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第 5 章 精密ステージ制御への応用

5.3 実験結果

前節と同じ条件で実機実験を行い、シミュレーションとの比較を行った。その結果を図 5.3.1 に示す。図中experimentが実験出力, newtonが非線形システム同定法による同定モデ ルに対するシミュレーション結果, LSが従来法による同定モデルに対するシミュレーショ ン結果である。また、図 5.3.2 に実機出力との誤差を示す。図より、LSでは定常偏差が残 っているのに対しnewtonは定常偏差がほぼ0となっていて定常特性が改善されていること がわかる。また、表 5.3.1 に立ち上がり時間の比較を示す。これからも、newtonはexperiment に近い結果となっていることがわかり、LSに比べ改善されていることがわかる。これらの 結果より,非線形システム同定法によるモデルの出力が最も実験結果に近く,よって対象の 特性をよく近似していることが確認できる。

0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0.07 0.08 0.09 0.1

0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06

Time [s]

Outputs

experiment newton LS

図5.3.1 精密ステージによる実験結果

0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0.07 0.08 0.09 0.1 -0.02

-0.015 -0.01 -0.005 0 0.005 0.01 0.015 0.02

Time [s]

Outputs

newton LS

図5.3.2 実機出力との誤差

表5.3.1 シミュレーション結果

experiment real newton LS

立ち上がり時間 [ms]

3.2 4.9 5.1 7.0

整定時間[ms] 4.5 6.2 6.3 10.4

定常値 0.05 0.05 0.05 0.049

第 6 章 まとめ

最後に本論文のまとめを述べる。センサの非線形性として分解能を考慮したシステム同 定法を, 精密ステージの位置決め制御へ応用し,その有効性をシミュレーションと実機実 験により検証した。

まず第 2 章にて、従来のシステム同定法について述べた後、非線形システム同定法の問 題の定式化を行った。そして、非線形システム同定法に用いた準ニュートン法のアルゴリ ズムについて述べた。

次に第3章にて、センサの非線形性として飽和特性、分解能を考慮した問題の定式化、

数値シミュレーションを行った。ここでは真値の同定モデル(real)に対して、従来法(LS)に より導出した同定モデルと非線形システム同定法(newton)により導出した同定モデルを時 間応答、周波数特性、同定パラメータと推定誤差率での比較を行い非線形システム同定法 の有効性を確認した。その結果、非線形システム同定法では線形パラメータ、非線形誤差

(飽和量、分解能誤差)ともに推定でき、真値(real)に近い同定モデルを得ることができた。

次に第 4 章にて、実験に用いた精密ステージの同定実験を行い、真値となる同定モデル (real)を導出した。ここでは静止摩擦を考慮した実験とともに, 分解能誤差の影響を受けな い状態での実験をあわせて行った。また、従来のシステム同定法(LS)により導出した同定モ デルの位置出力、非線形システム同定法(newton)により導出した同定モデルの位置出力、真 値(real)の位置出力との比較を行い、従来法(LS)に対し非線形システム同定法(newton)は真値 (real)に近い結果が得られた。さらに、周波数特性に対しても比較を行い、非線形システム 同定法(newton)の有効性を確認できた。

最後に第 5 章では、分解能を考慮した非線形システム同定法を精密ステージの位置決め 制御に適用し, シミュレーションと実験検証によりその有効性を示した。ここでは精密ス テージ上で影響の強い摩擦、その補償法について述べた後、同一のコントローラを用いて 真値の同定モデル(real)、従来のシステム同定法(LS)により導出した同定モデル、非線形シ ステム同定法(newton)により導出した同定モデルの 3 つのモデルによる位置出力をシミュレ ーションにて比較した。その結果、従来法(LS)に対し非線形システム同定法(newton)は真値 (real)に近い結果が得られた。また、実機実験を行いシミュレーションとの比較も行った。

これより、非線形システム同定法(newton)によるモデルの出力が最も実験結果に近く,対象 の特性をよく近似していることが確認できた。

今後の課題としては、観測雑音のような確率的外乱への対処や、センサの静的非線形性 の特性を入出力データから同時に同定する方法を開発すること等が挙げられる。

参考文献

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[7] 足立 修一 : MATLABによる制御のためのシステム同定、東京電機大学出版局(1996)

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[9] 涌井 橋本 高梨 中村 : 現場で役立つ制御工学の基本、コロナ社 (2012)

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[12] 中嶋潤:遺伝的アルゴリズムによる非線形摩擦を有する制御系の同定法平成22年度

群馬大学修士論文(2011)

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