第 1 章 詳細計画策定調査の概要
1.6 対処方針
調査開始前に検討された本調査の対処方針は、概ね以下のとおりである。尚、前述のと おり調査は 2 度に分けて実施していることから、以下では第二次調査での対処方針を述べ る。
1.6.1 要請されたプロジェクト概要
「イ」国側から要請されたプロジェクト概要は以下のとおりであった。
案件名 保護区における生態系保全のための包括的な荒廃地回復能力向上支援プロジ ェクト
相手国機関名 林業省森林・自然保護総局
対象地域 ジャカルタ、及び国立公園とその周辺地域(具体的サイトは未定)
上位目標 生物多様性・生態系の保全と自然資源の持続的利用が促進される。
プ ロ ジ ェ ク ト 目標
保護区内及び周辺地域における荒廃地の回復を通じて、生態系保全に係る関 係機関の能力が強化される。
成果 国立公園を中心とする保護区内及び周辺地域における対象地域において、
荒廃地を回復し、管理するための体制が構築される。
荒廃地を回復し、管理するための計画が策定される。
荒廃地の回復と管理がモデルサイトにおいて実施される。
活動 保護区管理政策、GERHAN等の荒廃地の植生回復/社会林業政策、関連法規、
行政能力実施体制をレビューする。
既存のJICAプロジェクト実施体制を含め、荒廃地を回復し、管理を行うた
めのステークホルダーインベントリー調査を実施し、ステークホルダーフォ ーラムを設立する。
外部リソース(他ドナー基金、民間企業、NGO)を含めた支援体制の枠組 みを検討する。
モデルサイト選定のために必要となる、生態系保全のために重要な、国立公 園を中心とする保護区内及び周辺地域における荒廃地をリスト化し、その優 先順位付けを行う。
GERHAN、造林基金、民間基金等の資金の活用・導入計画を策定する。
既存のアセット(KOFCO、マングローブ、MKK 等)による荒廃地回復と 管理に関する技術活用の取りまとめ。
上述の計画と各国立公園の管理計画の整合性を図ったマスタープランを策 定する。
中央政府、地方政府、NGO、地域住民、民間企業等のステークホルダーを 対象とした既存アセットを活用するための TOT 技術研修(KOFCO、マング ローブ、MKK等)を実施する。
モデルサイトにおいて、荒廃地回復・管理に係るモデル活動を OJT 方式で 実施する。
活動をレビューし、荒廃地の植生回復と管理モデル構築のためのガイドラ インを作成する。
投入 【日本側投入】
専門家:長期2名(チーフアドバイザー/保護区管理、荒廃地回復技術現場 指導/業務調整)、短期4分野(苗木製作指導、生態系コリドー、参加型保全、
生物多様性ネットワーク)
機材(未定)
研修:2名×4年
【相手国側投入】
C/Pの配置、活動予算充当、試行フィールドの提供 プロジェクトオフィスの提供
外部条件 外部リソース(他ドナー基金、民間企業、NGO)を含めた支援体制の枠組み が構築され、事業実施に係る荒廃地の回復のための植林活動等の事業経費が 確保される。
1.6.2 調査方針及び留意点
上記の要請内容及び第一次調査結果を踏まえ、第二次調査を実施するに当たって事前に 検討された調査方針と留意点は以下のとおり。
(1) 本プロジェクトの設計にあたっては、協力内容を具体化するための基本情報が不 足していたことから、詳細計画策定調査を 2 回に分けて実施している。第一次調査に おいてセクターの全体状況等背景情報の整理、プロジェクト戦略及び設計コンセプト の確認、植生回復事業を実施する具体的なモデルサイト候補地として 7 箇所の国立公 園の現場踏査を実施した。この結果を踏まえ第二次調査では、具体的な協力内容の策 定、実施体制の確認、モデルサイトの選定が必要である。
(2) 先方との協議に際しては予め調査団にて検討した協力内容案を提案する。この協 力内容が妥当性を持つためには、実際に活用できる具体的な既存技術、資金、人員を 想定し、これらを運用する制度面の整備状況を把握する必要がある。林業省本省森林 自然保護総局(PHKA)及び現在有望なモデルサイト候補地において、具体的な活動内 容と、それに応じて必要となる技術、資金、人員を改めて検討し、提案協力内容の妥 当性を確認する必要がある。
(3) 実施機関である PHKA は、国立公園の荒廃地回復の重要性については認識してい るものの、本プロジェクトを推進するためにはより強いコミットメントが必要である。
従って、各モデルサイトで想定される活動内容とその効果を示しつつ、先方のコミッ トメントを引き出すことが重要となる。
(4) 実施体制は PHKA を中心とし、活動内容に応じて林業省他部局、国立公園管理事 務所、地方政府等から構成し、各組織の役割分担を明確にする。
(5) また、民間企業やNGO等との連携を推進する。インドネシアの国立公園の管理方 針として協働型公園管理(collaborative management)が注目される中、本プロジェクト の枠組みにおいても、従来の林業省-JICA による直営方式のみならず、より幅広いパ ートナーとの連携によるプロジェクト実施体制を模索する必要がある。その意味で、
CI との連携によるグヌン・グデ・パンゴランゴ国立公園及びグヌン・ハリムン・サラ ク国立公園での環境保全モデル村事業(MKK)を活用したリハビリテーション活動、
