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第 4 章 既存モルタルの不確定性を考慮した耐震壁の評価

4.5 実大壁水平耐力試験

4.5.1 実験概要

載荷方法概要

載荷方法の概要を図 4.10 に示す。実験は「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008 年度 版)」1)に準拠して,各試験体の柱頭部に水平方向に正負繰り返し交番載荷を行う。試験体柱脚 部は HD アンカーと土台用アンカーボルトによって,鉄骨土台に固定し,柱頭部横架材の端部に 油圧ジャッキを接続する。柱頭部横架材の上面には CT 形鋼をビスで接続し,テフロンシートを 貼って摩擦抵抗を極力少なくした面外方向変形拘束治具で挟み込む。繰り返し履歴は,柱脚の 浮き上がりによる壁体の回転を除いた真のせん断変形角により制御する。1/450rad,

1/300rad,1/200rad,1/150rad,1/100rad,1/75rad,1/50rad の各目標変形角とし,各加力サ イクルにつき 3 回ずつ載荷を繰り返した後,1/15rad または耐力が最大荷重 Pmax の 80%を下回 るまで正方向に押し切る。加力サイクルを表 4.5 に示す。

図 4.10 載荷方法概要図

表 4.5 加力サイクル

変形角(rad) 1/450 1/300 1/200 1/150 1/100 1/75 1/50 1/15

試験体概要

試験体の構成を図 4.11 に示し,仕様を表 4.6 に示す。

A2 開口中央 A3 開口端部

図 4.11 開口中央試験体(A2)と開口端部試験体(A3)

開口寸法はいずれも 500mm×500mm

表 4.6 試験体仕様

木架構 土台・柱には 105 角のすぎ(無等級)材を用い,梁には 180×105 のべいまつ(無等級)材 を用いる。柱と梁の接合部に,ほぞを設ける。ほぞに 2-N90 釘を打ち込む。含水率は 20%以 下とする(測定平均値 15.3%)。

木摺り 住宅金融公庫の仕様に準拠する。950×90×9 の木摺りを 23mm の間隔を設けて 1-N50 で木架 構に留め付ける。

アスファルトフェル

防水紙としてアスファルトフェルト 430 を木摺りの上からにタッカー釘@120 で留め付け る。

ラス 平ラス(JIS5505,3 号)を用い,タッカー釘での留め付けは,120mm 間隔,脚長は 10mm と する。

モルタル セメント(普通ポルトランドセメント)と砂を混合した後,水を加えて混ぜ合わせることで モルタルを作製する。水セメント比は 80%とする。厚さは 15mm とし,1度塗りとする。モ ルタル施工後は養生期間を約 1 ヶ月設ける。

ゴムスペーサー モルタルを養生した後,ゴムスペーサー(合成ゴム(クロロプレンゴム)幅 50mm,厚さ 2mm)をブチルゴムテープ(両面防水気密テープ(製品番号:W-503,幅 50mm))を使用して モルタルに貼り付ける。

板金 板厚 0.5mm 働き幅 910mm 長さ 2770mm の板金(塗装溶接 55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼 板)をゴムスペーサーの上から設置する。その後,ビス位置に振動ドリルを用いて下穴を設 ける。下穴はモルタルが貫通するまであける。板金の断面形状を図 4.12 に示す。

ドリルビス 下穴をあけた位置に打ち込む。外周部に長ビス(六角ドリルビスφ6×115 を用いる。中央 部に短ビス(六角コンクリートビスφ6×35)を用い,鋼板とモルタルを固定する。長ビ ス,短ビスともに座金はパッキン付 AZ ワッシャーとする。図 5-2-3 にビス設置位置図を,

