IV.2.1. 対象
2013年4月から2015年10月に都内循環器専門病院を受診し超音波診断装置 を用いた連続の式による大動脈弁口面積が 1.5cm2 以下であった大動脈弁狭窄 症 14例を対象とした(男性8例,女性6例,年齢74±11歳).
大動脈弁口面積が 1.0cm2以下 11 例,左室駆出率が 50%以下4 例,大動脈弁 狭窄症の成因は動脈硬化12例,先天性(大動脈二尖弁)2例を含んでいた.
IV.2.2. 方法
心臓負荷の方法はドブタミン負荷心エコー図法とした.ドブタミン負荷心エ コー図法は 5%ブドウ糖溶液注射液 200mL にドブタミン注射液 100 mg1 管 (100mg/5mL)を混合し調整後,点滴静脈注射により 5μg/(kg・min)(γ)から投 与を開始し3分ごとに10,20,30,40γと点滴量を変化させる事により行った
(図 1).mL/h における点滴量は体重に応じて換算,算出した(表 1).40γ に 到達する以前に年齢に応じて算出した目標心拍数(表 2)に達した場合は終了 とし,胸痛や血圧低下の出現は中止基準とした.
対象を負荷前の一回拍出量から換算した単位時間血流量(flow rate:FR)の 中央値で,低 FR 群と高 FR 群の二群に分けた.負荷前後の心拍数,FR,一回 拍出量,一回拍出量係数,大動脈弁最大圧較差,大動脈弁平均圧較差,大動脈 弁口面積,弁抵抗値を比較検討した.
検討に関わる各項目は超音波診断装置より得られる計測値を以下の式により 算出した.各種計測値の算出法はⅡ章,Ⅲ章を参照.
単位時間血流量: FR(mL/sec)= 一回拍出量 / 駆出時間 目標心拍数 = (220 - 年齢) × 0.85
54 SV
ET RES 1.33meanPG
RES(dyn・sec・cm-5):弁抵抗値, MeanPG: 平均圧較差, SV: 一回拍出量, ET: 駆出時間.
なお,駆出時間は一回拍出量算出に用いるパルスドプラ波形が一心拍間に持続 する時間で左室から血流を駆出している時間である.パルスドプラ波形から時 間軸に沿って持続時間を計測した.
55 表 1 ドブタミン負荷薬剤調整表
BW : body wait : 体重 ,5%ブドウ糖溶液注射液200mLにドブタミン注射液100 mg1管(100mg/5mL)を混合時mL/hで換算
図 1 使用ポンプ TERUMO社製 テルフュージョン 輸液ポンプ TE-161S
BW 5γ 10γ 20γ 30γ 40γ
30kg 18 36 72 108 144
35kg 21 42 84 126 168
40kg 24 48 96 144 192
45kg 27 54 108 162 216
50kg 30 60 120 180 240
55kg 33 66 132 198 264
60kg 36 72 144 216 288
65kg 39 78 156 234 312
70kg 42 84 168 252 336
75kg 45 90 180 270 360
80kg 48 96 192 288 384
85kg 51 102 204 306 408
90kg 54 108 216 324 432
95kg 57 114 228 342 456
100kg 60 120 240 360 480
56
表 2 ドブタミン負荷心エコー図法 目標心拍数換算表
Age : 年齢,HR : Heart Rate : 心拍数
age HR age HR age HR age HR age HR
10 179 30 162 50 145 70 128 90 111
11 178 31 161 51 144 71 127 91 110
12 177 32 160 52 143 72 126 92 109
13 176 33 159 53 142 73 125 93 108
14 175 34 158 54 141 74 124 94 107
15 174 35 157 55 140 75 123 95 106
16 173 36 156 56 139 76 122 96 105
17 173 37 156 57 139 77 122 97 105
18 172 38 155 58 138 78 121 98 104
19 171 39 154 59 137 79 120 99 103
20 170 40 153 60 136 80 119 100 102
21 169 41 152 61 135 81 118
22 168 42 151 62 134 82 117
23 167 43 150 63 133 83 116
24 167 44 150 64 133 84 116
25 166 45 149 65 132 85 115
26 165 46 148 66 131 86 114
27 164 47 147 67 130 87 113
28 163 48 146 68 129 88 112
29 162 49 145 69 128 89 111
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IV.2.3. 統計学的解析および倫理
統計学的検討は連続変数であればt検定を用いて行い,危険率5%未満を統計 学的に有意とした.
本検討の倫理的妥当性に関しては、検討対象とした集団を収集した機関におけ る倫理委員会での承認が得られている.また,著者には申告すべき利益相反は ない.
58