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定期的調整の比較

ドキュメント内 2015 年度 専門職学位論文 概要書 (ページ 32-40)

第 3 章 OECD と米国が想定する定期的調整の比較

第 3 節 定期的調整の比較

表1:OECDと米国が考える定期的調整適用場面の比較51 内容

1-1:対象取引 関連者間HTVI取引

(「Transactions involving the transfer or use of HTVI」52

(OECD, ¶6.19153) 1-2:対象取引 無形資産(IRC 936条(h)(3)(B)に規定するものに限る54)の移転又はライセンスの場合

(IRC 482条)

2-1:定期的調整を 行える者

課税当局

(OECD, ¶6.192等)

2-2:定期的調整を 行える者

内国歳入庁地区局長

(財務省規則 §1.482-4 ¶(f)(2)(i)総論)

51 以下の日本語訳は趣旨が把握できる程度に仮訳したものである。

52 OECD、IRC及び財務省規則で用いられる「Transfer」の日本語訳には「移転」「譲渡」「取引」とする文献

が混在している。本稿では文脈に合わせ、「移転」または「取引」と日本語訳する。

53 前註釈3,¶6.190, 192 and 193, pp. 110-111.

54 IRC 936条(h)(3)(B)に規定する無形資産は以下に掲げる、実質的価値のあるもののいずれかである。

(i) 特許、発明、製法、プロセス、デザイン、様式またはノウハウ

(ii) 著作権及び文学的、音楽的または芸術的作品

(iii) 商標、商号またはブランド名

(iv) フランチャイズ、ライセンスまたは契約

(v) 手法、プログラム、システム、手順、キャンペーン、調査、研究、予測、見積り、顧客リストまたは 技術情報

(vi) 上記iからvの無形資産に類似のもの

3-1:定期的調整の 概要

取引開始時点の価格決定を評価する際、独立企業間であれば取引時に成立していたであ ろう独立企業間価格決定を知るために、課税当局は財務的成果(financial outcomes)

に関する事後的証拠を用いる権利がある

(OECD, ¶6.192)

3-2:定期的調整の 概要

有効期限が1年を超える契約に基づいて無形資産が移転される場合には、各課税年度に おいて請求すべき対価の額は、当該無形資産に帰すべき所得の金額と確実に相応するも のとなるよう調整される。(中略)調査対象課税年度においてそのような調整を行うか 否かの決定に当たっては、内国歳入庁地区局長は、その無形資産が使用される全期間に 渡る全ての関連事実及び状況を考慮に入れることができる。過年度において無形資産に 対する請求額が適正価格であると決定されたとしても、内国歳入庁地区局長が、その後 の課税年度において当該無形資産に対する請求額の調整を行うことを妨げない

(財務省規則 §1.482-4 ¶(f)(2)(i)総論)

4-1:対価の支払形 態

独立企業間における無形資産取引の対価の支払方法として一括支払を行うことは一般 的である。また、複数事業年度に渡り対価を支払う方法も一般的である

(OECD, ¶6.179)

4-2:対価の支払形 態

<対価を複数回に渡り分割払いする場合>

1年以上の期間に渡る契約に基づき無形資産が取引される場合、各課税年度における対 価は、当該無形資産に帰する所得に相応するよう定期的調整が加えられる可能性がある

(財務省規則§1.482-4 ¶(f)(2)(i)総論)

<対価を取引時に一括払する場合>

関連者間において無形資産が取引され、その対価が一括払である場合、当該対価は無形 資産に帰属する所得に相応する金額でなければならない。ある課税年度に支払われるロ イヤルティ額が独立企業間ロイヤルティ額と等しいのであれば、当該課税年度における 一括払金額は無形資産からの所得に相応しい。ある課税年度に支払われるロイヤルティ 額は、無形資産の耐久年数(契約期間が当該無形資産の耐久年数より短い場合は、契約 期間)を通して支払われるロイヤルティを一括前払するとして取扱い、取引時点におけ るライセンシーの予測売上高を考慮し算定される。したがって、ロイヤルティ額の算定 には、一括払金額、適切な割引率、適切な期間における予測売上高を用いて割引現在価 値を算定することが求められる。当該ロイヤルティ支払として取扱う一括払金額は、ラ

イセンス契約による実際のロイヤルティ支払と同様に§1.482-4(f)(2)(i)の定期的調整を 受ける。

(財務省規則§1.482-4 ¶(f)(6)一括払いの場合)

5-1:定期的調整対 象外となる場合

以下の条件を1つ以上満たすHTVIの移転取引(transfer of HTVI)またはライセンス

取引(use of HTVI)には定期的調整は適用されない。

i. 納税者が次の情報を提示した場合

1. 取引時点で価格を決定するために用いられた事前予測の詳細。価格決定の ためにどのようにリスクが価格算定方法に反映されたか(例:加重期待値)、合理 的に予測可能性な事象やリスクの検討は適切か、発生可能性の検討を含む。

2. 将来キャッシュ・フロー(financial projections)と実際キャッシュ・フロ

ー(actual outcomes)55の著しい差異に対する信頼性の高い証拠。当該差異は(a)

または(b)が原因で発生したものであるとする。

(a) 価格決定後に発生し、取引時点において当事者が予測不可能であった開発 や事象

(b) 結果は予測可能であり、取引時点において発生可能性は過大にも過小にも 評価されていなかったが、発生可能性が予測から外れてしまったこと ii. 取引元の者と取引先の者が所在する国の間で議論された対象HTVIの取引に係る