図 5-2-4 にドリルビス施工要領を示す。

ホールダウン金物 柱 1 本に対し 50kN 用ホールダウン金物(カナイ シークホールダウン C-HD50S)2 つ(計 100kN)を柱脚部に設置する。

柱頭金物 短冊金物(パワープレート短冊金物(6kN)またはオメガプレート短冊金物(10kN))を設け る。

図 4.12 鋼板断面形状

計測方法

図 4.13 に示す方法で,変位及び荷重を計測する。表 4.7 に計測諸元一覧を示す。

図 4.13 変位・荷重計測位置

表 4.7 計測諸元一覧

計測 Ch 計測場所 計測器 呼名

Ch1 梁変位(mm) LK-G500 H1 Ch2 荷重(kN) TCLP-100KNB-D P Ch3 左柱上水平変位(mm) DP-500E H2 Ch4 左柱上鉛直変位(mm) DP-500E V1 Ch5 左柱中水平変位(mm) DP-500E H3 Ch6 左柱中鉛直変位(mm) DP-500E V2 Ch7 左柱下水平変位(mm) CDP-15 H4 Ch8 左柱下鉛直変位(mm) CDP-15 V3 Ch9 右柱上水平変位(mm) DP-500E H5 Ch10 右柱上鉛直変位(mm) DP-500E V4 Ch11 右柱中水平変位(mm) DP-500E H6 Ch12 右柱中鉛直変位(mm) DP-500E V5 Ch13 右柱下水平変位(mm) CDP-15 H7 Ch14 右柱下鉛直変位(mm) CDP-15 V6 Ch15 土台水平変位(mm) CDP-15 H8

※)A~F は相対変位測定器を示す。

計測されたデータから以下の方法で荷重および変形角を算出する。

荷重 :

見かけのせん断変形角 : H1 H8 / 柱脚の浮き上がり回転による変形角 : V3 V6 /

真のせん断変形角 :

以下実験結果には真のせん断変形角を用いる。

図 4.14 に示す相対変位測定器により各測定点における木架構,モルタル,鋼板それぞれの間 で発生する相対変位を測定する。図 4.13 に相対変位計設置位置を示す。柱に設置した治具と,

モルタルに設置した方眼紙と,鋼板に設置した方眼紙が載荷が進むにつれてそれぞれ独立して 動き,ずれが生じる。それぞれのずれ量を,方眼紙を基に 1mm 刻みに目視で計測する。なお計 測は各サイクルの 1 ステップ目のみ行う。

図 4.14 相対変位測定器

性能評価方法

性能評価は「木造住宅の耐震診断と補強方法」3)に準拠して,以下の方法で行う。

(a) 壁基準耐力 Fw の算出方法

0.2 2 1 1/

:終局耐力(kN)

:塑性率 u/ v

:考えられる耐力低減の要因を評価する係数で,「耐久性」以外として想定される項目(施 工性など)を勘案して定める係数

(本工法では 1.0 とする。)

(「耐久性」については,「劣化度低減係数」として,診断の中で,独立して考慮する。)

:試験体の壁の長さ(m)

なお実験結果については,試験体の履歴特性を把握するため,次の(1)~(4)の値も算出す る。

(1)降伏耐力

(2)終局耐力 に 0.2 2 1 を乗じた値

:塑性率 u/ v (3)最大耐力 の 2/3

(4)特定変形時(見かけのせん断変形角 1/120rad 時)の耐力

(b) 壁基準剛性 K の算出方法

壁基準剛性 は 1/200rad 時の割線剛性とする。

(c) ばらつき係数 Ce の算出方法 ばらつき係数 1

ただし,

:変動係数(標準偏差÷平均値)

:試験体数に依存する定数(表 4.8)

表 4.8 信頼水準 75%下側許容限界 50%下限値の係数 K

試験体数 係数 K 3 0.471 4 0.383 5 0.331 10 0.222 50 0.096

なおばらつき係数は耐力のばらつき係数 と剛性のばらつき係数 を各々算出する。

モルタル材料試験

直径 50mm,高さ 100mm の材料試験体で圧縮試験と割裂試験を行った。実験結果を以下に示す。

なお配合の重量比は水:セメント:砂=1:1.9:8.4 とした。

材料試験(材齢 30 日,耐震壁実験開始 16 日前)

打設日 2016/11/7 試験日 2016/12/7 圧縮試験

圧縮強度 平均 静弾性係数 平均

N/mm2 N/mm2 N/mm2 N/mm2

圧縮4 4.01 8213.11

圧縮5 3.58 7638.61

圧縮6 4.42 8484.34

割裂引張試験

強度 平均

N/mm2 N/mm2 割裂4 0.38

割裂5 0.33 割裂6 0.40

8112.02

試験体

0.37 試験体

4.00

4.5.2 開口中央試験体(試験体 A2)結果

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