提出された資料から、本品目の
OAB
における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁に対する有効性は 示され、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と考える。本品目はOAB
患者におけ る治療の選択肢を提供するものであり、臨床的意義があると考える。専門協議での検討を踏まえて特に問題がないと判断できる場合には、本品目を承認して差し支えない と考える。
以上
68
ベオーバ錠50mg_杏林製薬株式会社_審査報告書 審査報告(2)
平成
30
年7
月31
日申請品目
[販 売 名] ベオーバ錠
50 mg
[一 般 名] ビベグロン
[申 請 者] 杏林製薬株式会社
[申請年月日] 平成
29
年9
月29
日[略語等一覧]
別記のとおり。
1.
審査内容専門協議及びその後の機構における審査の概略は、以下のとおりである。なお、本専門協議の専門委 員は、本品目についての専門委員からの申し出等に基づき、「医薬品医療機器総合機構における専門協 議等の実施に関する達」(平成
20
年12
月25
日付け20
達第8
号)の規定により、指名した。専門協議では、審査報告(1)に記載した、本薬の有効性、安全性、効能・効果及び臨床的位置付けに 関する機構の判断は専門委員から支持された。
1.1 下部尿路閉塞疾患合併例における抗コリン薬との併用について
専門委員より、前立腺肥大症を合併している
OAB
患者で本薬と抗コリン薬を併用した場合、尿閉の リスクが増加する可能性があるため注意喚起を行う必要があるのではないかとの意見が示され、機構は、以下のように説明した。前立腺肥大症を合併している
OAB
患者で本薬と抗コリン薬とを併用した場合 の尿閉のリスクがどの程度となるかは、各臨床試験で収集された関連情報が限られているため、現時点 では不明である。一方で、OAB患者への本薬の投与に関しては、過活動膀胱診療ガイドラインにおいて 前立腺肥大症等を合併しているOAB
患者に対する初期治療としてα
1アドレナリン受容体遮断薬の単独 投与が推奨されていること等を踏まえ、添付文書において、「下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合 併している患者では、それに対する治療を優先する」旨記載して注意喚起がなされる。したがって、前 立腺肥大症を合併しているOAB
患者に対する本薬の投与の是非は慎重に判断がなされ、本薬と抗コリ ン薬の併用投与の是非は更に慎重に判断がなされるものと考えるが、当該患者への本薬の投与や本薬と 抗コリン薬の併用投与の是非は尿閉のリスクも考慮して判断されるべきであること、及びそれでもなお 当該患者に本薬と抗コリン薬を併用する場合には特に尿閉の発現に注意が必要であることについては、資材等により適切に医療現場に注意喚起するよう申請者に求める。
以上の機構の方針は専門委員から支持され、審査報告(1)の「7.R.5 抗コリン薬との併用について」
の項に記載した本薬と抗コリン薬の併用時の有効性及び安全性に関する機構の判断は、いずれも専門委 員から支持された。
機構は、以上の内容について、資材等により適切に医療現場に注意喚起するよう求め、申請者は適切 に対応した。
69
ベオーバ錠50mg_杏林製薬株式会社_審査報告書
1.2 用法・用量について
専門委員より、T301 試験の主要な成績をみれば、本薬の用量を
50 mg
とすることは妥当ではあろう が、一般に日本人より体格が大きいと考えられる外国人で日本人と比較して本薬のC
maxやAUC
が低い 傾向にある(審査報告(1)6.2.2参照)ことを踏まえ、体重又は体格によって50 mg
では投与量不足と なる可能性を考慮した増量規定を設けられるのではないかとの意見が示された。これに対し機構は、本 薬の曝露量は性別、年齢、腎機能及び肝機能等の影響も受ける(審査報告(1)6.2.2及び6.2.4
参照)こ とから体重や体格のみに基づき曝露量の多寡は決まらないこと、及びT301
試験において本薬の曝露量 のデータは収集されておらず、曝露量と臨床的な効果の関係を考察できる情報が限られていることから、本申請において提出された臨床試験成績から曝露量の観点で増量効果が得られる集団を特定することは 困難であり、体重又は体格による増量も含め、増量規定を設けることはできないと判断した旨説明した。
以上の説明内容も含め、審査報告(1)に記載した本薬の用法・用量に関する機構の判断は専門委員から 支持された。
1.3 医薬品リスク管理計画(案)について
機構は、審査報告(1)の「7.R.8 製造販売後の検討事項について」の項における検討及び専門協議に おける専門委員からの意見を踏まえ、現時点における本剤の医薬品リスク管理計画(案)について、表
58
に示す安全性検討事項等を設定すること、表59
に示す追加の医薬品安全性監視活動及びリスク最小 化活動を実施すること、並びに表60
に示す一般使用成績調査を実施することが適切と判断した。表
58 医薬品リスク管理計画(案)における安全性検討事項及び有効性に関する検討事項
安全性検討事項
重要な特定されたリスク 重要な潜在的リスク 重要な不足情報
・尿閉 ・なし ・なし
有効性に関する検討事項
・なし
表
59 医薬品リスク管理計画(案)における追加の医薬品安全性監視活動
及びリスク最小化活動の概要
追加の医薬品安全性監視活動 追加のリスク最小化活動
・市販直後調査
・一般使用成績調査
・市販直後調査による情報提供
・医療従事者向け資材の作成と提供
表
60 一般使用成績調査計画の骨子(案)
目 的 使用実態下における安全性等の確認 調査方法 中央登録方式
対象患者 OAB患者
観察期間 12週間(12週時点で投与継続中であった症例は最大52週間まで観察する)
予定症例数 1200例
主な調査項目 ・尿閉関連の有害事象の発現状況
・患者背景(尿閉のリスク因子と考えられる合併症、併用薬等を含む)等
71
ベオーバ錠50mg_杏林製薬株式会社_審査報告書
[用法・用量]
通常、成人にはビベグロンとして
50 mg
を1
日1
回食後に経口投与する。[承 認 条 件]
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
以上
i
ベオーバ錠50mg_杏林製薬株式会社_審査報告書 別 記
[略語等一覧]
略語 英語 日本語
ALP Alkaline phosphatase
アルカリホスファターゼALT Alanine aminotransferase
アラニンアミノトランスフェラーゼAST Aspartate aminotransferase
