• 検索結果がありません。

第 4 章 S&CPT・S&PUT の原型機を用いた実地盤への貫入・引上げ実験

4.3 実験結果

実験結果の一覧を表-4.5に示す.

(1) S&CPT

50

①Case:SCPT-1

計測データの時系列分布と深度分布をそれぞれ図-4.22,23 に示す.時系列分布より,各作業の時 刻とそれに伴うデータの挙動が整合することを確認した.9:41 と 10:07 のプローブのシューの固 定と取り外しに伴うaxayの周期的な挙動や,9:49の原型機の建て込みに伴うazの重力加速度9.8 m/s2への収束,10:05の原型機の倒置に伴う0 m/s2への収束,9:53の先端コーンの接地に伴うqpの 微増などである.最大貫入深度は1.38 mとなった.

コーン貫入抵抗力は,1m 付近まで貫入深度とともに増加し,それ以深ではわずかに減少した.

引抜き時の荷重は貫入深さによらずほぼゼロとなった.

押込み荷重は,貫入深さとともに増加し,最大で約100 kNとなった.引抜き時には20 kN程度 まで荷重の変動が見られ,深度が浅くなるにつれて減少した.

水平加速度は,貫入と引抜き両方で常にゼロに近い値を示した.

鉛直加速度は,貫入時は常に重力加速度 9.8m/s2に近い値を示したが,引抜き時の 1.1~1.3m の 深度においては周期的な変動が見られた.

採取した試料を図-4.24に示す.試料の質量は8.08kgであった.貫入時には,コーン先端から0.9 mの高さまでサンプリングチューブ内に試料が入っていることを確認した.

作業人数と所要時間を表-4.6 に示す.原型機の貫入に要した時間は約 1分,引抜きに要した時 間は約1分であった.

②Case:SCPT-2

計測データの時系列分布と深度分布をそれぞれ図-4.27,28 に示す.時系列分布より,各作業の時刻 とそれに伴うデータの挙動が整合することを確認した.13:29と13:53のプローブのシューの固定 と取り外しに伴う ax,ayの繰り返しの挙動や,13:30の原型機の建て込みに伴うazの重力加速度

9.8m/s2への収束,13:52の原型機の倒置に伴う0 m/s2への収束,13:36の先端コーンの接地に伴う

qpの微増などである.最大貫入深さは2.43 mとなった.

コーン貫入抵抗力は,貫入深さ0.9 mで最大となり約1.2 mまでは緩やかに減少し,ケーシング の継ぎ足し後は,1.4 m以浅と比べて非常に低い値を示した.

押込み荷重は,貫入深さとともに増加し,最大で約110 kNとなった.

水平加速度は,貫入と引抜き両方で常にゼロに近い値を示した.

鉛直加速度は,貫入時と引抜き時ともに重力加速度9.8m/s2に近い値を示した.

採取した試料を図-4.25に示す.試料の質量は11.36 kg,スリーブ内の試料の長さは1016 mm,径

は96.4mmであった.貫入時,コーン先端から1.2mの高さまでサンプリングチューブ内に試料が

入っていることを確認した.

作業人数と所要時間を表-4.7 に示す.原型機の貫入に要した時間は約 5 分,引抜きに要した時間 は約2分であった.

③Case:SCPT -3

計測データの時系列分布をそれぞれ図-4.29に示す.採取した試料を図-4.26に示す.最大貫入深さ

は,1.45mであった.試料の質量は11.82 kg,スリーブ内の試料の長さは944 mm,径は96.3mmで

あった.貫入時には,コーン先端から1.2mの高さまでサンプリングチューブ内に試料が入ってい ることを確認した.プローブのデータは収録できていなかった.

51

図-4.30に示すように,揚収時,先端コーンの固定ピンが1cm程度飛び出し,先端コーンが計測部 に押し込まれていた.貫入時,コーン先端から 1mの高さまでサンプリングチューブ内に試料が入 っていることを確認した.

作業人数と所要時間を表-4.8 に示す.原型機の貫入に要した時間は約 8 分,引抜きに要した時間 は約1分であった.

(2) S&PUT

①Case:SPUT-1

計測データの時系列分布と深度分布をそれぞれ図-4.31,32に示す.プローブの最大貫入深さは2.46 mであった.ケーシングは2本目の打設時,先端のシューがロッドカップリングのセンタライザ ーに接触し押し込まれることでロッドも下方貫入し始めたため,貫入を中止した.ケーシングの 最大貫入深さは1.49 mであった.

先端抵抗力は,ロッド貫入時に変動を示し2.1 mで最大となる約50 kNを示した.ケーシング打 設時は 0.8 mまではゼロに近い値であったが,それ以深では急激に増加し40 kN前後の値を示し た.引抜き時はロッドとケーシングともにどの貫入深さもほぼゼロに近い値を示した.無負荷状 態の先端抵抗力の出力値は貫入前が-18.25 μs,引抜き後が-117.3 μsとなった.

押込み荷重は,ロッド貫入時は貫入深さに伴って増加し2.4 mで約100 kNとなった.ケーシング 打設時は先端抵抗力と同様,0.8 m以深で急激に増加し,100 kN前後の値を示した.引抜き時には

1.2~2.4 mまで最大で40 kN程度値に変化が見られ,それ以浅はほぼゼロとなった.

採取した試料を図-4.33に示す.試料の質量は2.36 kgであった.

