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定量調査と定性調査

「日本のポップカルチャーは台湾人若年層の日本に対する『親しみ』の増加に寄与している」

という仮説を検証するため、国立中山大学大学院社会学研究科に所属する大学院生の協力を 得て、2016 年 11 月 20 日から 3 日間、1980 年代および 90 年代生まれを対象に、Web に よるアンケート調査を行った。アンケートは全 9 問からなり、第 9 問以外は回答必須のシン グルアンサー、サンプル数は 1,066 となっている。

アンケートの設問は以下のとおりである。

問一 あなたの生年月日は以下のどちらですか?(回答必須、SA4) A 1980 年代  B 1990 年代

問二 あなたの性別は以下のどちらですか?(回答必須、SA)

A 男性    B 女性

問三 あなたの出身地は以下のうち、どれにあてはまりますか?(回答必須、SA)

A 北部(台北市・新北市・基隆市・桃園市・新竹市・新竹県・宜蘭県)

B 中部(苗栗県・台中市・彰化県・南投県・雲林県)

C 南部(嘉義市・嘉義県・台南市・高雄市・屛東県)

D 東部(花蓮県・台東県)

E 金馬地区(金門県・連江県)

問四 あなたは日本に対して親しみを感じていますか?(回答必須、SA)

A 親しみを感じる

B どちらかというと親しみを感じる C わからない

D どちらかというと親しみを感じない E 親しみを感じない

問五  あなたは日本のポップカルチャーである ACDGN(アニメ・マンガ・テレビドラマ・

4 シングルアンサーの略称として SA と記載。

ビデオゲーム・ライトノベル)その他が好きですか?(回答必須、SA)

A とても好き B まあまあ好き C どちらとも言えない D あまり好きではない E まったく好きではない

問六  以下のうち、あなたが最も好きな日本のポップカルチャー・コンテンツはどれで すか?(回答必須、SA)

A アニメ B マンガ C テレビドラマ D ビデオゲーム E ライトノベル F その他

問七 あなたは日本へ旅行したいと考えますか?(回答必須、SA)

A すごく行きたい B まあまあ行きたい C どちらでもない D あまり行きたくない E まったく行きたくない

問八  日本のポップカルチャーは、台湾人が抱く日本への親しみに寄与していると思い ますか?(回答必須、SA)

A すごくそう思う B まあまあそう思う C どちらとも言えない D あまりそう思わない E  まったくそう思わない

問九  日本と聞いて思い浮かぶ単語があれば自由に記述して下さい。(なお、この問題は 無回答でも構いません)

図 3 は問八の「日本のポップカルチャーは、台湾人が抱く日本への親しみに寄与している と思いますか?」という質問への回答を集計したものである。この質問に対して、A の「と てもそう思う」と答えた者が 308 名(28.9%)、B の「まあまあそう思う」と答えた者が 561 名(52.6%)、両者をあわせると回答者 1,066 名のうち 869 名(81.5%)が、肯定的な 回答を行っている。

一方、回答者自身の日本のポップカルチャーへの関心を尋ねた問五でも、A の「とても好き」

と B の「まあまあ好き」と回答した者の合計は 79%におよんだ。

さらに定量調査の結果を分析するため、2016 年 11 月末から 12 月初頭5にかけて、1980 年代および 90 年代生まれの台湾人留学生 4 名(男性 1 名、女性 3 名)と 1970 年代生まれ の台湾人研究者 1 名(男性)に対し、日本語と中国語を用いて半構造化インタビューによる 定性調査を行った。この調査でも「日本のポップカルチャーは、台湾人が抱く日本への親しみ に寄与していると思いますか?」という質問に対して、回答者全員から肯定的な回答があった。

しかし一方で意外だったのは、かつての「哈日族」世代に見られた日本への「憧れ」(原語で は “ 憧憬 ”)という表現が一度も聞かれず、また肯定されることもなかった点である。「日本に 対して親しみを感じるか」という質問には、全員が「強い親しみを感じる」と回答しているも のの、その感情は “ 憧憬 ” ではなく、“ 不是外人的感覺 ” だというのである。これは翻訳の難 しい表現だが、強いて訳せば「赤の他人とは思えない親しさを感じる」というほどの意味であ

5 インタビューは 11 月 22 日に 2 名、23 日に 1 名、28 日に 1 名、12 月 9 日に 1 名、計 5 名に行った。

【図 3】「日本のポップカルチャーは、台湾人が抱く日本への親しみに寄与しているか?」

る。この表現を筆者が “ 關係很密切(密接な関係にある)” と言い換えたところ、回答者全員 から “ 不是外人的感覺 ” であり、密接な関係にあると言いたいわけではないと注意を受けた。

垂直的な上下関係を表す “ 憧憬 ” ではなく、また水平的に一般の親疎関係を表す “ 關係很密 切 ” とも異なる “ 不是外人的感覺 ” という表現。筆者はこれが現代の台湾人若年層の対日意識 を表すキーワードではないかと考える。

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