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ツなのか,基準となる利用時間の調査のため,地理情報全てを閲覧した場合にかかる平均時 間を計測した.次に,地理情報を一つの背景地図のみで提供した場合の利用時間と,複数背 景地図を選択可能な状態にして提供した場合の利用時間を計測した.そして両ケースで利用 時間に変化があるか調査を行った.調査結果を表5.3に示す.

5.3 ユーザ利用時間

閲覧条件 平均利用時間

地理情報全てを閲覧した場合(閲覧時間の指標) 8分 地理情報を単一背景地図でのみ閲覧した場合 4分 地理情報を複数背景地図選択可能な状態で閲覧した場合 7分

この結果,背景地図が選択可能になることでユーザの利用時間が増加することが確認され た.前節でも述べたが,体験ユーザ数を増やし,より定量的な数値を示すことが提案システ ムの有用性を示す上で今後重要となる.

5.2 定性評価

本節では,図4.1に示した,本研究への要求項目を満たしているか定性評価を行う.

地理情報を複数地図サービス間で利用できること.

地理情報相互流通支援システムでは,地理情報ファイルを地理情報標準JSGIを基に作 成し個別の地理情報取得モジュールで読み込みを行うことにより複数地図サービスで利 用可能とした.実際に他の地図システムでも,個別の地理情報取得モジュールを作成す ることで地理情報が利用できる様になるかを確認するため,Yahoo!地図情報サービス で実験を行った.その結果,図5.2に示す様に,地理情報ファイルを反映することがで きた.

既存技術に変更を加えないこと.

各LSPから提供されているAPIから,地図取得部分と地理情報取得部分を切り離し,

モジュール化することで,既存技術に変更を加えることなく地理情報の相互流通を可能 とした.

地理情報が正しい位置に反映されること.

地理情報取得モジュールに地理情報クラスを読み込むことで,同座標にシンボルを配置 することを可能にした.また,地図システムによっては日本測地系を採用しているシス テムもあるため位置情報クラスから取得した座標を世界測地系から日本測地系へ変換す

5.2 定性評価

5.2 Yahoo!地図情報サービス

る機能を地理情報取得モジュールに持たせることで,地理情報が正しい位置に反映され ることを可能にした.

地理情報を正しく参照できるよう表示できること.

地理情報取得モジュールによって地理情報クラスを読み込むことで,シンボル選択時に 地理情報を正しく参照可能にした.

地図サービスの処理速度に大きな変更を加えないこと.

定量評価の図5.1に示した様に,地図サービスの処理速度に大きな変更を加えていない.

地理情報を各地図サービスにあった形で閲覧できること.

電子国土Webシステムでは,地理情報本体クラスに格納している画像情報を地図上で 描画することができないが,GoogleMaps及びYahoo地図情報サービスでは可能であ る.また,Yahoo!地図情報サービスでは地図上のシンボルの側面に地理情報タイトル を表示することができる.この様に,同じ地理情報でも各地図サービス毎に表現を変え ユーザに提供する事ができる.画像情報を表示できる地図システムでは,地理情報取得 モジュールを作成する際に,取得した地理情報本体クラスに格納されている画像情報を 表示できる機能を持たせた.これにより地理情報を各地図サービスにあった形で閲覧可 能にした.

地理情報の更新・管理が容易であること.

5.3 まとめ

地理情報相互流通支援システムでは,一つの地理情報ファイルを作成するだけで複数地 図サービスにコンテンツを配置することができる.既存システムでは,地図サービス数 だけ地理情報ファイルが必要になり,情報を更新する際には,全てのファイルに手を加 える必要がある.これは管理の面で非常に手間がかかる.

5.3 まとめ

定量評価より,本システムでのシンボル描画速度は,既存形式と比べても大幅には増加し ないことが確認された.ただし地図システムによっては,シンボル数が増えることで処理時 間が増加していくため,今後シンボル数の増加に対応できるよう,各モジュールを改良し処 理負荷を減らす必要がある.

また,本システムの有効性の検証のため,インターネット地図サービスを利用したことの あるユーザを対象に,背景地図が選択可能になると便利に感じるかというアンケート調査を 行った.そしてアンケート回答より,7 割以上のユーザが便利に感じることが確認された.

今後,体験ユーザ数を増やし,より定量的な数値を示すことが提案システム普及の上で重要 となる.

同じく,体験したユーザの利用時間を計測したところ,背景地図が増えた場合,利用時間 が増加することが確認された.これにより同一コンテンツに関わらず,背景地図を選択可能 とすることで,ユーザのサイト滞在時間を延ばす事が実証された.今後,実フィールドへの 導入を考えた際,滞在時間の延長効果がマーケティングに有利に繋がると期待される.

そして定性評価より,要求項目を満たした上で実証システムを構築し,地理情報を複数地 図システム間で相互流通可能にしたことを証明した.

第 6

おわりに

本論文では,各地図システム間で共通に利用することのできる地理情報記述形式を用いた 流通の支援システムを提案,実装動作検証を行い,評価を行った.その結果,これまでまと められていた,地図取得モジュールと地理情報読み込みモジュールを切り離すことで,単一 の地理情報ファイルから,複数の地図システムへと地理情報オブジェクトの配置が可能であ ることを示した.また,地理情報ファイルを個別に持つことで,各地図システム間だけでな く他のユーザとの地理情報の受け渡しを可能にし,地理情報を共有する環境を構築可能であ ることを示した.

今後の課題として,地理情報読み込みの方法に改善を加え,読み込み時間の短縮を行う必 要がある.現在公開されている他の地図システムにも対応できるよう検討を行う必要があ る.また実フィールド上で実験を行い,実際の処理速度等の評価を行う必要がある.

謝辞

本研究において適切な御指導,御助言を頂いた高知工科大学 情報システム工学科 清水明 宏教授に心より感謝いたします.

本論文の副査を担当して頂いた高知工科大学 フロンティア工学教室 野中弘二教授,渡邊 法美教授に深くお礼申し上げます.

また,本研究の遂行と論文作成にあたって,言葉では言い表せないほどのご指導,ご助言 をいただきました高知女子大学 高村禎二氏に心より感謝し厚く御礼申し上げます.

本研究を遂行するにあたり,有益な議論を交わして頂いた高知工科大学 清水研究室の関 係者各位に心よりお礼申し上げます.今後も研究を引き継いで素晴らしい発展をさせていっ て欲しいと思います.

そして,6年間に及ぶ長い大学生活において,共に励まし,競い合い,支え合った,高知 工科大学 電子光システム工学コースの友人各位に心より感謝いたします.

最後に,大学院進学及び学生生活を全面的に支えてくれた家族に心より感謝を申し上げ ます.

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