5. 実測実験
5.6. 実測実験結果(5素子八木・宇田アンテナ)
H
面計算結果(打ち切り数 M=1 3 、、 5 )
以上の様な結果となった。
次に、波源の座標位置を推定した結果を示す。
結果を見ると、精度良く波源位置の推定が行えている結果が得られた。また、打ち切り数Mの 結果を比べるとM=1,3で結果に違いは無く、M=1で十分収れん性が得られている事がわかった。
Fig. 5.39:H面計算結果(M=1) Fig. 5.40:H面計算結果(M=3)
Fig. 5.41:z軸で切った図
Position of radiator Result of experiment(M=1) P1 (x,z)=(0,1.16) P1 (x,z)=(0,1.08)
6. 結論と今後の課題・展望
◎結論
本手法の主たる目的は、電磁波放射体からの放射電磁界を球波動関数で表現し、式中に含まれ る未定展開係数を一部の領域における境界条件から決定し、波源位置を推定する手法を提案する 事にある。
本手法の理論の説明として、第2章では放射電磁界の球波動関数表現について、第3章では未 定展開係数を厳密界表現式と実測値を連立したマトリクスを解くことによって決定する方法につ いて述べた。
本手法の正当性を検証するため、第4章では微小ダイポールアンテナと半波長ダイポールアン テナを波源として数値実験を行った。その結果、微小ダイポールアンテナ、半波長ダイポールア ンテナ共に、精度良く波源位置推定を行う事が出来た。また、打ち切り数Mはこの2例の場合M=1 で十分収斂している事がわかった。
第5章では波源として2.45GHz帯半波長ダイポールアンテナ、2.45GHz帯無線LAN用5素子八 木・宇田アンテナを用いて実測実験を行い、波源位置の推定を行った。実験には自作の自動計測 システムを用いて実験を行った。その結果、半波長ダイポールアンテナ、5素子八木・宇田アン テナ共に、精度良く波源位置推定を行う事が出来た。また、打ち切り数Mはこの2例の場合M=1で 十分収斂している事がわかった。
以上の数値実験、実測実験より本手法の正当性を検証できた。
本手法は限定的な条件下での適用ではあるものの、精度良く波源位置を推定出来る事が検証で きた。しかし、まだ基礎研究の域を脱していないのは事実である。次に、本手法における今後の 課題・展望について述べる。
◎今後の課題・展望
本手法の課題として挙げられるのは、以下の事である。
まず、1つ目は散乱体がある場合への本手法の適用である。これは、現在の本手法の理論展開 では散乱体が含まれない状況で行っている。本手法の応用例として、回路からのノイズの波源探 査があるが、回路等では部品(散乱体)が多数含まれる状況なので、適用出来るか検討が必要で ある。
しかし、本論文中の5素子八木・宇田アンテナの実測実験結果を見ると、導波器、反射器等の 散乱体を含んだ状態でも、波源位置推定が行える結果を得ている。このため、どこまで本手法が 適用出来るのかについて検証する必要がある。
さらに、適用出来ない場合は散乱体も含めた場合での理論展開が必要になると考えられる。
次に、2つ目の課題としては一般的な波源への対応である。これは、現在理論展開が直線偏波 アンテナに限定し行われている。そのため、一般的な波源への対応が出来ないため理論の限定性 を解除する必要がある。具体的には、放射電磁界式中の打ち切り数mが奇数のみ、という部分を 偶数も含めて考えるというものである。
さらに、本手法は振幅・位相のデータを元に波源の推定を行っているため、完全な未知波源へ 適用するためには理論の拡張が必要な事が挙げられる。
以上挙げた事を解決すれば、不要輻射波源を推定する手法として、本手法がさらに有用な手段 になると思われる。
7. 謝辞
本研究を遂行するにあたり、学部4年から修士2年までの3年間ご指導頂いた本島邦行准教授 に感謝の意を表すると共に、厚く御礼申し上げます。また、修士学位論文の副査を引き受けて下 さった小林春夫教授、弓仲康史准教授に感謝の意を表すると共に、厚く御礼申し上げます。
本研究の理論の礎となる部分を築いて下さった一昨年度修了生の小林允氏、現行の自動実験シ ステムを製作して下さった昨年度修了生の篠原尚人氏、実測実験の際に手伝って頂いた修士一年 の小林貴紀氏、本学四年の月田雄介氏に厚く御礼申し上げます。そして、本研究室を卒業された 先輩方、ならびに同輩、後輩の皆様に深く感謝し、厚く御礼申し上げます。