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第 3 章 せん断スパン比が土塗壁の破壊モードに及ぼす影響

3.4 結論

4.2.4 実大実験結果

4.2.4.1 荷重変形角関係

各試験体の荷重変形角関係を図 4-5に示す。図中には壁土の面外への孕み出しが目視に より確認された変形角を×印で示している。各試験体とも1/50~1/30rad時に最大耐力とな り、壁土が孕み出すと荷重が低下する傾向が見られる。実験結果一覧を表3、壁土の塗厚t と最大耐力Peu、初期剛性Keの関係を図4-6に示す。降伏耐力Peyと初期剛性Keは既往の 文献 21)に従って求めている。同じ壁土を用いたSS66試験体とSB75試験体を比較すると、

塗厚が大きくなるほど最大耐力、初期剛性ともに大きくなる傾向を示すが、竹繊維を混合 した壁土を用いたBB68試験体とBB73試験体の最大耐力は塗厚による変化は見られない。

これは図 4-3(b)と(c)に示す中塗り土の圧縮強度の差が原因と考えられる。また、竹繊維を

混合した壁土を用いた試験体の方が藁すさに比べて最大耐力、初期剛性ともに大きくなる 傾向を示す。このように土塗壁の耐力は壁土の塗厚や強度特性の影響を大きく受けること がわかる。

(a) 藁すさ (b) 竹繊維

図4-5 荷重変形角関係

表4-3 実大実験結果

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

0 10 20 30 40 50 60 70

荷重P(kN)

変形角 γ0(×10-3rad) SB75 SS66

○ 降伏耐力Py

● 最大耐力Pu

×

× 面外への孕み出し

×

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

0 10 20 30 40 50 60 70

荷重P(kN)

変形角 γ0(×10-3rad) BB68 BB73

○ 降伏耐力Py

● 最大耐力Pu

×

× 面外への孕み出し

×

試験体名 最大耐力 Peu(kN)

降伏耐力 Pey(kN)

初期剛性 Ke(kN/rad)

SS66 4.49 3.23 400

SB75 5.36 2.94 579

BB68 5.43 2.86 608

BB73 5.51 3.03 763

66 (a) 最大耐力

(b) 初期剛性

図4-6 全壁土厚さと最大耐力、初期剛性の関係

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

60 65 70 75 80

最大耐力Peu(kN)

全壁土厚さt (mm)

藁すさ ● 竹繊維 ▲

0 100 200 300 400 500 600 700 800

60 65 70 75 80

初期剛性Ke(kN/rad)

全壁土厚さt (mm)

藁すさ ○ 竹繊維 △

67 4.2.4.2 破壊性状

SS66試験体の破壊性状として中塗り側のひび割れを図4-7に示す。既往の研究18より、

せん断スパン比が1.5程度の土塗壁は、最大耐力時に壁土の中央にせん断ひび割れが生じ、

せん断破壊が卓越する破壊性状となることが確認されている。しかし、SS66試験体のひび 割れ図からわかるように、せん断スパン比が3.0程度の1P試験体は、最大耐力時に壁土の 中央にせん断ひび割れは発生していない。各試験体ともほぼ同様の破壊性状を示したため、

ここではSS66試験体を例として以下に詳述する。

1P試験体は軸組のせん断変形の進行に伴い、1/300rad時に土塗壁四周の軸組と壁土の境 界面に、横架材や土台の支圧力によって隅角部の壁土が圧壊してひび割れが生じ、1/100rad 時には横架材や土台の中央部まで進展した。1/200rad 時には柱近傍の壁土において柱側面 に沿ったせん断ひび割れが生じた。このように 1P 試験体では、最大耐力近傍で隅角部底 面での壁土の圧壊が生じ、隅角部の壁土が圧縮ストラットと柱によって拘束され、柱近傍 で壁土のせん断破壊が生じていた。柱の剛性は壁土に比べて非常に大きいため、柱と壁土 の間は拘束力が大きくなり、見かけ上せん断強度が大きくなる。そのため、柱と壁土の間 ではなく、柱近傍の壁土にせん断破壊が生じたと考えられる。さらに前述の図 4-5 中に×

印で示すように、SS66 試験体と BB68 試験体は 1/30rad、SB75 試験体と BB73 試験体は

1/50radで圧壊した壁土の面外への孕み出しが目視により確認され、それ以降は中塗り層と

大直し層がずれて一体的な変形ができなくなった。また、SB75試験体とBB73試験体では

1/20radで横貫に沿って柱から水平方向にひび割れが生じた。

図4-7 破壊性状(SS66)

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