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第 3 章 学習課題の構造化技法

3.1. 代表的な構造化技法

3.1.1. 学習課題分析

学習課題分析(以下,課題分析と呼ぶ)とは,教材のゴールとして設定した学習目標を 習得するために必要な要素とその関係を明らかにする方法である(鈴木, 2002).課題分析 の結果を図示したものを課題分析図と呼ぶ.課題分析は教材作成者や指導者側が教材や授 業設計の際に用いるものであるが,具体的な課題分析手法は学習課題の種類に応じて異な る.学習課題の種類は,言語情報,知的技能,運動技能,態度,認知的方略の 5 つがある

(Gagne et al., 2004).このうち,認知的方略は学習者が自分自身の学習プロセスを制御す る手段であり,言い換えれば「学び方を学ぶ」という特別な学習課題である.したがって,

認知的方略は一般的に他の 4 つの学習課題を対象領域とし,それぞれを学ぶ過程で修得さ れるものだと考えられる.認知的方略を除いた4つの学習課題の分析手法を表 3-1に示す.

表 3-1 学習課題の種類と課題分析

学習課題 言語情報 知的技能 運動技能 態度 課 題 の 性

指 定 さ れ た も の を覚える

あ る 約 束 事 を 未 知の(新しい)例 に応用する(概念 /ルール学習)

筋 肉 を 使 っ て 体 の一部を動かす/ コ ン ト ロ ー ル す る

個 人 的 な 選 択 の 機 会 が あ っ た 時 に あ る こ と が ら を選ぼう/避けよ うとする気持ち 課題の例 県庁所在地

憲法の前文 九九 英単語

2桁の足し算 学習課題の分類 書き換え問題

自動車の運転 パ ソ コ ン の タ ッ チタイピング 目玉焼きを作る

環 境 に や さ し い 生活の習慣 引 き 続 き 学 習 し ようと思うこと 分析手法 クラスター分析 階層分析 手順分析 階層/手順分析/ク

ラスター分析 分 析 手 法

の特色

関 連 の あ る 項 目 や ま ぎ ら わ し い も の ど う し を 集 める;上下関係と は限らない.項目 間 や す で に 知 っ て い る 事 項 と の 関連/相違を明ら かにし,覚え方の ヒントを探す.

<かたまり型>

<ネットワーク型>

学 習 目 標 か ら 始 め て 上 か ら 下 に

「 こ の 目 標 を 学 習 す る た め に 不 可 欠 な よ り 基 礎 的 な 目 標 は 何 か?」を探す.

見 つ か っ た 下 位 目 標 に つ い て も 同 様 に そ の 下 位 目標を探し,基礎 技 能 か ら の 積 み 上 げ の 様 子 を 示 す.

<ピラミッド型>

学 習 目 標 の 中 に 含まれている「要 素技能」を「まず 何 を し て 次 に 何 をするか?」を問 う こ と で 実 行 手 順を追って探し,

分 け て 練 習 で き る ス テ ッ プ に 分 解する.ステップ ご と に 下 位 目 標 が 必 要 な 場 合 が ある.

<ステップ型>

「 こ の 態 度 を 表 明 す る と き に は 何 が で き な け れ ばならないか?」

を 問 う こ と で 態 度 表 明 に 必 要 な 知的/運動技能を 見つけ,「選択の 理由は何か?」を 問 う こ と で 態 度 形 成 に 必 要 な 情 報を見つける.

<統合型>

※鈴木(2002)の表4-2(p.53)の上から3行を抽出,鈴木(2002)の表5-1(p.71)か ら分析手法を抽出,左に1列追加し,項目名をつけた.

言語情報とは,指定されたものを覚える学習課題である.名前,公式,文章の暗記や要 約学習が相当する.言語情報の課題分析手法にクラスター分析がある.クラスター分析と は,学習目標に含まれている項目を洗い出し,それを相互の関連によってかたまりに分け る分析方法である.クラスター分析の例として,体の部位についての英単語38個を6つの クラスターに分解した例を図 3-1に示す.

図 3-1 クラスター分析の例:英単語「体の部位」

鈴木(2002)図5-1(p.63)

知的技能とは,ある約束ごとを未知の(新しい)例に応用する学習課題である.概念や ルール学習などが相当する.知的技能の課題分析手法に階層分析がある.階層分析では,

学習目標を達成するために必要な基礎的な知的技能にどのようなものがあるかを明らかに し,知的技能のピラミッドを作っていく.階層分析の例として,繰り下がりのある「引き 算」の階層分析を図 3-2に示す.

図 3-2 階層分析の例:「引き算」

鈴木(2002)図5-2(p.65)

運動技能とは,筋肉を使って体の一部を動かす学習課題である.運動技能の課題分析手 法として手順分析がある.手順分析では,学習目標としている運動技能を実演するときに,

「まず何をして次に何をするか」を一つひとつ列挙し,それを順番に並べる.手順分析の 例として,ゴルフのパッドを打つという課題についての手順分析を図 3-3に示す.

図 3-3 手順分析の例:「ゴルフのパットを打つ」

鈴木(2002)図5-3(p.66)

態度とは,心や気持ちに関する学習課題である.態度の学習に必要な要素の分析法は,

他の課題のように確立されていない.そこで,態度の課題分析では目標とする気持ちに関 連した認知領域の学習目標,つまりどんな言語情報や知的技能を学ぶことが効果的かを分 析する.よって,分析手法としてクラスター分析,階層分析,手順分析が用いられること になる.態度学習の分析例として,地球にやさしい生活を心がける態度の分析例を図 3-4 に示す.

図 3-4 態度学習の分析例:「地球にやさしい生活」

鈴木(2002)図5-4(p.67)

地球にやさしい生活を日常的に 実践することを選ぶ

地球にやさしい生活を送るため の知恵を実践できる

地球にやさしい生活への身近な 実践例をあげられる

ある実践がどんな効果をもって いるかを説明できる

地球にやさしい生活をするため には何ができるかを言える

地球にやさしい生活が今なぜ必 要かを説明できる

地球にやさしい生活に関する世 論の状況を説明できる

態度表明の技能 場面の知識

内容の知識

他者の態度についての知識 結末の予想

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