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第 5 章 KCl:Ce 3+ ,Tb 3+ 緑色蛍光体の発光特性

5.4 実験結果

39

40 5.4.2 EPMA測定結果

Figure 5.3に本研究で作製したKCl:Ce3+,Tb3+緑色蛍光体のEPMA測定結果を示す。

カリウム(0.345 nm , 0.374 nm)、塩素(0.440 nm , 0.473 nm)、セリウム(0.236 nm , 0.256 nm)、テルビウム(0.168 nm, 0.177 nm, 0.197 nm)のピークが確認できた。した がって、本研究で作製した蛍光体は、KCl結晶中にCe3+, Tb3+が賦活されていることがわ かった。

28.0 28.2 28.4 28.6

XRD (arb. units)

ASTM (200)

2

(deg)

20 30 40 50 60 70 80

2  (deg)

X R D (arb . u ni ts )

Ce=0 Tb=0 Ce=Tb=0 K:Ce:Tb=1:0.01:0.05

(200) (220) ASTM

(222)

Figure 5.2 XRD測定結果

41 5.4.3 PL及びPLE測定結果

Figure 5.4に本研究で作製した蛍光体のPL及びPLE測定結果を示す。Figure 5.4(a)は KCl:Ce3+青色蛍光体、Figure 5.4(b)はKCl:Tb3+緑色蛍光体、Figure 5.4(c)は本研究で作製 したKCl:Ce3+,Tb3+緑色蛍光体のPL及びPLE測定結果である。PL測定は励起波長~266 nm、PLE測定は発光波長~370 nm(Figure 5.4(a))、~545 nm(Figure 5.4(b), (c))で測 定を行った。

Figure 5.4(a)より、~350 nm, ~370 nmに観測されるブロードなスペクトルはそれぞれ 5d→2F5/2, 5d→2F7/2遷移によるCe3+イオンの発光である。また、PLEスペクトルでは、

~260 nm, ~320 nmに2つの励起帯が観測された。この2つの励起帯は、それぞれ

2F7/2→5d, 2F5/2→5d遷移に対応する。

Figure 5.4(b)より、~480-620 nmの微弱の発光帯は、4 →4 スピン、パリティ禁制 遷移によるTb3+の発光である。PLEスペクトルは、~250-480 nmの範囲で4 →4 禁制 遷移による励起帯が観測された。

Figure 5.4(c)では、Tb3+による強い発光が観測された。また、~370 nmのCe3+による発 光がFigure5.4(c)ではみられなかった。PLEスペクトルは、~250 nm, ~310 nmのCe3+に よる励起帯が目立ち、Tb3+による励起帯は微弱であった。Ce3+, Tb3+を共賦活した蛍光体 のTb3+イオンによる発光強度は、Tb3+単賦活の蛍光体と比較して約300倍大きいことがわ かる。このTb3+の発光強度の増大は、KCl結晶中のCe3+からTb3+へのエネルギー移動に よるものである。

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

K

Cl

Cl Tb K

TbTb

Ce

KCl:Ce

3+

, Tb

3+

Wavelength (nm)

In te ns ity ( co un ts )

PET LiF

Figure 5.3 EPMA測定結果

42 5.4.4 拡散反射測定結果

Figure 5.5に本研究で作製した蛍光体の拡散反射測定結果を示す。KCl:Tb3+では、拡散 反射スペクトルがほとんど観測されなかった。KCl:Ce3+では、~200-400 nmで吸収帯が観 測された。この吸収帯は、Ce3+の4 → 5 遷移によるものである。KCl:Ce3+,Tb3+にも類 似した吸収帯が観測されたが、KCl:Ce3+,Tb3+のみで~310 nmに大きく落ち込んだ吸収帯 がみられた。この~310 nmの吸収帯は、Figure 5.4(c)のPLEスペクトルに対応している

(b) KCl:Tb3+

PLE PL

×10 ×300

(a) KCl:Ce3+

PLE PL

200 300 400 500 600 700

PLE intensity (arb. units)

Wavelength (nm)

PL intensity (arb. units)