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼATP Adenosine triphosphate
アデノシン三リン酸AUC Area under the concentration-time curve of the analyte in plasma
血漿中濃度-時間曲線下面積
AUC
0-t - 投与0
時間後から投与t
時間後までのAUC
AUC
0-inf - 投与0
時間後から無限大時間までのAUC
BA Bioavailability
生物学的利用率BE Bioequivalence
生物学的同等性BCRP Breast cancer resistance protein
乳癌耐性タンパクBUN Blood urea nitrogen
血中尿素窒素cAMP Cyclic adenosine monophosphate
環状アデノシン一リン酸CI Confidence interval
信頼区間CL
pPlasma clearance
血漿クリアランスcLDA Constrained longitudinal data analysis
制約付き経時測定データ解析
C
maxMaximum concentration of analyte in plasma
最高血漿中濃度
CPP Critical process parameter
重要工程パラメータCQA Critical quality attribute
重要品質特性CYP Cytochrome P450
チトクロームP450
DEREK Deductive Estimation of Risk from Existing Knowledge
DMSO Dimethyl sulfoxide
ジメチルスルホキシドEC
50Half maximal effective
concentration 50%作用濃度
EE Ethinylestradiol
エチニルエストラジオールE
max - 最大反応ER Extended release
徐放性のFAS Full Analysis Set
最大の解析対象集団GC Gas chromatography
ガスクロマトグラフィーhERG Human ether a-go-go related gene
ヒトether-a-go-go
関連遺伝子hKCN Human potassium voltage-gated
channel
ヒト電位依存性カリウムチャネルhNav Human voltage-dependent sodium
channel
ヒト電位依存性ナトリウムチャネルHPLC High performance liquid chromatography
高速液体クロマトグラフィー
HPLC-RAD High performance liquid chromatography-radioactivity detection
高速液体クロマトグラフィー・放射能検出法
IC
50Half maximal inhibitory concentration
50%阻害濃度 ICH M7
ガイドライン
- 「潜在的発がんリスクを低減するための医薬 品中
DNA
反応性(変異原性)不純物の評価ii
ベオーバ錠50mg_杏林製薬株式会社_審査報告書 及び管理ガイドラインについて」(平成
27
年11
月10
日付け薬生審査発1110
第3
号)ICH Q1E
ガイド ライン- 「安定性データの評価に関するガイドライ
ン」(平成
15
年6
月3
日付け医薬審発第0603004
号)ICP-MS Inductively Coupled Plasma- Mass spectrometry
誘導結合プラズマ質量分析
IR Infrared absorption spectrum
赤外吸収スペクトルi.v. Intravenous
経静脈投与LC-MS/MS Liquid chromatography and tandem mass spectrometry
液体クロマトグラフィー-タンデム型質量分 析法
LDA Longitudinal data analysis
経時測定データ解析LNG Levonorgestrel
レボノルゲストレルLSC Liquid scintillation counting
液体シンチレーション計数法MATE Multidrug and toxin extrusion
-MED minimal erythema dose
最小紅斑量MS Mass spectrum
質量スペクトルNADPH
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸の還元型
NMR Nuclear magnetic resonance
spectrum
核磁気共鳴スペクトル
OAB Overactive bladder
過活動膀胱OAT Organic anion transporter
有機アニオントランスポーターOATP Organic anion transporting polypeptide
有機アニオン輸送ポリペプチド
OCT Organic cation transporter
有機カチオントランスポーターPE Polyethylene
ポリエチレンPET Polyethylene terephthalate
ポリエチレンテレフタラートP-gp P-glycoprotein P-糖タンパク
PTP Press through packaging
-SD
ラットSprague-Dawley rat
-t
1/2Half-life
半減期t
maxTime to reach the maximum concentration
最高濃度到達時間
UDP Uridine diphosphate
UDPGA Uridine 5’-diphosphoric acid P2-β-D-glucopyranuronosyl ester
5’-ウリジン二リン酸
UGT UDP-glucuronosyltransferase UDP-グルクロン酸転移酵素
UV-VIS Ultraviolet-visible spectrum
紫外可視吸収スペクトルVd
ss - 定常状態における分布容積過活動膀胱診療ガ イドライン
- 過活動膀胱診療ガイドライン 第
2
版. 日本 排尿機能学会過活動膀胱ガイドライン作成委 員会編 リッチヒルメディカル; 2015 過活動膀胱治療薬の臨床評価方法に 関するガイドライ ン
- 「「過活動膀胱治療薬の臨床評価方法に関す るガイドライン」について」(平成
18
年6
月28
日付け薬食審査発第0628001
号)機構 - 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
本剤 - ベオーバ錠
50 mg
本薬 - ビベグロン