1.03 0.57 - 1.84 0.916
腫瘍深達度
T1-2 1 ‐ ‐
T3-4 0.69 0.32 - 1.78 0.405
組織学的分化度
高分化/中分化 1 ‐ ‐
低分化 0.98 0.38 - 2.09 0.968
リンパ管侵襲
陰性 1 ‐ ‐
陽性 1.68 1.03 - 2.69 0.036
静脈侵襲
陰性 1 ‐ ‐
陽性 3.77 1.97 - 8.15 <.0001
リンパ節転移
陰性 1 ‐ ‐
陽性 2.65 1.62 - 4.48 <.0001
術後補助化学療法
無し 1 ‐ ‐
有り 0.95 0.51 - 1.66 0.867
細胞質Notch1蛋白
細胞質Notch3蛋白
陰性 1 ‐ ‐
陽性 1.26 0.72 - 2.36 0.431
核Notch3蛋白
陰性 1 ‐ ‐
陽性 1.92 1.20 - 3.09 0.007
表7 遠隔無再発生存率の単変量解析 (Stage別) 臨床病理学的因子 Stage II Stage III
性別 HR 95%CI P値 HR 95%CI P値
男性 1 ‐ ‐ 1 ‐ ‐
女性 0.95 0.39- 2.21 0.910 0.96 0.52- 1.70 0.887 年齢 (歳)
< 60 1 ‐ ‐ 1 ‐ ‐
≥ 60 0.60 0.25 - 1.57 0.282 1.07 0.57- 2.21 0.833 腫瘍占拠部位
右側結腸 1 ‐ ‐ 1 ‐ ‐ 左側結腸 1.52 0.57 - 4.48 0.408 0.72 0.35 - 1.42 0.340
直腸 1.24 0.39 - 3.98 0.705 0.94 0.47 - 1.85 0.863 腫瘍深達度
T1-2 1 ‐ ‐
T3-4 1.09 0.50 - 2.85 0.850
組織学的分化度
高分化/中分化 1 ‐ ‐ 1 ‐ ‐ 低分化 0.44 0.02 - 2.10 0.362 1.4 0.48 - 3.22 0.495 リンパ管侵襲
陰性 1 ‐ ‐ 1 ‐ ‐
陽性 0.42 0.07 - 1.45 0.191 1.76 1.00 - 3.16 0.051 静脈侵襲
陰性 1 ‐ ‐ 1 ‐ ‐
陽性 5.13 1.75 - 21.9 0.002 2.26 1.04 - 5.92 0.039 術後補助化学療法
無し 1 ‐ ‐
有り 0.65 0.34 - 1.18 0.162
細胞質Notch1蛋白
陰性 1 ‐ ‐ 1 ‐ ‐
陽性 0.68 0.29 - 1.67 0.389 1.13 0.64 - 2.00 0.662 核Notch1蛋白
核Notch3蛋白
陰性 1 ‐ ‐ 1 ‐ ‐
陽性 3.60 1.54 - 9.01 0.003 1.27 0.72 - 2.24 0.411
7.2 遠隔無再発生存率の多変量解析
まず全体において単変量解析にてP値 < 0.05を得たリンパ管侵襲の有無、静脈侵襲の 有無、リンパ節転移の有無、核Notch1蛋白発現の有無、核Notch3蛋白発現の有無の5 つの臨床病理学的因子を、Coxハザードモデルを用いて多変量解析したところ、表8に示 す結果を得た。最終的に静脈侵襲陽性(HR: 2.85、95%CI: 1.47-6.25、P = 0.001)、リンパ節 転移陽性(HR: 2.09、95%CI: 1.24-3.63、P = 0.005)の2つの臨床病理学的因子が統計学的 に有意に遠隔無再発生存率に影響を与える因子であるという結果であった。
次にStage II症例において同様に、単変量解析にてP値 < 0.05を得た静脈侵襲の有
無、核Notch1蛋白発現の有無、細胞質Notch3蛋白発現の有無、核Notch3蛋白発現の
有無の4つの因子臨床病理学的因子を、Coxハザードモデルを用いて多変量解析したとこ ろ、表9に示す結果を得た。Stage II症例においては、静脈侵襲陽性(HR: 3.90、95%CI:
1.30-16.8、P = 0.013)、核Notch3蛋白発現陽性(HR: 2.78、95%CI: 1.01-8.13、P = 0.049)の 2つの臨床病理学的因子が統計学的に有意に遠隔無再発生存率に影響を与える因子で あるという結果であった。
また、リンパ管侵襲の有無、静脈侵襲の有無、リンパ節転移の有無、核Notch3Notch1共 発現の4つの臨床病理学的因子を、Coxハザードモデルを用いて多変量解析すると、核
つの臨床病理学的因子を多変量解析すると、核Notch3(+)/Notch1(+)は核 Notch3(-)/Notch1(-)と比較して、HR: 4.99 (CI: 1.72-16.3、P = 0.003)であった。
表8 遠隔無再発生存率の多変量解析 (全体)
臨床病理学的因子 HR 95% CI P値 リンパ管侵襲
陰性 1 ‐ ‐
陽性 1.25 0.75 - 2.04 0.387
静脈侵襲
陰性 1 ‐ ‐
陽性 2.85 1.47 - 6.25 0.001
リンパ節転移
陰性 1 ‐ ‐
陽性 2.09 1.24 – 3.63 0.005
核Notch1蛋白
陰性 1 ‐ ‐
陽性 1.29 0.77 – 2.15 0.330
核Notch3蛋白
陰性 1 ‐ ‐
陽性 1.57 0.94 – 2.62 0.083
表9 遠隔無再発生存率の多変量解析 (Stage別) 臨床病理学的因子 Stage II Stage III 静脈侵襲
陰性 1 ‐ ‐ 1 ‐ ‐
陽性 3.90 1.30 – 16.8 0.013 2.26 1.04 - 5.92 0.039 核Notch1蛋白
陰性 1 ‐ ‐ ‐ ‐ ‐
陽性 1.60 0.61 - 4.32 0.339 ‐ ‐ ‐
細胞質Notch3蛋白
陰性 1 ‐ ‐ ‐ ‐ ‐
陽性 ‐ ‐ ‐