(c) KCl:Ce3+,Tb3+

PLE

PL

×10

×1

Figure 5.4 PL及びPLE測定結果

43 ことがわかる。

5.4.5 PL測定結果(Ce3+濃度依存性)

Figure 5.6に本研究で作製したKCl:Ce3+,Tb3+のPL 濃度依存性の測定結果を示す。

Tb3+濃度N = 0.05一定にして、Ce3+濃度を変化させてCe3+濃度依存性を調べた。Figure 5.7は、横軸のCe3+の濃度M (mol)に対して、KCl:Ce3+,Tb3+のPLスペクトルの積分強度 をプロットしたものである。白丸はTb3+の発光強度、黒丸はCe3+の発光強度をそれぞれ示 している。

200 300 400 500 600 700 800

2 3

4 5 6

Undoped KCl

Ce

3+

Tb

3+

(Ce

3+

, Tb

3+

)

Wavelength (nm)

D iffu se re fle ct an ce (a rb . u ni ts )

Photon energy (eV)

Figure 5.5 拡散反射測定結果

44

Figure 5.6-5.7より、Ce3+を全く賦活していない蛍光体では、545 nmのTb3+による発 光は極めて弱かった。Ce3+濃度が0.001 mol 0.01 molでは、Ce3+濃度の増加ととも に、Tb3+による475-635 nmの発光強度が増加していることがわかる。そのあと、さらに Ce3+濃度を増加させると、発光強度が飽和することがわかる。また、Tb3+による発光スペ クトルは、Ce3+賦活による影響を受けないことがわかった。これは、Tb3+のf -f遷移が外 側の電子の詰まった5sと5p軌道の内側に存在するf 軌道の中で行われて、f軌道のエネ ルギー準位が外場の影響を受けにくいためである。

5.4.6 PL測定結果(Tb3+濃度依存性)

Figure 5.8に本研究で作製したKCl:Ce3+,Tb3+のPL 濃度依存性の測定結果を示す。

Ce3+濃度M = 0.01一定にして、Tb3+濃度を変化させてTb3+濃度依存性を調べた。Figure 5.9は、横軸のTb3+の濃度N (mol)に対して、KCl:Ce3+,Tb3+のPLスペクトルの積分強度 をプロットしたものである。白丸はTb3+の発光強度、黒丸はCe3+の発光強度をそれぞれ示 している。

300 400 500 600 700

2.0 2.5

3.0 3.5 4.0

Wavelength (nm)

PL intensity (arb. units) 0.05

M=0.1

×2

×8

×200

K:Ce:Tb=1:M:0.05

0.02 0.01 0.005 0.002 0.001 0 Photon energy (eV)

×20

10-4 10-3 10-2 10-1 100

IPL (normal.)

0 10-4 10-3 10-2 10-1

M

K:Ce:Tb=1:M:0.05

M 1.0

∝M 2.0

Figure 5.6 PL測定結果(Ce3+濃度依存性)

Figure 5.7 PL積分強度(Ce3+濃度依存性)

45

Figure 5.8-5.9より、Tb3+を全く賦活していない蛍光体では、Ce3+による~370 nmの発 光がみられ、Tb3+による発光は観測されなかった。Tb3+濃度が0.001 mol 0.05 molで は、Tb3+濃度の増加とともに、Tb3+による475-635 nmの発光強度が増加していることが わかる。そのあと、さらにCe3+濃度を増加させると、発光強度が飽和することがわかる。

また、Figure 5.8より、Ce3+による~370 nmの発光は、Tb3+濃度の増加とともに徐々に減 少しており、Tb3+濃度 0.01では観測されなかった。

5.4.7 PL測定結果(温度依存性)

Figure 5.10に本研究で作製したKCl:Ce3+,Tb3+のPL 温度依存性の測定結果を示す。

Figure 5.11は、横軸の温度に対して、KCl:Ce3+,Tb3+のPLスペクトルの積分強度をプロ ットしたものである。300 K以下ではTb3+による475-635 nmの発光に変化はみられなか ったが、300 K以上で急速に発光強度が減少した。Figure 5.11に示す青線は450~300 K の温度変化を以下の式でフィッティングしたものである。

300 400 500 600 700

2.0 2.5

3.0 3.5 4.0

×8

×6

×4

N=0.1 Photon energy (eV)

×4

×2

K:Ce:Tb=1:0.01:N

0.05 0.02 0.01 0.005 0.002 0.001 0

PL intensity (arb. units)

Wavelength (nm)

10-3 10-2 10-1 100

IPL (normal.)

