提出された資料から、フィブラート系薬剤の投与対象となる高脂血症患者に対する本剤の有効性は、既 承認のFFと同程度であると判断できる。また、安全性について、LDL-Cへの影響に関しては慎重に検討 する必要があるものの、現時点では FF と比較して本剤で明らかに有害事象の発現リスクが高くなるよう な傾向は認められておらず、安全性は許容可能と考える。また機構は、添付文書における注意喚起の内容、
製造販売後の検討事項等については、さらに検討する必要があると考える。
専門協議での検討を踏まえて特に問題がないと判断できる場合には、本品目を承認して差し支えないと 考える。
以上
審査報告(2)
平成29年5月16日
申請品目
[販 売 名] パルモディア錠0.1 mg
[一 般 名] ペマフィブラート
[申 請 者] 興和株式会社
[申請年月日] 平成27年10月19日
1. 審査内容
専門協議及びその後の医薬品医療機器総合機構(以下、「機構」)における審査の概略は、以下のとお りである。なお、本専門協議の専門委員は、本品目についての専門委員からの申し出等に基づき、「医薬 品医療機器総合機構における専門協議等の実施に関する達」(平成20年12月25日付け 20達第8号)
の規定により、指名した。
1.1 本剤の臨床的位置付けについて
本邦の医療現場では、高トリグリセリド(以下、「TG」)血症患者に対して、既にフィブラート系薬剤 がTG低下作用を有する薬剤として長期間使用されており、パルモディア錠0.1 mg(以下、「本剤」)も フィブラート系薬剤であることを踏まえると、本剤による心血管イベントの抑制効果を検証する臨床試験 を承認前に実施しなくとも、本剤のTG低下作用を含めた脂質パラメータへの影響及び安全性プロファイ ルが既承認のフィブラート系薬剤と同等であることが臨床試験において示されれば、フィブラート系薬剤 の一つとして本剤を位置付け、医療現場に提供することは可能とした機構の判断は専門委員に支持された。
1.2 LDL-Cへの影響について
K-877-09試験においてペマフィブラート(以下、「本薬」)投与時に認められた低比重リポタンパクコ
レステロール(以下、「LDL-C」)の上昇について、専門委員より、LDL-Cの上昇が心血管イベントの発 現に影響を及ぼす可能性は否定できないため、本薬による心血管イベントの抑制効果が検討されていない 現状では、本剤のリスク・ベネフィットバランスについて慎重に判断する必要があるとの意見が出された。
一方で、LDL-Cの上昇はLDL粒子中のTGが減少したことで相対的にLDL粒子中のコレステロールが増 加した影響である可能性が考えられること、K-877-09試験で認められた本薬群とフェノフィブラート(以 下、「FF」)群におけるLDL-C上昇の程度について、明らかに大きな差異があるとまではいえないこと、
及びK-877-17試験においてLDL-Cの上昇は認められていないこと等を考慮すると、現時点ではK-877-09
試験で認められた LDL-C の上昇が本剤による心血管イベントのリスク上昇につながるとまでは断定でき ないとの意見も出された。専門協議での議論の結果、今後心血管イベントのリスク低減に関する本剤の効 果を検討する製造販売後臨床試験(「1.4 医薬品リスク管理計画(案)について」の項参照)を実施し、
その結果を踏まえた本剤のリスク・ベネフィットバランスについて医療現場に適切な情報提供を行うこと、
及び LDL-C を含めた血清脂質値を定期的に検査し、それらが変動した際に適切な対応がとれるよう注意
喚起することが重要であるとの意見で一致し、審査報告(1)「7.R.3.1 LDL-Cへの影響について」の項に 記載した機構の判断は専門委員に支持された。
1.3 安全性について
1.3.1 横紋筋融解症並びに腎機能障害患者及びスタチン併用中の患者への投与について
腎機能障害患者及びヒドロキシメチルグルタリル-コエンザイムA(HMG-CoA)還元酵素阻害剤(以下、
「スタチン」)併用患者における横紋筋融解症の発現リスクについて、専門委員より、現時点では既存の フィブラート系薬剤と同様の注意喚起をする必要があるとした機構の判断を支持する意見が出された一 方で、既存のフィブラート系薬剤では腎排泄が主代謝経路であるのに対して、本薬は肝代謝が主代謝経路 であることを考慮すると、既存のフィブラート系薬剤と同様の注意喚起とすることの適切性について検討 の必要があるとの意見も出された。
以上の意見を踏まえて機構は横紋筋融解症の発現リスクについて再度検討し、以下のように判断した。