図-4.34に示すように揚収時,抵抗翼は両方とも展開していた.ケーシング下端のシューは変形し ていた(図-4.35参照).

作業人数と所要時間を表-4.9に示す.ロッド,ケーシングの貫入に要した時間はそれぞれ約4分, 約10分であり,引抜きに要した時間は約9分であった.

②Case:SPUT-2

計測データの時系列分布と深度分布図をそれぞれ図-4.36,37に示す.このケースでは,硬質な盛土 地盤によって貫入不可となることを避けるため,実験によって既に一定の地盤情報を得た地下

0~0.8 mを省略した.具体的には,事前にオーガーで0.8 m程度掘削し,貫入深さ835 mmからロ

ッドの貫入を開始した.プローブの最大貫入深さは1.47 mとなった.2本目のロッドを貫入する 際に撓みはじめ,ロッドが破損することが懸念されたため,貫入を中止した.ケーシングの最大 貫入深さは1.04 mとなった.ケーシングは2本目の打設時,ロッドも貫入し始めたため,打設を 中止した.

先端抵抗力は,ロッド貫入時は変動を示し,1.2 m付近で最大となり,約40 kNであった.ケーシン グ打設時は1.0 m以深から値が大きくなり,最大で20 kN程度であった.引抜き時には, 1.2~1.4 mでは5 kNほどの値になったが,それ以浅ではほぼゼロとなった.無負荷状態の先端抵抗力の出 力値は貫入前が-8.438μs,引抜き後が-50.69μsとなった.

押込み荷重は,ロッド貫入時は貫入深さに伴って増加し,1.47 mで約50 kNとなった.ケーシン グ打設時は1.0 m以深から急激に値が増加し,最大で60 kN程度であった.引抜き時は1.4 m付近

52

で荷重の変動が見られるもの,それ以浅ではほぼゼロとなった.

図-4.38に示すように揚収時,抵抗翼は片方のみが展開していた.

作業人数と所要時間を表-4.10に示す.ロッド,ケーシングの貫入に要した時間はそれぞれ約2分,

約1分であり,引抜きに要した時間は約7分であった.

③Case:SPUT-3

計測データの時系列分布と深度分布をそれぞれ図-4.39,40に示す.ロッドの最大貫入深さは10.21 mとなった.ケーシングの最大貫入深さは3.08 mとなった.ケーシングは2本目の打設時,ロッ ドも貫入し始めたため,貫入深さ2.04 mで打設を中断し,貫入方式を静的圧入から打撃(10~15Hz)

に変更して打設を再開したところ,4 本目の打設時にロッドも貫入し始めたため,打設を中止し た.その後,ロッドを引抜いたところ,ケーシングはロッドと同時に引き抜かれ,1本のケーシン グを回収した.2 本目のケーシングを引抜いたが,試料の閉塞によってケーシングを取り外すこ とが困難となり,3本のケーシングとロッドをユニック車(クレーン付きトラック)を利用して引 抜いた.この時はワイヤ式変位計を取り付けらなかったため,鉛直変位の測定ができていない.

残ったロッド6本はGeoprobeによって引抜いた.

先端抵抗力は,ロッド貫入時,挙動の幅は大きく4.0 m付近では70 kN以上の値を示した.ケー シング打設時には,静的圧入時(~2.04 m)では徐々に増加し,30 kN程度まで増加した.貫入方 式を打撃に切り替えた直後は大きく減少し,貫入深さが大きくなるにつれて徐々に増加し3.08 kN

で約30 kNとなった.引抜き時はほぼゼロとなった.無負荷状態の先端抵抗力の出力値は貫入前

が-1.500μs,引抜き後が-107.33μsとなった.

押込み荷重は,ロッド貫入時は増減の傾向は先端抵抗力と似ており,4.0 m付近で最大約80 kNと なった.ケーシング打設時には,0.5 m以深から急激に増大し,2.0 m貫入時点で約80 kNとなっ た.引抜き時には,4~10 mでは平均して20 kN程度であり,3.5 m付近最大となり,約25 kNと なった.3.0 m以浅ではほぼゼロとなった.

採取した試料を図-4.41に示す.試料の質量は7.61 kgであった.図-4.42に示すように,スライダ ー機構がなくても揚収時に抵抗翼は片方が展開していた.

作業人数と所要時間を表-4.11に示す.ロッド,ケーシングの貫入に要した時間はそれぞれ約11分, 約11分であり,引抜きに要した時間は約33分であった.

④Case:SPUT-4

計測データの時系列分布と深度分布をそれぞれ図-4.43,44に示す.ロッドの最大貫入深さは10.14 mとなった.

先端抵抗力は,貫入時はSPUT-3と同様大きな挙動を示し,5.0 m付近で約60 kNとなった.引抜 き時,0~1 mと6~10 mでは増減の傾向が貫入時に近くなり,1~6 mでは10 kN以下となった.無 負荷状態の先端抵抗力の出力値は貫入前が-9.375μs,引抜き後が-87.688μsとなった.

押込み荷重は,貫入時と引抜き時両方の増減の傾向が先端抵抗力と似ており,5.0 m付近で最大約

70 kNであった.

図-4.45に示すように抵抗翼は両方とも展開していた.

作業人数と所要時間を表-4.12に示す.ロッドの貫入に要した時間はそれぞれ約 18分であり,引

関連したドキュメント