0 10-4 10-3 10-2 10-1

N

K:Ce:Tb=1:0.01:N

∝N 1.0

Figure 5.8 PL測定結果(Tb3+濃度依存性)

Figure 5.9 PL測定結果(Tb3+濃度依存性)

46

I

PL

(T ) =

∑ ⁄ … (5.1)

は活性化エネルギー、kBはボルツマン定数を表している。式(5.1)でフィッティング を行った結果、本研究で作製したKCl:Ce3+,Tb3+の活性化エネルギー は = 0.60 eVと

= 0.25 eVであると算出された。

5.4.8 発光寿命測定結果(濃度依存性)

Figure 5.12に本研究で作製したKCl:Ce3+,Tb3+蛍光体の発光寿命測定の結果を示す。

Figure 5.12(a)は、発光波長370 nmで測定を行い、Ce3+の発光寿命を示す。また、

Figure 5.12(b)は、発光波長 543 nmで測定を行い、Tb3+の発光寿命を示す。測定したデ ータは、次の式でフィッティングを行った。

I ( t ) = I

0

exp ( ) + b

(5.2) 400 450 500 550 600 650 700

1.8 2.0

2.2 2.4 2.6 2.8 3.0

20 K

300 K T

100 K

440 K 200 K

400 K

Wavelength (nm)

PL intensity (arb. units)

Photon energy (eV)

×20

0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05

0.05 0.1 0.5 1

50 40 30 20

1/T (K–1) IPL(T)/IPL(0)

100 300

T (K)

0 0.002 0.004 0.006

0.05 0.1 0.5 1

400 300 200 1000

Figure 5.10 PL測定結果(温度依存性)

Figure 5.11 PL積分強度(温度依存性)

47

Figure 5.12より、本研究で作製した蛍光体の発光寿命は、(a) 21.1 ns(Ce3+), (b) 0.60 ms(Tb3+)とわかった。

Figure 5.13に、KCl:Ce3+,Tb3+蛍光体のTb3+濃度N = 0.05一定にして、Ce3+濃度を変 化させた時の発光寿命測定の結果を示す。(a)はCe3+、(b)はTb3+の発光寿命である。

Figure 5.13(a)より、Ce3+の発光寿命には変化はみられなかった。また、Figure 5.13(b)よ り、Ce3+濃度を増加とともにTb3+の発光寿命は長くなっていくことがわかった。Figure

5.14に、KCl:Ce3+,Tb3+蛍光体のCe3+濃度M = 0.01一定にして、Tb3+濃度を変化させた 時の発光寿命測定の結果を示す。(a)はCe3+、(b)はTb3+の発光寿命である。Figure 5.14(a), (b)より、Ce3+濃度を増加させるとCe3+の発光寿命は長くなり、Tb3+の発光寿命は 短くなっていくことがわかった。

0 100 200

10-3 10-2 10-1 100

<> = 21.1 ns K:Ce:Tb = 1 : 0.01 : 0.05

Time (ns)

PL intensity (normal.)

(a)

em = 370 nm

0 2 4 6 8 10

10-3 10-2 10-1 100

Time (ms)

PL intensity (normal.)

<> = 0.60 ms K:Ce:Tb = 1 : 0.01 : 0.05

(b)

em = 543 nm

0 5 10 15 20 25 30

Lifetime (ns) K:Ce:Tb=1:M:0.05

Ce3+ emission (a)

0.001 0.01 0.1

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2

Lifetime (ms)

M

(b) Tb3+ emission

0 5 10 15 20 25 30

Lifetime (ns) K:Ce:Tb=1:0.01:N

Ce3+ emission (a)

0.001 0.01 0.1

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2

Lifetime (ms)

N

(b)

Tb3+ emission

Figure 5.12 発光寿命測定結果 ( (a) λem = 370 nm, (b) λem = 543 nm )

Figure 5.13 発光寿命測定結果 (Ce3+濃 度依存性)

Figure 5.14 発光寿命測定結果 (Tb3+濃 度依存性)

48

ドキュメント内 KClを母体結晶とした蛍光体の作製及び評価 (ページ 40-49)

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