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強磁性体磁化過程による妥当性検証

ドキュメント内 博士学位論文 (ページ 58-61)

第 4 章 強磁性体 / 狭ギャップ半導体二次元電子系のスピン依存伝導 51

4.2 強磁性体磁化過程による妥当性検証

Fig. 4.3に非局所抵抗変化∆RNL の見積もる過程で用いたバックグラウンド除去の概略図

を示す. up sweepの非局所抵抗RNL(u) とdown sweepの非局所抵抗RNL(d)の差分RNL(S) をプロットし, その最大値と最小値の差の半分を∆RNL とした. 単純な手法であるが, RNL(u)

RNL(d)のバックグラウンドの再現性が高い場合,非常に有効である. その実行例をFig. 4.4

に示す. (a)はL= 0.7 µmのNLSV測定結果である. (b)は(a)からRNL(S)を計算し, 再プ ロットしたものである. バックグラウンドが除去され, ∆RNLの見積もりが容易になる.

4.2 強磁性体磁化過程による妥当性検証

ここでは, 4.1で得られたRNL のヒステリシスの起源を探る目的で, FM電極磁化過程を含

む磁気抵抗測定を行った結果について述べる. FMのAMRは, FMに流した電流とFM磁化 との相対角に依存する磁気抵抗であるから [132], AMRはFMの磁化過程の情報を含む.

AMR は非直感的な現象であり, その起源を理解するには煩雑な計算を必要とし, 文献 [132, 133] 等に詳細な記述がある. このAMRは, その値が最小あるいは最大を示すとき, その 磁場がFMの磁化反転磁場Bcに対応することがわかっている.

1.6で述べたように, AMRは局所SV測定の場合は, 測定結果を煩雑にする一方, NLSV 測 定の場合には, 原理的にスピン注入効果のみの検出が可能であるため, AMRとの比較からSV の振る舞いを議論できる. これまで, SOCの弱い半導体におけるNLSV信号とAMRとの対 応が議論されている [109, 113, 134]. Fig. 4.5に, AMRを含む磁気抵抗測定に用いた三端子 (three terminal:3T)測定配置, Fig. 4.6 に測定結果を示す. ここではR3T = V3T/I で算出 している. 添字は1µm幅 (narrower:N), 3µm幅 (wider:W) のように対応させてある. ま ず, R3T(N) をみると, up sweepでは, 外部磁場が正になるにつれ,ほぼ線形で増加し, +50 mT 付近で最大となり, その後は減少する. down sweepでは, up sweepとほぼ逆の挙動を示し た. 次にR3T(W) をみると, up sweep では, 外部磁場が正になるにつれ, ほぼ線形で増加し, +15 mT付近で最小となり, その後は増加する. down sweepでは, up sweepとほぼ逆の挙動 を示した. この挙動は3d遷移金属特有のAMR信号と酷似している [109, 135]. また, FM矩 形微細パターンでは, そのアスペクト比が高くなるほど, FMの形状磁気異方性により保磁力 が高くなることが理論・実験の両面から示されている [136]. Fig. 4.6において, FM電極対の 面内アスペクト比はそれぞれ, R3T(N) では50, R3T(W)では17である. したがって, 1 µm幅 のFM電極の磁化反転磁場の方が, 3 µm幅のそれよりも高い結果は妥当と考えられる. この

ことは, LSV素子の設計段階で想定した, FMの形状磁気異方性による磁化反転磁場の制御に

成功していると考えられる.

4.1のNLSV測定結果と対比しやすくするため, Fig. 4.7にFig. 4.2とFig. 4.6を並べた ものを示す. 1 µm幅FM電極の磁化反転磁場をBc(N), 3 µm幅FM電極のそれをBc(W) と 書くと, Fig. 4.6に関する考察から, |Bc(N)| ' 40–50 mT, |Bc(W)| ' 15 mTと判断できる. すなわち外部磁場B|Bc(W)|< B <|Bc(N)|の領域で, FM磁化の反平行状態が実現される と考えられる. Fig. 4.7には, その領域に網掛けを施してある. Fig. 4.7(b)をみると, その網 掛け領域内においてRNL ディップが観測されていることがわかる. さらに正確を期すために RNL およびR3T につて, 4.1で述べた手法でバックグラウンド処理したものをFig. 4.8に示

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す. ここでRNL(S)=RNL(up)−RNL(down), R3T(S) =R3T(up)−R3T(down) である. これを見 てもやはり, |Bc(W)| < B <|Bc(N)|の領域で, FM磁化が反平行な状態でRNL に変化が現れ ている. 以上の結果より, Fig. 4.2のRNL ディップは, NLSV信号であると考えられる. 換言 すれば, FMからIn0.75Ga0.25As-2DEGへの電気的スピン注入/検出に成功したと考えられる.

Fig. 4.5 AMRを含む磁気抵抗測定に用いた3T測定配置. (a) 1 µm幅のFM 電極の測定配置. (b) 3µm幅のFM電極の測定配置.

Fig. 4.6 AMRを含む磁気抵抗測定結果. R3T(N), R3T(W) れぞれの実線がup sweep, 点線がdown sweep.

4.2 強磁性体磁化過程による妥当性検証 55

Fig. 4.7 FM電極のAMRNLSVの比較. (a) AMR測定結果. (b) NLSV測定結果.

Fig. 4.8 RNL(S)およびR3T(S)の磁場依存性.

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