二国間または多国間事前確認の有効期間内である場合

iii. 上記iの2で述べた将来キャッシュ・フローと実際キャッシュ・フローの著しい

差異が、取引時点で定めたHTVIの対価を20%以上増加または減少させる影響が ない場合

iv. 取引先の者が独立企業間取引において、対象HTVIを用いて初めて利益を計上し た翌年から5事業年度が経過しており、且つ上記iの2で述べた将来キャッシュ・

フローと実際キャッシュ・フローの差異が、5事業年度間の将来キャッシュ・フ

ローの±20%未満である場合

(OECD, ¶6.193)

55 OECDの言う「financial projections」と「actual outcomes」の定義は明確ではないが、本稿では文脈より、

取引時点においてHTVIの独立企業間価格算定に用いる「将来キャッシュ・フロー」と、実際HTVIから生じ る「実際キャッシュ・フロー」と解釈する。ただし当該2つの用語が意味するところについては疑問が残るの で、第4章第1節第1項にてさらに議論する。

5-2:定期的調整対 象外となる場合

(A) 同一の無形資産が含まれる場合:関連者間取引と類似条件下で行われる無形資

産取引が非関連者間に存在し、初課税年度において当該独立企業間取引を比較 対象として用いることができ、当該関連者間において初課税年度で支払われた 無形資産の対価が独立企業間価格である場合

(B) 比較可能な無形資産が含まれる場合:比較可能な状況下で独立企業間取引を比

較対象として無形資産の独立企業間価格を算定する関連者間取引であり、かつ 以下1~6の各事実が立証される場合

(1) 各課税年度における対価が、書面による関連者間取引契約に定められており、

当該対価額は初課税年度において独立企業間価格であり、定期的に実質的対価 を支払う必要があり、かつ当該契約は課税年度を通して有効である場合

(2) 関連者間取引の課税年度において比較対象となる独立企業間対価を定めた書

面による独立企業間取引契約が存在し、契約により当該対価の変更、再交渉、

契約の終了は認められていない場合(もしくは対価について限定的、非偶発的、

定期的変更のみが認められている場合)

(3) 関連者間契約期間が非関連者間契約期間に概ね一致し、契約有効期間における

上記(2)の条件が類似する場合

(4) 無形資産に関する関連者間取引契約であるが、無形資産の使用分野または使用

方法の限定が、独立企業間取引契約で定められている場合

(5) 関連者間取引契約締結後、関連者間取引における譲受人により、予測不可能な

事象による変更を除く機能の実質的変更が行われていない場合

(6) 検討対象年度及び過去全ての年度において取引当事者が無形資産を使用し実

際獲得した所得または削減した費用が、独立企業間取引契約と比較検討を行っ た時点で予測可能であった所得または費用削減の予測値の80%未満または 120%超ではない場合

(C) 独立企業間取引契約との比較以外の方法を用いる場合:独立企業間取引契約と

の比較以外の方法を用いて独立企業間対価を算定する場合であり、かつ以下1

~4の各事実が立証される場合

(1) 各課税年度の対価額が、関連者間取引契約に定められており、当該契約が課税

年度を通して有効である場合

(2) 関連者間取引契約に定められた対価額が初課税年度において独立企業間価格 であり、定期的に実質的対価を支払う必要があり、かつ当該取引契約履行と同 時に適切な補助ドキュメントが準備されている場合

(3) 関連者間取引契約締結時において予測不可能であった事象により発生する対

価を除き、締結時から譲受人が行う機能に実質的対価が存在していない場合

(4) 検討対象年度及び過去全ての年度において譲受人が無形資産を使用し実際獲 得した所得または削減した費用が、独立企業間取引契約と比較検討を行った時 点で予測可能であった所得または費用削減の予測値の80%未満または120%超 ではない場合

(D) 異常な事象:以下1~2の両要件にあてはまる場合

(1) 取引当事者にとって制御不可能であり、関連者間取引契約締結時点において合

理的に予測不可能であった異常な事象が原因となり、当事者が実際獲得した所 得または削減した費用が予測値の80%未満または120%超になる場合

(2) 上記(B)または(C)に掲げる要件を全て満たす場合

(E) 5年期間:定期的な実質的対価の支払を開始した年から5年間、§上記(B)また

は (C)に掲げる要件が全て毎年満たされる場合

(財務省規則§1.482-4 ¶(f)(2)(ii)適用除外)

1. 対象取引について

<対象となる無形資産取引>

OECDが定期的調整の対象とする無形資産取引は、関連者間HTVI取引である。関連者間HTVI取引と

は、第1章3節第1項に述べた通り、関連者間取引開始時点において、①信頼できる比較対象が存在せず、

且つ②取引開始時点で、取引対象の無形資産価値を算定するために用いられる将来キャッシュ・フロー または取引対象の無形資産に由来する見込み収益値が極めて不確実である、または当該無形資産の価値 評価に用いた仮定が極めて不確かであり、最終完成レベル(level of ultimate success)が取引時に予測 困難である無形資産または無形資産に含まれる権利である。ディスカッション・ドラフトに対するパブ リック・コメントとして、経団連は「(HTVIの範囲及び特徴が)幅のある概念であり、実態として多く の無形資産がHTVIの対象となることを強く懸念する」と指摘している56。最終レポート段階においても、

56 一般社団法人日本経済団体連合会 税制委員会企画部会(2015).「BEPS行動8(評価困難な無形資産)

に係わる公開討議草案に対する意見」.

ドキュメント内 2015 年度 専門職学位論文 概要書 (ページ 32-40)

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