臨床試験成績(審査報告(1)「7.R.6.1 横紋筋融解症について」の項、表41参照)から、本剤投与時の 横紋筋融解症のリスクは FF と比較して高くはないと考えられるが、症例数も限られており、既存のフィ ブラート系薬剤と比較して本薬でリスクが低いことを示す明確な根拠は得られていない。また、国内臨床 試験において、本剤投与時に腎機能障害や筋肉痛等の有害事象が報告されており、腎機能障害患者やスタ チン使用中の患者では、横紋筋融解症に関連する有害事象の発現割合は、全体集団と比較して高値であっ たことを踏まえると、腎機能障害患者及びスタチン併用患者に関して、既存のフィブラート系薬剤と同様 の注意喚起を行うことが適切である。
以上を踏まえ、機構は、添付文書において、腎機能障害患者及びスタチン併用患者における横紋筋融解 症発現のリスクについて、既存のフィブラート系薬剤と同様の注意喚起をすることを申請者に求め、申請 者は適切に対応した。
1.3.2 肝臓への影響について
本剤による肝機能障害の発現リスクはFFを上回るものではないと考えられるが、FFよりも低いとは判 断できないことから、肝機能障害の発現リスクに関する注意喚起は FF と同様に行うことが妥当とした機 構の判断は専門委員に支持された。また、胆石の発現リスクについて、本薬の臨床試験成績及びフィブラ ート系薬剤に共通するリスクであることを考慮し、FF と同程度の注意喚起を行うことが妥当とした機構 の判断についても専門委員に支持された。
以上を踏まえ、機構は、肝機能障害及び胆石症の発現リスクについて、添付文書において必要な注意喚 起をすることを申請者に求め、申請者は適切に対応した。
1.4 医薬品リスク管理計画(案)について
審査報告(1)「7.R.7 製造販売後の検討事項について」の項における検討及び専門協議における議論を 踏まえ、機構は、現時点における本剤の医薬品リスク管理計画(案)について、表46に示す安全性検討事 項及び有効性に関する検討事項を設定すること、表 47 に示す追加の医薬品安全性監視活動及びリスク最 小化活動を実施すること、並びに表48に示す製造販売後臨床試験及び表49、表50に示す特定使用成績調 査を実施することが適切と判断した。
表46:医薬品リスク管理計画(案)における安全性検討事項及び有効性に関する検討事項 安全性検討事項
重要な特定されたリスク 重要な潜在的リスク 重要な不足情報
・横紋筋融解症 ・LDL-C値の上昇 ・腎機能障害患者
・肝機能障害患者
・75歳以上の高齢者
・長期投与における安全性 有効性に関する検討事項
・使用実態下における長期投与時の有効性
・心血管イベント抑制効果
表47:医薬品リスク管理計画(案)における追加の医薬品安全性監視活動
及びリスク最小化活動の概要、並びに有効性に関する調査・試験の概要 追加の医薬品安全性監視活動 追加のリスク最小化活動 有効性に関する調査・試験
・市販直後調査
・特定使用成績調査
(長期使用)
・特定使用成績調査 (心血管イベント抑制)
・製造販売後臨床試験
・市販直後調査による情報提供 ・特定使用成績調査 (長期使用)
・特定使用成績調査
(心血管イベント抑制)
・製造販売後臨床試験
表48:製造販売後臨床試験計画の骨子(案)
試験デザイン 無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験
対象患者 糖尿病を合併し、心血管イベント発現リスクの高い高脂血症患者
TGが200 mg/dL以上500 mg/dL
未満、かつ高比重リポタンパクコレステロール(HDL-C)が40 mg/dL以下
症例数 10000例(本剤群及びプラセボ群 各5000例)
そのうち日本人は300~500例 用法・用量 本剤0.2 mg又はプラセボを1日2回 試験期間 5年
主要評価項目 「非致命的心筋梗塞」、「非致命的虚血性脳卒中」、「予定外の冠動脈血行再建術を要 する不安定狭心症による入院」、「心血管死」を心血管イベントと定義し、それら心血 管イベントの初回発現までの期間
表49:特定使用成績調査(心血管イベント抑制)計画の骨子(案)
調査デザイン 無治療同時対照非ランダム化コホート研究 対象患者 高脂血症患者(TGが150 mg/dL以上)
症例数 30000例(本剤群、TG低下薬非治療群、各15000例)
調査期間 6.5年(組入れ期間2年、組入れ終了後の追跡期間4年)
主要評価項目 「非致死性心筋梗塞」、「非致死性虚血性脳卒中」、「冠動脈血行再建術を伴う不安定 狭心症による入院」、「心血管死」を心血管イベントと定義し、それら心血管イベント の初回発現までの期間
表50:特定使用成績調査(長期使用)計画の骨子(案)
目的 使用実態下での長期投与時における安全性及び有効性の検討 調査方法 中央登録方式
対象患者 高脂血症患者
観察期間 本剤投与開始後2年間 予定症例数 安全性評価対象として3000例
主な調査項目 横紋筋融解症関連事象の発現状況、LDL-Cの推移等
1.5 その他
1.5.1 クロピドグレルと本薬の併用について