あるいはブロモ国立公園における住友林業のCSR植林活動との連携可能性について具 体的に検討する。
(6) モデルサイト選定にあたっては、本プロジェクトの基本戦略に従い、効率的かつ 効果的なプロジェクト実施を可能とするサイト選定を行う必要がある。第一次調査結 果を踏まえ、特に有望と思われる①グヌン・ハリムン・サラク、②グヌン・グデ・パ ンゴランゴ、③ブロモ、及び④スンビランの各国立公園を軸に実施の妥当性を検証し、
プロジェクト戦略に対する位置づけと効果(インパクト)を確認する。
(7) 英文プロジェクト名に関し、本プロジェクトの主目的である「荒廃地の回復」と いうメッセージをより明確に示すために、下記により代替案を提案し先方との合意形 成を図る。
【原案】”Project on Comprehensive Approach for Conservation and Restoration of Ecosystems in Protected Areas”
【代替案】“Capacity Development Project for Restoration of Ecosystems in Protected Areas through Comprehensive Approach”
1.6.3 調査内容及び対処方針案
上記の全般的な調査方針を踏まえ、更に協力内容の具体化に際し検討すべき主な調査 項目を整理し、各項目に対する対処方針案を次表のとおりまとめた。
調査項目 事前情報/要請内容 確認事項/対処方針案 プロジェクト
実施の背景/
対象開発課題 と現状
本プロジェクトの背景は上記に記 載のとおり。
第一次詳細計画策定調査の結果(第 4章にて後述)、「イ」国の国立公園 管理に係る政策動向(モデル21国 立公園事業、国立公園の独立法人 化、国連生物多様性条約への対応)
及び荒廃地の植生回復に係る政策 と関連法令を確認し、保護区の荒廃 地回復が「イ」国の政策ニーズと合 致することを確認した。
その上で、本プロジェクトの現状と 課題を①制度面、②技術面、及び③ 資金面から整理できる。(付属資料 ミニッツのイメージ図を参照。)
記載の現状及び課題分析に認識違 いはないか、他に留意すべき課題 はないか確認する。
プロジェクト 戦略
第一次調査にて保護区内及びその 周辺の荒廃地回復が喫緊の課題で あることを確認した。
実効ある回復事業を展開するた めには実施機関(林業省森林・自然 保護総局)の保有する技術、資金、
人員を含め既存資源(JICA 支援を 含む)を有効活用することで対処す ることが可能。
ただし、その為には上記の現状と課 題で分析したように、制度面、技術 面、資金面の各課題に対して一体的 に対処する「包括的アプローチ」を とりながら、PHKAを中核とする関 係機関のマネジメント能力強化を 図る必要がある。
従って、新たな技術開発を指向する のではなく、「イ」国の既存資源を 最大限活用することを基本戦略と し、モデルサイトでの実践を反映 し、荒廃地回復事業推進のための情 報・条件整備を行う。
左記のプロジェクト戦略が開発課 題に対して適切なアプローチであ るか確認する。
基本計画 基本方針:プロジェクトの実施によ 左記の基本方針につき「イ」国
り、PHKAが保護区の荒廃地回復事 業を推進するために必要となる制 度、技術、資金の各課題を総合的に 捉え、それに対処するマネジメント 能力向上に貢献するようなキャパ シティ・デベロップメントを目指す プロジェクト設計とする。
プロジェクト名:(和文)保護区に おける生態系保全のための包括的 な荒廃地回復能力向上支援プロジ ェ ク ト ( 英 文 ) Project on Comprehensive Approach for Conservation and Restoration of Ecosystems in Protected Areas
・協力期間:4年間
・ターゲットグループ:林業省森 林・自然保護総局(PHKA)、選定 される国立公園管理事務所及び同 国立公園地域住民
・上位目標、プロジェクト目標、成 果、活動:上記「要請されたプロジ ェクト概要」のとおり
・前提条件及び外部条件
・PDM及びPO案
側と合意した上で、この基本方針 に基づいてプロジェクトの内容や 実施体制を、協議及び現地視察を 踏まえ、決定する。
和 文 は 原 案 ど お り と す る も の の、英文に関しては3.(7)に記載 の理由により代替案を提案し、先 方と合意形成を図る。
要請の4年間を基本としつつも、
現場での植生回復事業の効果発現 にはある程度の時間を要すること から、現場視察等も踏まえ、必要 に応じ5年間の実施も検討する。
左記ターゲットグループの規模 を確認する。
調査団より修正したプロジェク ト概要を提案し、現地調査及び
「イ」国側との協議を踏まえ、最 終的な上位目標、プロジェクト目 標、成果、活動を決定する。
現地調査により、本プロジェク トに固有の前提条件あるいは外部 条件の有無を検証し、その結果を PDM案に反映する。
調査団により作成した PDM 案 及びPO案を「イ」国側に説明し、
協議及び現地視察を踏まえ加筆・
修正を行い、PDM0及びPO0とし て「イ」国側と合意する。