3D アノテーションの視認性
4.5 実験方法
図4.8: 実験に利用したゲーム画面(非立体視)
準オブジェクトは画面中央の視差0の位置に配置し,その周りのオブジェクトは ランダムな位置から画面中央の基準オブジェクトの方向に縦と横,奥行き方向に も移動をする.それぞれの3Dアノテーションに文字列を表示し,プレイヤは基準 オブジェクトの3Dアノテーションの文字列とそのほかの文字列が一致しているか 判断する.プレイヤが文字列を判断するために10秒間の時間を与えた.文字列が 一致していた場合,3Dアノテーションに書かれた数字に対応するキーを押しても らう.この一連の操作を10回行う.プレイヤがそれぞれの3Dアノテーションの 文字列を比較するため注視点の特定は困難だが,基準オブジェクトを少なくとも 一度は見る必要があるため,その周囲に視線が集まっている可能性は高い.
図4.8を例に具体的にすると,ゲームのプレイヤはまず画面中央に表示するremon と書かれた文字列の3Dアノテーションを見る.そのあとremonと同じ文字列をそ の周りに存在する三つの3Dアノテーションと見比べ,一致する3Dアノテーショ ンを探す.図8では周りの3Dアノテーションには,1remmn,2remon,3reoonと 表示されており,2のremonが画面中央の文字列と一致するためプレイヤは2のボ タンを押すことになる.画面中央に表示する文字列は英単語として間違っている ものもあり,周りに存在する文字列も似ているものを配置しているためプレイヤ は文字をしっかりと認識したうえで比較する必要がある.
このゲームに既存の3Dアノテーションの表示方法の2つと提案する表示方法を
実装し,ゲームプレイヤは視認性の比較を行う.表示方法は順不同で提示した.本 研究では,実験を8人の男性に行った.被験者は全員視力正常または矯正視力正 常であり,事前に立体視が可能なことを確認した.また,問題ごとの正答率に差 はなかった.
4.5.2 評価方法
評価方法として,アンケートによる主観評価と,アイトラッキングを用いて視 線を取得し,客観的評価を行った.アイトラッキングとは視線の位置を取得する 技術であり,アイトラッキングを行う装置をアイトラッカーと呼ぶ.視線の位置か ら,3Dアノテーションの見やすさの検証を行う.今回利用したアイトラッカーは 縦横の視線の位置は取得できるが,奥行き方向の視線の位置は取得できない.ま た,立体視メガネとアイトラッカーを同時に利用した際,十分な精度で視線の位 置を取得できることは確認済みである.
アイトラッカーを用い視線の位置がゲーム画面のどこに存在するか取得した際,
画面を縦に5分割,横に5分割したエリアを作りどのエリアを見ているかを判別 する.図4.9が画面を分割した例である.
図4.9: 画面の分割
主観的評価であるアンケートは8項目5段階評価で実施した.項目は次のとお りである.
1. アノテーションの文字が見えやすかったか 34
2. 目は疲れたか
3. 3Dアノテーションと関連オブジェクトの対応を把握できたか
4. 全体の位置関係を把握できたか 5. アノテーションが二重に見えたか 6. 眼球が動いているように感じたか 7. 映像に奥行きを感じることが出来たか 8. 映像に飛出し感を得ることが出来たか
アノテーションの文字が見えやすかったかの項目では,文字の可読のしやすさ のみを判断してもらい,周りのオブジェクトの見やすさは評価しない.目は疲れ たかの項目ではゲームをプレイしてもらった際の疲れの具合,3Dアノテーション と関連オブジェクトの対応を把握できたかの項目では,3Dアノテーションがどの 関連オブジェクトに付随しているのか把握しやすいか,全体の位置関係を把握で きたかの項目では,それぞれのオブジェクトの位置関係を把握できたかを問う.ア ノテーションが二重に見えたかの項目では,アノテーションの画像がぶれて見え てしまっていないか,眼球が動いているように感じたかの項目では,目がキョロ キョロと動いている感覚があったかどうかを問う.映像に奥行きを感じることが 出来たかの項目では奥行き方向への広がりを感じることが出来たか,映像に飛び 出し感を得ることが出来たかの項目では手前方向への広がりを感じることが出来 たかを問う.
また,被験者は主観的評価の8項目やゲームのプレイのしやすさなどを考慮し たうえで,総合的に視認性が良いと感じた順番で,表示方法の順位付けを行い,総 合的な評価を行う.被験者が表示方法に順位付けをしたとき,1位を2点,2位を 1点で評価した.